昨年の5月、施餓鬼法要にてご講演をいただきました木村彰男先生が、日本経済新聞に「医師の目」(全5回)と題しリハビリにつきまして連載をされました。高齢者社会を迎え、ますますリハビリの重要性が指摘されておりますので、木村彰男先生ならびに日本経済新聞社のご許可をいただき、ここに全文を掲載させていただきます。


 


慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター全景


笑顔で接しられる木村彰男先生

 慶應大学月が瀬リハビリテーションセンター所長
 木 村 彰 男 先生

 私が勤務しているリハビリセンターは、伊豆半島のほぼ真ん中に位置しています。周辺には沢山の温泉があり、私どものセンターも源泉を持っています。ひと昔前は温泉地にリハビリセンターが数多く造られました。伊豆には同じようなセンターがいくつもあり、「温泉病院」と名乗っている施設もあります。

 このような訳で患者さんの中には、和風旅館にあるような温泉設備を期待して来られる方もおり、紹介されるドクターも「温泉で治していらっしゃい」などと言って患者さんを送ってこられます。しかし、私どものセンターには、温泉旅館のようなお風呂はありません。温泉を利用した温水プールはありますが、残念ながらこれも泳ぐためのものではありません。
 温熱の作用で関節などの痛みを和らげるとともに、浮力を利用して体重を早くからかけられるようにするのが目的で、下肢の手術後の患者さんなどが歩行訓練に使っています。
 温泉に入りたいという他の患者さんの希望にも応えられるように、脳卒中の歩行訓練にもプールを使えないか、検討しているところです。

 リハビリでは、温熱、水、電気、牽引(けんいん)などの物理学的手段を用いる物理療法が一つの治療の大きな柱です。特に温熱は痛みを和らげる作用が強く、しばしば治療に用いられます。温泉のお湯は典型的な物理療法です。
 よく温泉の効用として神経痛、筋肉痛、関節リウマチなどが挙げられます。でも、温かいお湯なら、自宅のお風呂でも程度に差はあれ同じような効果が得られます。家庭でも「木村の湯」などと称して、神経痛、関節痛に効果があると看板を出しても間違いではありません。

 このように温泉が家庭のお風呂と変わりないということを書くと、温泉組合や旅館の方に怒られてしまいますね。では温泉にはそれ以外の効果はないのでしょうか。
 一番の効果は、精神的にリラックスできることだと思います。のんびり、ゆったり気分が味わえるのは、温泉ならではの醍醐味(だいごみ)ですね。ストレスの多い現代社会では、温泉はやはり貴重な存在ということです。 

 (次回は3月15日です)


(前話は、願成寺ホームページ「メルマガお申し込み」のバックナンバーにあります。)

第2巻「帚木」その20

 光源氏、退出して左大臣邸へ 

 かろうじて今日は天気もよくなった。こうして宮中に籠もっていらっしゃるのも、左大臣のお気持ちを思うとお気の毒なので、源氏の君は退出をなされた。
 左大臣邸の大方の様子や姫君(葵の上)の様子も、はっきりと気品があり、乱れたところもなく、これこそ品定めの人々が捨てがたく選んだ人と頼りにすべきと思うものの、あまりに麗しい様子がうち解けがたく、源氏の君のほうが気恥ずかしくほど完璧であるので、落ち着かない。よって、中納言の君や中務などの並々でない若い女房どもと、戯れ言などをおっしゃって暑さにくつろいている様子を、女房たちはすばらしいとお思いである。

 左大臣殿も源氏の君のところにおいでになって、源氏の君もくつろいておられるので、御几帳をおいてお座りになり、お話になる。
 源氏の君は、「暑くてしようがない」と、左大臣の気使いを迷惑に思い苦い顔をするので、女房たちは笑っている。「静かに」と脇息に寄りかかる源氏の君であった。
 たいそうゆったりとして気楽なさまであった。

