「何故に日本では、桜の花を待ち望みそして花見が盛んなのだろう?」といわれた。外国の人に聞くに、「お花見」という行事はないという。どうも日本人には「さくら」に特別に反応するDNAが埋め込まれているようである。今年は桜の開花は、日本気象協会によると次のようである。
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2014年の桜(ソメイヨシノほか)は、3月18日に高知、21日には熊本や長崎で咲き始めるでしょう。各地の開花日は、ほぼ平年並みですが、四国と九州は平年より3〜4日早い所があるでしょう。関東や甲信地方と北海道は平年より3〜4日遅い所がある見込みです。満開日もほぼ平年並みですが、平年より3日ほど遅い所があるでしょう。大阪や東京で見頃になるのは4月のはじめ頃の見込みです。
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東京都心の満開予想日が4月6日で、平年よりも3日遅く、昨年よりも15日も遅いという。多少の早い遅いがあってもよいものであるが気になる。昔は小中学校には必ず桜の木が植えられており、入学式には満開というのが定番であったが、今はどうであろうか。花の時期はよいが、桜の管理には毛虫と落葉という問題がある。比較的管理しやすい植物に入れ替わっているようにも思うがどうであろうか。
日本には初雪が冬の始まりであり、梅雨明けが夏のきたことを知らせ、桜の花が春の到来を告げており、四季の変わり目の象徴として感じているのであろう。そのなかでも春こそ、最も待ち望まれる季節であることから、桜の花こそ待望の花となるのである。
また桜の花が咲く時は、稲の種蒔きを始め大方の夏野菜の種蒔きの時期でもあり、すべての生き物の活動宣言を祝福しているようでもある。
こうした桜の花であるから戦後まもなく復興の象徴として植えられ、すでに60年を超えたのである。ここにひとつの問題が生じた。じつは桜の木(ソメイヨシノ)の寿命が俗にいうように60年であることから、特に環境のあまりよくない都会では枯れる桜が多くなったことである。
そもそもソメイヨシノは江戸末期に江戸染井村の植木屋が創り出した新種の桜であり、自然淘汰のなかで生き残ってきたヤマザクラとは根本的に違うものであるという。クローン(接ぎ木)によって爆発的に増やされた植物は弱いということになり、それなりの保護を必要としている。
したがって桜を楽しむには、充分な管理とつねに植え足していくことが求められているといえよう。わたしの寺でもソメイヨシノの老木が今まさに朽ち絶えようとしている。自然にできた木の洞にはモミジが生えてしまい、通路側に伸びた枝は邪魔といわれ伐られ、命尽きようとしている。責任を感ずる住職である。
特に寒い国では春の告げる花や行事があるのかと調べてみると、豊かな森林と湖で自然のなかにあるような国フィンランドでは、花粉症もまた春の到来の現象という。日本ではスギ花粉であるが、北欧ではシラカバという。お花見もままならぬのが現状であろうか。
わたしも3年前に河津桜を10本ほど植えたが、今年はまだ花は咲かなかった。丁寧に育てていこうと思っている。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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