お釈迦さまと韋提希


韋提希とビンバサーラ

 年末年始にかけて、親兄弟・夫婦間の怨憎による信じがたい殺人事件が続きました。「末法」を感じるとともに、あまりにも殺伐としたこの時代、我々僧侶は何をすべきか、何を語るべきなのか、自問せざるを得ません。
 児童虐待も連日のように報道されております。自分の子にしっかり愛情を注げない親たち。児童相談所への相談件数は10年前、年間1,000件くらいだったのが、現在では年間20,000件を超えるそうです。誰より愛情を注ぎあえるのが親子の縁。なのに何がどう間違って、これ程までに親子の殺しあいが頻発してしまうのでしょうか。
 有識者の意見によると、事件としての「親殺し・子殺し」が近年急に増えたというわけではないが、その性質は変わってきたのだそうです。子どもを食べさせるのが精一杯だった時代と違い、今は親の自己中心性、つまり・・親は自分の人生の充実を第一に考え、子どもを丸ごと受け入れず、自分に都合の良い部分だけを受け入れる。そういう親が増えている。すると逆にそういった親の自己中心性を、子どもが成長し見抜いた時に、急激な憎悪に変わって犯行に走るという事なのだそうです。

 話は変わりますが、『観無量寿経』というお経は2500年前のインドの、ある親子の怨憎劇が背景になっています。そのお経を説かれた時のお釈迦さまの目前には、地に這い髪を振り乱し泣き叫んでいる一人の女性がおりました。名前は韋提希(イダイケ)。彼女はマガダ国の王妃という立場にありながら、悪縁に遭い、夫・ビンバサーラ王を我が子アジャセに殺され、自分も今や薄暗い牢獄に閉じこめられてしまったのです。
 「どうして!どうして私は、こんな苦しみを受けねばならないの!あんなに可愛かったあの子が何故、自分の父を殺すような人間になってしまったの!」
 しかしながら、この状況を招いたのは、実は自分たちに非があったからだ、という事に彼女は気付いていません。全ての発端は自分たち夫婦の身勝手なエゴからであり、その勝手さをアジャセが知ったが故に起こった悪縁だったのです。

 2500年前も今も、何一つ変わっていない現実世界。この世は本当に不安、苦しみが尽きない世界です。何かが間違って、歯車が噛み合わなくなって、親子の縁にさえ悲劇は起こります。
 お釈迦さまは説かれます。この世界は苦しみ多き所。でも極楽浄土の存在を信ずれば、お念仏によって輪廻という永遠の苦しみからは逃れられる。その確信を持つ事ができれば、お念仏を称え続ける事で、不安、苦しみ絶えないこの世界でも・・阿弥陀さまに寄り添って生きていける。お念仏が、この世を生きる勇気になるのだと。

 そしてこの世界で死に別れた人とも、浄土で再会できるのです。後の世も、この世もともに南無阿弥陀仏。阿弥陀さまに自分をお任せして得られる大きな安心感こそ、お念仏の最大の功徳です。

 円通寺住職  後 藤 真 法


 不二家での消費期限切れの材料の使用、賞味期限のニセ表示、さらには大腸菌が検出された場合の自主回収基準を10倍緩く設定等、消費者を裏切る一連の行為が明るみに出た。言語道断である。多分に漏れず、私も子供のころは不二家のミルキーを始め不二家のお菓子を口にすることは、何よりの楽しみであっただけに、今回の事件は残念でならない。私の子供時代の夢を壊された思いである。

 田舎で生まれ育った私の着る物は、洋品屋さんで買うのではなく、年に1度であるが近所の洋裁や編み物のできる人に作っていただくことが普通であった。子供であるから毎年大きくなるので、寸法取りにそのお宅を訪ねなければならなかった。学校から帰り遊びに行こうとする時の寸法取りは、正直なところ嫌であった。
 ところが寸法を取りにいくと、編み物のおばさんは、必ずお駄賃にミルキーを1箱くれるのである。それからは、寸法取りが楽しみに変わった。昭和30年頃の私には、ミルキーは何よりのご馳走であった。その頃のおやつといえばサツマイモがほとんどであっただけに、ミルキーの1箱は何もいえない喜びであった。ミルキーを食べてしまった後、箱のペコちゃんとポコちゃん切り抜いて大切にしたものである。
 それだけに、子供のころに抱いて大切にしていた不二家のイメージを、根底から壊された気持ちで一杯である。

