願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、11月15日です。



「楼閣山水蒔絵コモド」
ヴィクトリア&アルバート美術館蔵
(c) V&A Images/ Victoria and Albert Museum, London


「マリー・アントワネットの肖像」ジョセフ・デュクルー
ヴェルサイユ宮殿美術館蔵
(c) Photo RMN - (c) Ge'rard Blot

 現在、日本で「国宝」というと、国が指定された歴史的や美術的に一番高い評価ある文化財を指しています。国宝が多く陳列される展覧会は、必ずブロック・バスター (blockbuster)、大ヒットです。なかには、国宝は何処がいいのかよく分からないが、国が指定しているので素晴らしいものだと思う人もいます。もちろん、国宝級の作品は素晴らしいものが多くありますが、もともと「国宝」、国のたからもの、は「物」ではなく、人を指しています。

 「国宝とは道心なり。道心有る人を名づけて国宝となす」、と天台宗の開祖最澄は、『山家学生式』と言う書物に説いています。最澄は、中国の故事に基づいてこの一句をお書きになられました。そこでは、魏王が、斉王に自分の宝玉を見せ、後者はどのような宝物を持っているかと訪ねます。斉王は、それより大事なものをもっていることを示す。平和を保ち、社会の秩序を守り、そして臣下が一人一人自分の役割をこなし、社会の一隅を照らすと、答えます。これにならい、最澄は道心(仏の道に帰依する心)を持ち、一隅を照らす者こそが国宝であると教えています。

 最近、派遣会社をつかって、人を雇う職場が増えてきました。人を使い捨てのように扱い、仕事場に継続性を重視しません。フリーターも増えています。お店に入っても、社員教育ができていないところやマニュアル通りしか対応できない人が増えている感じがします。もちろん、なかにはただ態度が悪い職員もいます。しかし、多くの場合は、会社側が雇っている人に人間らしい対応をしないので、雇われている人がやる気を失うと思います。

 先日は、あるギャラリーに用事で足を運びますと、受付の若い女性がそこに無表情で座っています。挨拶もしません。人見知りしているのか、ただそういう性格かも知れません。ですが、最近このようなことはよくあります。コンビニにたまに入ると、従業員が機械的な「いらっしゃいませ」を言い、無表情です。レジに行くと、私の顔を見ません。人がそこに立っていることを認識しないようです。私にしてはとても不思議に感じます。もちろん、ハワイのように皆が笑顔で挨拶することはなくても、人は機械ではないので、とても不自然に感じます。
 自分のことしか考えない人が増えているのではないでしょうか?社会が、自分以外の人のことを考える余裕を与えてくれないのではないでしょうか?お互い人のことを思いやり、大切に思えば、自分ばかりのこと、自分ばかりの利益を考えることができないと思います。一人で生きているのではないので、自分だけが幸せになれるわけがないはずです。阿弥陀様の慈悲や目に見えない様々ことによって生かされています。

 会社は、派遣を使って儲けることばかりを考えていますと、いずれは会社が腐っていきます。そして、そこにいる職員などが不満になります。社会も同じように、だめになります。あらゆるものが繋がっているので、段々と悪い影響が広がっていきます。これは、報告書に出てくる数字のように、目に見えて数えるものではありません。でも、実際に会社も社会も影響されます。目に見えないから、数えられないから、存在していない、あるいは評価できないと思う人も多いと思います。しかし、心や感情は、空気のように、目に見えなくっても、身近にある、我々の存在になくてはならないのです。だからこそ、「物」ではなく、人が国の宝であります。一人、一人が大切な宝石のそうな存在です。

 原 真 理


 静岡空港が造られることになると、ニュース特集やワイドショーでなにかと話題になった。東には羽田空港、西には中部国際空港が隣接しており、はたして静岡県に空港が必要であろうか。たしかにないよりはあった方が便利であり、特に東海沖地震が予想されるだけに災害救助には役立つという説明がされているが、1900億円もの巨額を投じてまで整合性があるのかというと、はなはだ疑問であろう。
 しかし、空港反対の人たちの用地を強制代執行までして建設が進められ、いよいよ来年3月には開港となった今、航空法に接触する立ち木があるので、予定通りの開港はできないとの発表があった。問題は1年前から把握しており、立ち木伐採の交渉をおこなってきたが許可が得られなかったので、実際の滑走路より短い使用により空港設置基準を満たして開港とするため、誘導灯の付け替え等の追加工事による延期という。さらに滑走路が短くなったため、利用できる航空機も小さくなるという。

 航空会社や旅行会社の困惑、そして何よりも県民の落胆を考えると、1年前から把握していた問題であるのに、直前での発表に県への批判が集中した。記者会見で県の説明責任を追及されると、石川嘉延知事は、
 「木が成長して伸びた」
と説明をしたという。最も説明責任をするべき立場の人間の「このひと言」に腹が立つとともに、県や県知事に不信感をつのらせた。なんたる説明であろう、これほど県民を愚弄(ぐろう)した言葉はない。空港反対者や立ち木所有者にも、このような態度で説明や説得がおこなわれてきたのではなかろうかと思いたくなる。予想される東海沖地震や台風などで大きな災害が起きたならば、きっと「自然の起こしたこと」と説明するのであろうか。
 おおかたの空港の開港の準備をしてきた人々は、一生懸命に努めてきたのであろうが、知事のひと言がすべてをぶち壊しにしてしまったといってよいだろう。いろいろな事業を進めていけば、必ずいろいろな障害が生ずることは否めないことであるが、そのときこそ、その人の真価が問われるときである。残念でならない。

 雪印事件、肉やうなぎの偽装事件、一流料亭の事件等、消費者に真摯に対応しなかったところに問題があったことは周知のことと思っていたのだが。人間にとって、真摯な心とはどこから生まれてくるのであろうか。

 浄土宗は2000年を迎え、法然上人800年遠忌を迎えるにあたって、劈頭宣言を発信し、
冒頭に「愚者の自覚を」を掲げている。人間は愚かなものであるという自覚こそ、人間の出発点であり、それがゆえに共生(ともいき)の必要を説く。そして共生していく心を育ててくれるのが「お念仏」であると導いている。

 知事に「お念仏」を強要するつもりはないが、「共生(ともいき)」の心があったならばと、思われてならない。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


劈頭宣言


 

第270回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
11月21日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
西福寺 矢弓 尚善 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
12月19日(金) 同時刻  大泉寺副住職 小島 健布 師

 

十夜法要のご案内

 本年もお十夜の季節となりました。一日ではありますが、ご先祖のご供養とともに、み仏の教えにふれますよい機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい。
 お檀家の皆さまには、10月下旬に郵便にてご案内申しあげます。

日   時
11月23日(日)13時より
会   場
願成寺 本堂
法   話
「未定」
講   師
増上寺布教師 大井 潔空 師
塔婆供養料
3,000円
申 込 み
専用ハガキ、電話、FAX、E-mail (前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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