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次回配信日は、6月15日です。




閻魔大王(版本)


法然上人(願成寺藏)

 仕事柄、ときに版本を見ることがある。おおかた江戸期のものである。活字本と違って、何か特別な書物を読んでいるようにも思われて、背筋がピンとするのが不思議であり、時として気持ちのよいものである。
 特別なものを除けば、江戸期の版本で1冊数千円で買うことができるが、やはり絵入りのものになると多少高くなる。江戸後期になると出版事業も盛んとなり、多様な分野の本が作成され、人気のある洒落本や人情本などは江戸文化の成熟とともに重版されていく。また、仏教関係書物も流行本には及ばないまでも、ある意味では安定的に再版が重ねられていったようにも思われる。

 最近気付いたことであるが、閻魔(えんま)信仰に関わる書物には、閻魔さんの怖さをリアルに描くためか、積極的に絵入りの版本が作成されたようである。閻魔さんは、冥界の王・総司として死者の生前の罪を裁き、嘘をついた者は地獄で閻魔に舌を引き抜かれる刑に処されるという俗説まで生じて、子供を叱ることの常套手段になっているのである。
 その閻魔さんの絵が、どれも同じ図柄が用いられているように思う。現在のように版権が云々される時代ではなく、むしろ閻魔さんの姿が共通の概念となった結果といえよう。

 そういえば、法然上人も日蓮聖人も当然ながらそのお姿を伝える写真があるわけではないが、描かれるそのお姿はみな同じようである。法然上人は柔和なお顔立ちであり、日蓮聖人はおおかた凜々しいお顔である。そのご生涯によるものであろうか。
 今ひとつ気がついたことであるが、絵として描かれた法然上人のお姿は、おおかた右の方をご覧になっている。日蓮聖人は左向きである。
 この法然上人のお姿は、後白河法皇が上人の教えに感動して似絵(にせえ)の名手である藤原隆信にその姿を描かせたという伝記があり、法然頭も又この肖像画に始まるといわれている(知恩院藏披講の御影)。

 因みに拙寺の法然上人のお姿も、この流れを踏襲している。この原稿を書き終えて、改めで手をあわさせていただいた。

【版本】 はんぽん
 広義では書写本に対して印刷に付した書物をいい,狭義では活字その他による印刷本に対してとくに木刻整版本をいう。

【洒落本】 しゃれぼん
 江戸時代の小説形態の一種。享保(1716‐36)後半から始まり,文政(1818‐30)ころまでに多く刊行された,遊里に取材する短編の小冊子(小本(こほん))。遊客遊女などの姿態言動を,会話を主とした文章で写実的に描き,かんたんな小説的構成をとるものが多いが,漢文体,狂文体の遊里繁盛記・風物誌,あるいは遊興論もある。〈洒落〉とは,遊里を中心に生まれた〈通(つう)〉という美的生活理念を中軸として,人間の言動の滑稽味を描くことを意味する。

【人情本】 にんじょうぼん
 幕末から明治初年にかけて流行した近世小説の一ジャンル。人情本の源流の一つは,式亭三馬,梅暮里谷峨(うめぼりこくが)らが,寛政の改革以降に著した物語性に富む連作洒落本(しやれぼん)に求められるが,それとともに読本(よみほん)を通俗化し,講釈などの話芸をとりいれた中型読本と呼ばれる大衆読み物からの転化が考えられる。前者の系譜を引くのは《娼妓美談(けいせいびだん) 籬の花(まがきのはな)》(1817)など,末期洒落本作者として出発した鼻山人であり,後者の中型読本から市井の男女の情話を描く人情本様式への転回を告げたのは,新内の名作《明烏(あけがらす)》の後日談として書かれた,2世南仙笑楚満人(なんせんしようそまひと)(為永春水)・滝亭鯉丈(りゆうていりじよう)合作《明烏後正夢(のちのまさゆめ)》(1819‐24)と素人作者の写本《江戸紫》を粉本とした十返舎一九の《清談峯初花(せいだんみねのはつはな)》(1819‐21)であった。

【似絵】にせえ
 鎌倉時代から南北朝時代にかけて流行した肖像画の一種。13世紀から15世紀にかけて確認される〈似絵〉の用語例をみると,尊崇や礼拝のための理想化の加えられた肖像画とは異なる写生画的・記録画的肖像画で,主眼はもっぱら対象とする人物に似せることにあったと思われる。

【法然頭】ほうねん‐あたま
 《法然の頭の形に似ているところから》頂がくぼんでいる頭。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久









第325回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
6月21日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
福泉寺 岩佐 善公 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
7月19日(金) 同時刻  願成寺 魚尾 孝久 師

 

宗祇法師の会 (6月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
6月17日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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