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次回配信日は、7月1日です。



演奏する瀬川ご夫妻


調律する瀬川宏さん

 平成23年の法然上人8000年遠忌にむけて、特別な法要のあるたびにいろいろな方にお話をしていただいている。布教師さんのご法話に始まり、お医者さんに元気で健康に遠忌を迎えられるように、健康講座をお願いもした。

 今回のお施餓鬼法要では、お檀家さんで新進気鋭のピアニスト瀬川玄さん、奥さまでフルート奏者の葛西賀子さんをお迎えいたし、ふたりのコラボレーションを楽しませていただいた。瀬川さんは、ドイツでの修行を終えて帰国したばかりで、各地での演奏活動をぬって、お寺での奉納をお願いいたした次第である。

 前日、お父さま瀬川宏さんが、ピアノの調律にみえられた。明日の演奏にむけての準備である。お父さまは日本でも屈指の調律師であり、知名度でいえば、お父さまのが上であろう。もとはヤマハの調律師であられ、長年ドイツ、アメリカ、フランスで活躍された。日本では、国際的なピアニストの来日に同行しての調律を務めておられる。

 演奏は、「海」をテーマにおこなわれた。宮城道雄の「春の海」の演奏は、一段と喝采を浴びた。じつは何年前までであろうか、三島市の広報放送を伝える曲が「春の海」であったからである。ほんとうに久しぶりに耳にする「春の海」、琴がピアノに、尺八がフルートに変わっているが、懐かしさと親しみで楽しませていただいた。
 アンコールでは、浄土宗の宗歌「月影」のご詠歌を、お二人の演奏で大合唱となった。いつも口にしている宗歌であるが、参加者がひとつとなって歌う「宗歌」に感動を覚えた。

 地方にあって、お年寄りが多い法要にピアノとフルートの演奏が、どれだけ受け入れられるか多少心配であった。すべてが終わってみなが帰り始めたとき、80才に近いであろうかひとりのご婦人が、妻のところにわざわざ寄って声をかけて下さった。

「久しぶりに生の演奏を聴かせていただき、きょうは大変に嬉しかったです」

と、笑みをうかべて語ってくれた。

 やはり、本物は人の心を動かしてくれることができると、再認識した一日であった。妻とともに法要の準備の疲れが、心地よい疲労感に変わっていくのを覚えた。瀬川さまご夫妻、そしてお父さまに感謝した。
 またの演奏をお願いしておいてよかった次第である。そう遠くない日に第2回目の演奏会が実現するであろう。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


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第3巻「空蝉」その4「垣間見」

 若い女のが、にぎやかで愛敬があり美人であるが、ますます得意なようすでうちとけて、笑いながら戯れるので、華やかさが多くみえて、、それなりにたいそう気をひく人柄であった。軽々しいとはお思いになりながら、おおような光源氏のお心は、この女もまたお放しにならなかった。
 お逢いになる女たちは、みなうちとけたるとこがなく、取りつくろって横向きのうわべの姿ばかりをみせており、このようにうちとけた女のようすの垣間見などをしたことがなかったので、何の警戒する心もなくてはっきり見られてしまっていることはかわいそうであるが、まだまだ見ていたいのに、小君が出てくるようすがするので、そっと外に出られた。

 光源氏が渡殿の戸口に寄りかかっておられるのを、小君はたいそう申しわけなく思い、「外の人がおられまして、近づくことができません。」
という。
「まあまあ、今宵もわたくしを返そうというのか。たいそうあさましく辛いことであるな。」
と、おっしゃると、
「どうしてそのような。あの人が向こうへお帰りになられましたならば、そのように取りはかりましょう。」
と、申しあげる。きっとうまくいくであろう。童であるが、そうしたことや人のようすを見分けらるようであるので、とお思いになるのであった。

 碁を打ち終えたのであろうか、衣づれの音がしているようで、人々が去っていくような気配である。
「若君はどこにいらっしゃるのでしょうか。この御格子を閉めましょう。」
と、音を立てている。
「みんな寝てしまって静かになったようであるな。入って、それならばうまくしろ。」
と、おっしゃる。
 姉の気持ちはすこぶるまじめであったので、この子もしめしあわすことなどは無理であったので、人気のない折になかにお入れしよう思うのであった。
「紀伊守の妹もこちらにおられるのか。わたしに覗き見させよ。」
とおっしゃるが、
「どうしてそのようなことができましょう。格子には几帳がたててあります。」
と、「そのようであろう。されど」とおかしくお思いになるのが、「すでに見たことは知らせまい、小君がかわいそうであるから。」とお思いになって、夜が更けることの待ち遠さをおっしゃる。

 小君は、今度は妻戸を叩いて入る。みな女房たちは寝静まっている。
「この障子口にわたしは寝よう。風が吹き通っておくれ」
と、上敷きをひろげて臥す。女房たちは東の廂の間に寝ているのであろう。戸を開けた童も、そちらに入って臥したので、しばらくそら寝をして、灯火の明るい方に屏風をひろげて、暗いところへそっとお入れ申す。どうなることであろうか。ばかげたことが起きるのではないかと思うとたいそう不安になるが、小君が案内するままに母屋の几帳の帷子を引きあげて、そっとお入りになられるが、みな寝静まっているので衣づれのやわらかい音が返ってはっきりと特別なお人の音とわかるのであった。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


青表紙本源氏物語「空蝉」(新典社刊)


「空蝉」本文


囲碁をする女たち(京都風俗博物館より)


 

第265回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
6月20日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
福泉寺 岩佐 善公 師
参 加 費
無料
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
7月18日(金) 同時刻  願成寺 魚尾 孝久 師

 

墓地清掃

 恒例となりました、お盆の墓地清掃をおこないます。檀信徒総出でのお掃除の機会でもあり、また、「そうめん流し」も用意いたしておりますので、ご家族とともにご参加いただけますようお願い申し上げます。

日   時
7月6日(日) 9時より(雨天決行)

 

7月のお盆棚経

 お盆の棚経は、「ご自宅へ伺っての棚経」 と 「お寺での棚経」 とがあります。6月下旬にハガキにてご案内申しあげますので、ご希望をお知らせ下さい。

「ご自宅での棚経」
7月13,14,15日のうちお伺いする日を連絡します。
「お寺での棚経」
7月13日10時、13時いずれかに本堂へ。
前日までにお電話で連絡をお願いします。

 

お盆灯籠流しの販売

 7月16日、三島市仏教会主催の「灯籠流し」が水泉園(白滝公園)でおこなわれます。7月1日より、灯籠を販売いたします。

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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