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 昨年の5月、施餓鬼法要にてご講演をいただきました木村彰男先生が、日本経済新聞に「医師の目」(全5回)と題しリハビリにつきまして連載をされました。高齢者社会を迎え、ますますリハビリの重要性が指摘されておりますので、木村彰男先生ならびに日本経済新聞社のご許可をいただき、ここに全文を掲載させていただきます。








木村 彰男 先生


病院入り口

 (「日本経済新聞」平成18年10月29日掲載)

 慶應大学月が瀬リハビリテーションセンター所長
 木 村 彰 男 先生

 私の勤務先は国内でもまれな大学が持っているリハビリセンターです。従って、病院としての診療と同時に、研究、教育という大学の持つ別の役割に関しても積極的に貢献する義務があります。

 医学・医療の研究というと、再生医学やがんに関する遺伝子レベルの研究を思い浮かべるかもしれませんが、実際には様々なものがあります。最近は医用工学という、医学と理工学の専門家が協力して研究する分野が盛んで、ロボットを用いた手術などが実用化されていることはご存じと思います。

 リハビリの現場でも古くから医用工学が積極的に利用されてきました。私どもの大学は総合大学で理工学部もあるので、私のセンターにも理工学部の教員が勤務しています。彼らは転倒の危険があるのに目を離すと勝手にベッドから立ち上がってしまう患者さんに対する簡単なセンサーの作成から、四肢の関節が固くならないように動かす訓練機器としてのロボットの開発など、種々の面で活躍しています。

 ところで近年の生活習慣の問題と高齢化杜会の到来により、従来にも増して健康に対する関心が高まっています。団塊の世代がフィットネスクラブで種々の器械を用いて汗を流している風景や、お腹の脂肪を取るために電気をかける機器が、新聞やテレビでさかんに紹介されています。我々医療の専門家から見ると、効果や安全性に疑問を持つことが多いのも事実ですが、これらは健康機器ということで、ほとんど行政の規制がありません。
 そこで私どもは最近、医用工学の観点からこのような問題に対応しようと、積極的に臨床研究に取り組んでいます。具体的には、簡単に健康状態をチェックできる機器の開発や、安全な健康維持のためのプログラムの作成、安全な運動機器の開発などです。

 三年前から国内大手のフィットネスクラブと堤携し、より質の高い製品やプログラムを共同開発しています。超高齢化社会を迎え、今後ますます健康に関心が高まると思いますが、リハビリ医学・医療はこのような分野でも役立つことができると考えています。

(次回は5月15日です)


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第2巻「帚木」その21

 光源氏、左大臣邸から紀伊守邸へ

 紀伊守に仰せごとをいたすと、うけたまわりながらも、「伊予守朝臣の家で忌みごとがございまして、女房たちがこちらに移ってきていて狭いところでございますので、失礼なことがありましては」と、下の者に嘆いているのをお聞きになられて、「その人に近いところがうれしいのだ。女の遠い旅寝は恐ろしい心地がするのを。その女たちの几帳の背後がよい」とおっしゃると、「本当によい御座所でございますな」と使いを走らせる。
 たいそう忍んで、ことさら煩わしくないところと、急ぎお出になられると、左大臣にも申しあげず、お供も親しい者に限ってお出かけになられる。

 紀伊守のところでは「にわかに」と戸惑っているが、そんなことは光源氏のお供は聞き入れない。寝殿の東廂を空けさせ仮に用意をさせた。遣り水の風情など風流にしてある。田舎屋のような柴垣を施して前栽なども配慮して植えられている。遣り水をとおる風が涼しくて、そこはかとなく鳴く虫の声も聞こえ、蛍もしげく飛びかい風情のある趣である。
 供の人たちも渡殿の下から流れ出ている泉ののみえるところに席を取り、酒を飲んでいる。主の紀伊守も肴を求めて歩いているほどに、君はその光景をのどやかに眺められて、雨夜の品定めにて中の品について特にいっていたのは、この程度のことであろうとお思い出しになられる。

 その女は、気位高く思っている様子で、桐壺帝のところに入内するとのうわさを聞いていたので、興味をおぼえ耳を止めていらっしゃると、この西側に人の気配がする。衣ずれの音がして、若い女たちの声も憎くない。さすがに女たちが忍んで笑っている様子はわざとらしい。蔀(しとみ)を上げてあったので、紀伊守が「心づかいがない」と叱って下ろしたので、灯の透き影が襖の上から漏れてくるところに、やおら寄りなされて女たちの様子が見えるかとお思いになられたけれど、隙間もないのでしばらく様子を聞いていらしゃると、自分のいるとことのすぐ近くの母屋に集まっているようである。女たちのうちささめいているのをお聞きになると、私のことらしい。「たいそうまじめで、まだ若いのに身分の高い奥さまの決まっていらしゃるのが残念でございますわ。」「されど、しかるべきときには隠れて歩いていらっしゃるようで」など話しているのを聞くにつけても、藤壺宮のことが思われてならず、この秘密がこのような女たちに知られることになったならばと思うと、恐ろしくお思いになられる。


