願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、11月1日です。




御簾と几帳


女たちの前には几帳、後ろには御簾、
本来は顔の前に扇があります。

 源氏物語のお話ですが、柏木の最期の場面を紹介いたしましょう。光源氏のお屋敷の庭で蹴鞠(けまり)がおこなわれ、女たちも若い男たちの姿を楽しんでおりました。無論、女たちの前には御簾(みす)が下がっており、決してその顔を見ることができないのが普通でした。その時です、事件が起きました。光源氏の正妻である三の宮の飼い猫が、その御簾に引っかかり、三の宮の顔が見えてしまったのです。女たちは、その素顔を人前に曝すことは、決してなかった時代です。普段であれば、女たちの顔の前には扇があって、そう露わには見られてしまうことはないのですが、若い女たちには御簾や木丁があると油断していたのでしょう。柏木は、一目見ただけですが、三の宮に心を奪われてしまったのです。

 来る日も来る日も、三の宮のことが頭から離れません。その猫を借り入れて、溺愛をするのですが満たされません。しかし、一夫多妻の社会といっても、相手は天下にとどろく光源氏さまの奥さまなのです。人を介してほんの少し会うことをするのですが、それが事故を引き起こしてしまい、光源氏の知れるところとなってしまったのです。それは貴族社会で生きていけないことを意味しており、自責の念から床に就いてしまうのです。

 当時は、親が健在ですと、男とて実家にて養生をしたようです。父の致仕大臣はその財力にまかせて、息子の病気平癒の加持祈祷をおこなうのです。山奥にいる聖や修験者にいたるまで呼び集められます。陰陽師は「女の霊」が着いているというのですが、その正体が現れません。それもそのはず、原因は物の怪にあったわけではないのですから。

 自らの死を避けられないと悟った柏木は、憔悴(しょうすい)の一途を辿り、辞世とも思える句をしたためます。その相手は、妻でもなく親でもなく、三の宮でした。

   いまはとて 燃えむけぶりも むすぼほれ
                    絶えぬ思ひの なほや残らむ

 「これが最期と私を火葬する煙もこの世に留まり、私のあなたへの思いも同じように、やはり残ることでございましょう。多少なりとも哀れと思っていただけないでしょうか」と読みます。
 何とはげしい歌でしょう。普通であれば、「あなたさまにもご迷惑をお掛けいたしましたが、死して邪なる恋も終わりを告げることでしょう。私も楽になれます」といいますのが一般的でありましょう。

 仏教では、死して仏さまになりますと、今生での恨みや憎しみはすべて消えてしまうのです。いがみあった者でも極楽で出会いますと、にこやかに会釈をするようになるのです。それが死ぬことであり、私にとりましては往生ということになります。死して恨みを残すなどとは、とんでもないことでございます。皆さまはどうお考えになりますか。

 物語は、そこからまた、新なストーリーが展開するのでしょうが。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久









東北地方太平洋沖地震義援金のご報告

 お彼岸のあいだ玄関でお寄せいただきました「東北地方太平洋沖地震義援金」 と 観音堂大祭の経費の一部を、浄土宗を通し見舞金といたしまして被災された方々にお送りいたしました。誠にありがとうございました。

「義援金箱」
      77,303 円
「観音堂大祭経費」
     100,000 円

 

第305回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
10月21日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
大泉寺東堂 小島 捷亮 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
11月18日(金) 同時刻  如来寺 荻田 宣史 師

 

十夜法要のご案内

 本年もお十夜の季節となりました。一日ではありますが、ご先祖のご供養とともに、み仏の教えにふれますよい機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい。
 お檀家の皆さまには、10月下旬に郵便にてご案内申しあげます。

日   時
11月12日(土)13時より
会   場
願成寺 本堂
法   話
「落語入門」
講   師
落語家 林家 正雀 師匠
塔婆供養料
3,000円
申 込 み
専用ハガキ、電話、FAX、E-mail (前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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