 ところで、このところ新聞に「お詫び」「製品の回収」広告が激増しだした。
「ベルン(焼き菓子)のお詫びとお知らせ」(1月21日、賞味期限きれ材料使用)
「おたべ(菓子チョコ)のお詫びとお知らせ」(1月21日、賞味期限きれ材料使用)
「日東紅茶のお詫びとお知らせ」(1月23日、賞味期限なし)
「マーガリンのラーマのお詫びと回収のお願い」(1月23日、異物混入)
「スターバックスコーヒーのお詫びとお願い」(1月23日、消費期限切れ)
「ガロジャパン(ワイン)のお詫びとお知らせ」(1月24日、異物混入)
「六花亭製菓のお詫びとお願い」(1月25日、表示違反)
「オハヨー乳業のお詫びとお知らせ」(1月26日、味覚異常)
「たねや(末廣饅頭)お詫びと回収のお願い」(1月27日、賞味期限表示の誤り)
「ジェイシーシー(カステラチョコ)のお詫びとお知らせ」(1月27日、賞味期限きれ材料使用)
「レーマン(チョコ製品)のお詫びとお知らせ」(1月27日、賞味期限きれ材料使用)
「新宿高野(ジャム)のお詫びとお知らせ」(1月27日、賞味期限無表示)

 不二家の事件から、それぞれの会社が一斉に内部調査に入ったのであろう。今は自社の不始末を隠ぺいするのではなく、自ら公表することこそ得策と考えたように思われてならない。今回は食品業界を取り上げたが、製造業を中心に品質表示等のお詫びとお知らせも多い。会社というものは、こんなにも嘘で塗りたくられているのであろうか。雪印の事件での反省は、どこへ行ってしまったのであろうか。

 ところで、私ども寺院をはじめ、宗教関係者はどうであろうか。一般の会社は物品や技術を提供しているだけに形がわかりやすいが、宗教というのは形がないだけに難しところがある。気がつかないところで、不二家と同じような過ちを犯していないかと不安になる。いろいろ考えさせられる事件である。

<消費期限> 決められた方法で保存した場合に、腐敗などで安全性を欠く恐れはないと認められるのが消費期限。おいしく食べられる限度を指す賞味期限と違う。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


不二家ホームページより


 

第249回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
2月16日(金) PM7:00〜8:30
会   場
西福寺(茶房「欅(けやき)」東側50メートルくらい)
講   師
三明寺住職 大嶽 正泰 師
参 加 費
無料
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、ひとりでも
多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
3月16日(金) 同時刻  書家 米倉 隆紀 師

 

観音堂大祭(諸祈願)のお知らせ

 春のお彼岸に観音堂の大祭を厳修いたします。寺伝によりますと、頼朝公が三嶋大社に百日祈願の折、当願成寺を宿舎といたし、その願が成就いたしたことから「願成就寺」の寺号を賜りました故事により、諸願成就の祈願をおこないます。当日ご参加できません場合には、お札は郵送申しあげます。また、当日前年のお札等を炊きあげますのでご持参ください。当日は「餅まき」「模擬店」「野菜青空市」等を予定いたしておりますので、お誘い合わせてお出かけ下さいませ。

日   時
3月21日(春分の日) 【11時】法要、【12時】餅まき
祈 願 料
3,000円 特別祈願料 1万円
申   込
お参りの折、電話、E-mail(前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月一回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

本メールマガジンがご不要な方は、下記URLから配信を解除できます。

http://ganjoji.com/mlmaga.html (解除・退会)