お‐まし【御座】
天皇や貴人の御座所。2重畳に敷物を置く。源氏物語葵「ふし給へる所に―近う参りたれば」(広辞苑)

やり‐みず【遣り水】
寝殿造しんでんづくりの庭園などに水を導き入れて流れるようにしたもの。宇津保物語国譲上「―に滝落し、岩立てたるさま」(広辞苑)

きぬ‐ずれ【衣擦れ・衣摺れ】
着ている人の動作につれて、着物のすそなどのすれあうこと。また、その音。「―の音」
(広辞苑)

しとみ【蔀】
寝殿造の邸宅における屏障具の一。格子組の裏に板を張り、日光をさえぎり、風雨を防ぐ戸。はじめは1枚板。多くは上下2枚に分れ、下1枚を立て、上1枚は金物で釣り上げて採光用とし、これを釣蔀または半蔀はじとみという。また、屋外にあって垣の用をなし、室内にあって衝立ついたての用をなすものを立蔀たてじとみという。訛って「ひとみ」とも。(広辞苑)

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


青表紙本源氏物語「帚木」(新典社刊)




わが家のなると金時

 4月からNHKで関口知宏氏の鉄道の旅、「中国鉄道大紀行〜最長片道ルート36000qをゆく」が始まった。中国は仏教伝来においては重要なところだけに、私も何度かお檀家さんと参拝旅行をしただけに、興味津々にチャンネルを回した。
 チャンネルを回したという表現は正確ではなく、コマンドを押した。ひと昔前はチャンネルを回して選局し、親子で兄弟でチャンネルを奪いあったものだが、今となっては懐かしい表現である。

 鉄道の旅は、サラを出発して、生中継を含め36000qを移動して、いろいろな都市を訪ねながら西安に向かう。関口氏は、この機会に中国語を勉強しながらと張りきる。彼の積極的な態度に好感が持てる。
 青海湖を訪ね、清寧のバザールで焼き芋を買った。ライブであるだけに、前には中継カメラスタッフ、後ろには地元の皆さんのギャラリー、熱々のサツマイモを手にした関口さんが、お芋を半分に割って口に持っていき「おいしい!」という言葉が出るものと、その時を待った。
 ところがである。夫婦して見ていた私どもは、目が点になるとはこのことである。彼はお芋の端(へた)千切って口にした。コメントは「おいしい、甘ーい」と順当であったが、そのシーンには困惑した。さらに彼はお芋のおいしさを伝えるために、となりの通訳の人に渡すこととなった。やはり、ところがである。彼はお芋の中央の皮を千切って渡したのである。何があっても焼き芋は半分に割って、かぶりつくのが普通である。戦後まもなくのわが家では、焼き芋のへたと皮は、飼い犬の取り分であった。ライブだけに、同伴していたディレクターも目が点になったであろう。

 誰がみても、関口氏は焼き芋をかじったことがないことが露見した。我々夫婦は中国の列車の旅を経験しているだけに、列車での各地でのライブを楽しみにしていたのであるが、その時点から関口氏の焼き芋の食べ方が話題になってしまった。

 彼の父親が有名な俳優でなければ、あまり気にはならなかったのであろうが、失礼な表現であるが「お坊ちゃまぶり」が露見したように思われたならない。お芋が主食の足しやおやつとしてうれしかった世代である我々夫婦は、中国の景色を楽しむはずが、お芋の食べ方で、久しぶりに会話が盛りあがったのである。関口氏に感謝!

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

第251回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
4月20日(金) PM7:00〜8:30
会   場
西福寺(茶房「欅(けやき)」東側50メートルくらい)
講   師
延命寺 高橋 俊行 師
参 加 費
無料
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
5月18日(金) 同時刻  如来寺 荻田 宣史 師

 

大施餓鬼会のお知らせ

 本年もお施餓鬼会法要を、下記のごとく厳修いたしたくご案内申しあげます。ご先祖の供養とともに、一日ではありますが、みほとけの教えにふれます良い機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい(当日ご参加できません方には、当寺にてお塔婆をお墓に立てさせていただきます)。

日   時
5月15日(火)  【13時】法要、 【14時】法話
講   師
副住職 魚尾 和瑛
初めてのお説教
供 養 料
3,000円
申 込 み
お参りの折、電話、E-mail(前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月一回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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