願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、12月15日です。





   箱根の山は 天下の険 函谷関も物ならず
   万丈の山 千仞の谷 前に聳え後に支う
   雲は山をめぐり 霧は谷をとざす

 ご承知のように唱歌「箱根八里」(鳥居忱作詞、滝廉太郎作曲)である。箱根の山は天下に名だたる険しい山であり、交通の要所として有名な中国の函谷関にも引けを取らないという。
 江戸末期の文政年間、箱根の山を越えてひとりの青年僧が向学のため京都に赴いた。名を福田行誡と云い、後の増上寺法主、明治20年には知恩院門跡を務めた人物である。
 したがって江戸そして東京と京都のあいだの行き来は、すべて徒歩によるものであった。東海道本線の開通が明治22年であり、上人遷化が明治21年であったからである。さすがに晩年は駕籠に乗っての往来であったろう。
 そうした折、箱根越えは感慨深いものがあったであろう。西遊日記に次の歌がある。
   箱根山 せきもる人も あらねとも
          越すやすからぬ 雲の夕くれ
 東京を発ち常に左手に相模湾を友としながらの旅であるが、箱根の湖「芦ノ湖」を経て峠を越えると、眼下には駿府の駿河湾が目に入ってくる。江戸そして東京を離れたという意識を持たされるのである。
 ときに峠の茶屋の主人が、紙を出してきて何か書いてくれという。話を聞くに日蓮宗という。「念仏対法華」といって、「浄土宗」と「日蓮宗」、「南無阿弥陀仏」と「南無妙法蓮華経」とは、相容れないものがあるのが普通であるが、行誡上人は「南無妙法蓮華経」のお題目を書いて渡したという。上人の度量の大きさを示す話である。

 明治維新にともなう王政復古、そして廃仏毀釈にともなう神仏分離政策がおこなわれた時代で、仏教伝来以来の法難の時期といってよいであろう。新政府は戸籍政策として、苗字をつけることを義務づけた。庶民にとっては平等の象徴化のように思えるが、僧にとってははなはだ屈辱的なことであった。俗世間を捨てたからこそ苗字は必要としないのである。戸籍制度を楯に苗字を強いられた行誡が選択した苗字は、「福田」であった。福田とは、田んぼにたくさんの稲が実ると幸いになるという意である。したがってお袈裟のことを、別名福田衣ともいう。この福田思想から拝借した苗字である。釈迦の弟子であるから「釈」というも苗字をつけた僧もいる。
 やはり、明治の僧侶は気骨あるもので、学ぶところが多いといえよう。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久








 段々と寒くなってきましたが、みなさま体調の方はいかがでしょうか。さて、今回は時宗の「一つ火」という法要についてご紹介しようと思います。時宗は、踊り念仏や一遍上人で有名だと思います。今回、ご縁があって一つ火の法要に参列することになりましたので、他宗派の法要ですが、いろいろな御宗派を知っていただければと思い紹介させていただきます。

 この「一つ火」という法要は、神奈川県藤沢市にある時宗総本山清浄光寺(遊行寺)で行われる、遊行寺の法要のなかでも最も重んじられる法要です。正式には、歳末別時念仏会の中日の法要のことを「一つ火」といいます。私たち、浄土宗にも別時念仏会がありますが、基本的に意味は同じで、決まった日時や期間を定めて、お念仏をお唱えするのが別時念仏会といいます。

 「一つ火」の法要は、前後半に分かれて行われます。まず、前半は「報土入り」と呼ばれます。これは、報土つまりは浄土往生の実践を行います。法要に参加している俗衆を一番から十八番までに定めて、その順序に従って報土に参入していきます。この報土入りでは、時宗独自のお念仏が行われています。遊行上人(浄土宗などで言う猊下にあたる方)の発声に従って、南無阿弥陀仏の阿と弥を引き延ばし、陀を張り上げて発声する、時宗独自のお念仏が堂内に響き渡ります。そして、一番から順に僧侶や参拝者(参拝者を代表して僧侶が呼ばれる)が一人ずつ呼ばれ、遊行上人から十念をいただいて、往生浄土が成ったとし、またこの世に戻り、人々を救うという還相回向の心を示します。
 私たち浄土宗では、一般的に十念を唱えますし、お檀家さんとも一緒にお唱えします。しかし、時宗では十念はいただくものであり、誰でもがお唱えするものではないようで、寺院のご住職や遊行上人のみがお唱えするものなのだそうです。

 そして後半が「一つ火」の法要になります。堂内の内陣は極楽であるとされ、「一つ火」の法要の前に清掃とその確認が行われ、次々と堂内の明かりとろうそくが消されていきます。ご本尊阿弥陀さまの前の明かりとその真向かいにある、お釈迦さまを示す明かり以外は消されて、堂内は暗くされていきます。そして、最後に残る二つの明かりも消され、本当の暗闇に堂内はなります。全部の明かりが消されると、係の僧侶は手探りで火打ち石を使い、火を新しく起こし、それと同時に僧侶たちがお念仏を唱え始め、それに伴って堂内は順々に明るくなっていきます。これは、無明暗夜の闇は晴れて、阿弥陀さまやお釈迦さまをはじめとする諸仏の光明が輝き念仏三昧の世界が戻ってきたことを示します。
 最後に、法要に参列した参拝者に、遊行上人自ら南無阿弥陀仏とお名号が書かれたお札を配り、「一つ火」の法要は終わりとなりました。

 時宗は浄土宗と同じ、浄土教系列の宗派ですが、お念仏の唱え方や衣の色などが全く違い、言うなればカルチャーショックのような感じでした。しかし、堂内にたくさんの参拝者がおり、その方々一人一人に遊行上人が手渡しでお名号を授けている姿をみますと、お念仏の力、阿弥陀さまの力は偉大であるのだなと改めて感じさせられました。
 「一つ火」は毎年、11月27日に行われ、基本的には一般の方も参拝することができるようです。機会がありましたら、是非参拝していただければと思います。

 天主君山現受院願成寺副住職
 魚 尾 和 瑛


一つ火法要の準備が整った堂内


名号









暮れの墓地大掃除のお知らせ

 毎年12月の第2日曜日は、暮れの墓地および境内地の大掃除となっております。お忙しい折とは存じますが、ご家族でご参加下をお願いいたします。当日は「温かいおでん」を用意いたしておりますので、お掃除終了後お召し上がり下さい。

日   時
12月12日(日) 9時より (小雨決行)
お 願 い
できますならばお掃除の道具をご持参下さい。
駐車場が少ないのでご注意下さい。

 

第295回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
12月17日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
大泉寺副住職 小島 健布 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
1月21日(金) 同時刻  講師 未定

 

修正会(新年会)のお知らせ

 恒例の新年の初参り、護持会総会、新年会を開催いたします。ご申込は、暮れのお参りの折、またお電話にて前日までにお願いいたします。

日   時
1月4日(火) 11時より
内   容
初参り、護持会総会、福引き、会食
会   費
2,000円
申 込 み
暮れのお参りの折、電話、FAX、E-mail (前日までに)

 



お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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