願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、9月15日です。




宗祇忌(裾野市定輪寺にて)


宗祇法師像(定輪寺藏)

 戦国の時代、三島の町も例にもれず戦場と化していった。現願成寺あたりにも出城が築かれたという。前には大場川が流れ、後ろは箱根山麓が逼り、小高い丘陵地であるこの辺りは出城には最適地であったのだろう。現在も「城山」という地名が残っている。また願成寺歴代の住職には、口伝であるが源頼朝が金の兜(かぶと)を埋めたという伝説がまことしやかに伝えられており、ロマンを感じさせられる。

 伝説はさておき、この三島に陣をかまえたのが東常縁(とうのつねより)である。武将であるとともに、歌人であり国文学者でもあった。『古今和歌集』を研究した奥義を「古今伝授」と称し秘伝として確立した人物である。文明3年(1471)正月、この常縁のもとに連歌師飯尾宗祇(いいおそうぎ)が訪れ、初めてその「古今伝授」を授かったのである。
 そこでちょっとした事件が起こる。常縁の子竹一丸が風邪に倒れると、宗祇は三嶋明神にその平癒を祈るのである。そして全快を喜ぶ宗祇は、3日間で千句を独吟して奉納する。いわゆる、これが「三島千句」である。
 期せずして常縁の息子の風邪が、三島での「古今伝授」を証明することとなった。すると、「古今伝授」が三島の何処でおこなわれたかが問題となるが、なかなか結論が出ない。
 そんな時、我が願成寺から宗祇350年忌奉納の一幅の軸が発見された。折しも書院の建て替えでの引越によって出現したのである。当願成寺は三嶋大社歴代宮司矢田部家の菩提寺であり墓所があること、また鎌倉古道に面していることなどを総合して、元日本大学教授藤岡武雄先生は、当願成寺が最初の「古今伝授」がおこなわれた場所として認定された。和歌や連歌を創る者にとっては、当願成寺は歌の聖地となったわけである。これは大変なことである。

 この7月、宗祇の墓所がある定輪寺(裾野市桃園)で催された宗祇法師忌508年祭に参列させていただいた。関係者の皆さんのお話によると、300年忌、400年忌、450年忌、500年忌は分かっているが、どうしても350年忌の所在がわからずであったいう。願成寺の軸で宗祇350年忌が確認できたことをたいそう喜んでいただいた。
 こうした折、私も江戸期ではあるが「三島千句」の写本を入手することができた。もう、願成寺は「宗祇」一色である。

 大学の授業では大正大学本「源氏物語」を読んでおり、その源氏物語の書写に携わったのは三条西実隆周辺の人々であるが、奇しくも実隆は宗祇より「古今伝授」を受けているのである。そしてなによりも大正大学本『源氏物語』の「玉鬘」の巻は宗祇が書写しており、「少女」の巻は宗祇の弟子宗長が書写したものである。

 宗祇との縁(えにし)を感ずる今日この頃である。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久








 前回に引き続き、「おてつぎこども奉仕団」の指導員について書きたいと思います。指導員は、浄土宗の宗門大学の学生が中心です。時には、宗門大学以外の学生が寺院推薦という形で指導員になる場合もありますが、多くの場合は宗門大学の学生が指導員になります。
 この指導員になるためには、毎年行われる「おてつぎこども奉仕団指導員養成講座」に参加して、修了しなければなりません。2泊3日の日程で行われる養成講座は、救急救命講習や、子供の怪我やホームシックなどへの対応から、念仏の称え方や法然上人の一生といった、子供の命を護る方法から浄土宗における作法や浄土宗の教義までをいろいろと学びます。

 養成講座を修了した指導員は、各ブロックへと割り振られます。ブロックは前ブロックの手伝いをする非番と、自分たちのブロックである本番のあわせて3泊4日で行われます。各ブロックは、各大学の四年生や三年生がチーフとしてブロックの運営や、指導員の配役などをまかされます。
 このチーフという仕事は、「おてつぎこども奉仕団」に参加する学生にとって思い入れの深い役職です。チーフは、子供たちに念仏の教えを伝えると共に楽しくブロックの間を過ごせるように考え、子供だけでなく指導員たちも子供と楽しく過ごせるブロックを運営していけるようにしなければなりません。そして、他の指導員以上に前準備が必要であり、寝る間を惜しんで次の日の日程や運営を考えており、チーフは大変な役職なのです。チーフを始めとして、指導員は寝る間を惜しんで子供達の生活面から念仏教化を考えていきますが、その大変さはブロックの終わりには、充実感と「おてつぎこども奉仕団」への思いというものへと変わっていきます。解団式において、指導員から子供達へ一言おわかれを言う際に感極まってしまう指導員がたくさんいます。
 この指導員の流した涙は、とても大切なものだと思います。大学生が人目をはばからず流してしまう涙は、「おてつぎこども奉仕団」の大変さと共に子供達と楽しく過ごした、充実したブロックであった証拠なのです。

 さて、今年の「おてつぎこども奉仕団」も、約1000名の子供達が7月30日から8月5日の前期、8月18日から8月24日の後期を大きな怪我もなく、総本山知恩院と黒谷青龍寺で元気にお念仏をお唱えして、無事終了しました。これも職員の方々をはじめ、指導員達の運営によるものであり、いつか自分も「おてつぎこども奉仕団」へ子供たちを参加させてみたいと改めて思いました。

おてつぎこども奉仕団のホームページ
http://www.chion-in.or.jp/otetsugi/gyoji/k-hoshi.html

 天主君山現受院願成寺副住職
 魚 尾 和 瑛


「おてつぎこども奉仕団」の指導員1


「おてつぎこども奉仕団」の指導員2









第292回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
9月17日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
本法寺住職 清水 俊匡 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
10月15日(金) 同時刻  教福寺住職 上田 文雄 師




お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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