 暗くなると、人々が、

「今宵は、宮中からは中神が塞がっておりました。」と申しあげる。

「そうであった。いつも宮中からは忌む方角であったな。二条院も同じ方角であるので、どこに方違えをしようか、面倒であるな。」と、お休みになってしまわれた。

「とんでもないことでございます。」と人々が申しあげる。

「紀伊守で親しく仕えている人の中川にある家で、このごろ水を屋敷に引き入れて涼しくしているところがございます。」と申しあげる。

「たいそうよいことだ。気分もよくないので、車に牛をつけたまま入れる所がよいな。」とおっしゃる。
 忍んでいく方違え所はたくさんあるが、久しぶりに左大臣邸を訪ねたのに、方塞がりだといって他の女の所に行くのでは、あまりにも左大臣に気の毒であるとお思いになるのであろう。


なかがみ【中神】陰陽道(おんようどう)で、八方を運行し、吉凶禍福をつかさどるとされる神。己酉(つちのととり)の日に天から下り、東・西など四方に5日ずつ、北東・南東など四隅には6日ずついて合計44日、癸巳(みずのとみ)の日に正北から天に上って16日間天上にいて己酉の日に再び下って前のように遊行する。この神の遊行の方角を塞(ふた)がりといい、その方角に向かう場合は、方違(かたたが)えをする。てんいちじん。(大辞泉)

かた‐たがえ【方違え】
陰陽道おんようどうの俗信の一。他出する時、天一神なかがみのいるという方角に当る場合はこれを避けて、前夜、吉方えほうの家に1泊して方角をかえて行くこと。(広辞苑)

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


青表紙本源氏物語「帚木」(新典社刊)




中間美春回顧展


中間美春さんのデザインによる「福太郎」

 昨年、中学校時代の同級生が亡くなり、遺作展があった。一緒に机を並べたのは40年以上も前のことであるが、作品のひとつひとつを覧ていると、その頃の顔が思いうかぶ。卒業後、会うことはなかったが、彼女の作品に数多く接していたことを今知って驚く。三嶋大社の名物である「福太郎餅」のデザインも、彼女の作品であった。よく土産物として利用させていただいただけに、驚きを禁じ得ない。

 次の日、お檀家さんの年忌法要を務めた。わたしと同じ57歳で亡くなっている。30代のころ、50代半ばの方の葬儀や法要を勤めても、自分とつなげて考えることはなかったが、今は自分と重ねていろいろと考える。わたしが亡くなったならば、家族は、子供は、仕事はと、次から次へと自分の身の回りのことが頭のなかを駆けめぐる。きっと、同級生も法要の方も病と闘いながら、心を掻きむしる思いであったろう。

 三島駅を利用しているので、週に2回ほど「福太郎餅」(三島駅のキオスクでも販売している)を目にする。これからは仕事ができる喜びを持って、新幹線に乗ることになるだろう。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

第249回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
2月16日(金) PM7:00〜8:30
会   場
西福寺(茶房「欅(けやき)」東側50メートルくらい)
講   師
三明寺住職 大嶽 正泰 師
参 加 費
無料
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、ひとりでも
多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
3月16日(金) 同時刻  書家 米倉 隆紀 師

 

観音堂大祭(諸祈願)のお知らせ

 春のお彼岸に観音堂の大祭を厳修いたします。寺伝によりますと、頼朝公が三嶋大社に百日祈願の折、当願成寺を宿舎といたし、その願が成就いたしたことから「願成就寺」の寺号を賜りました故事により、諸願成就の祈願をおこないます。当日ご参加できません場合には、お札は郵送申しあげます。また、当日前年のお札等を炊きあげますのでご持参ください。当日は「餅まき」「模擬店」「野菜青空市」等を予定いたしておりますので、お誘い合わせてお出かけ下さいませ。

日   時
3月21日(春分の日) 【11時】法要、【12時】餅まき
祈 願 料
3,000円 特別祈願料 1万円
申   込
お参りの折、電話、E-mail(前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月一回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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