願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、5月15日です。





来訪者

 「名(な)は体(たい)を表(あらわ)す」という言葉がある。辞書を引くと、次のようにある。
  名前はその物や人の性質や実体をよく表すものだということ。
 すると、すべての人の名は、それぞれの思い入れがあるということになる。当然のことで、親は我が子に思い入れを持って名前を付けているのである。

 私、住職の名前は、「魚尾孝久(うおおゆきひさ)」という。「孝」という字があるから、親孝行をする子にとの思いで付けられたかのように思うが、そうではない。
 中学1年の時、父親が古典を教えるといって、『方丈記』の文庫本(岩波文庫)を与えられ、教えを受けた。この本を校訂されたのが、山田孝雄(やまだよしお)である。彼の「孝」の字をとっての銘々であると聞いた。父は万葉集を愛し、我が子の名前の1字を、国語学者の名前を頂戴して付けたという。父なりの思い入れを感ずる。いささか負担にも思うが、今大学で『源氏物語』の講義をしていることを思うと、父の気持ちに忖度(そんたく)できたようにも思う。
 私だけが特別でなく、すべての人がご両親ご家族の思い入れに、願いを込められての銘々であったのである。

 ただ名付けは、時代を反映している。
 先日「亀」という字のついた、100才になろうという方のご法事をおこなった。特に明治から大正時代の方のお名前に、「亀」「鶴」「虎」「熊」「龍」など動物の名をとった名前が、男女ともに多く見られる。
 現代では多少の違和感があるが、当時の現実を考えると納得をするものがある。明治から大正期の過去帳を見ると、1年の亡くなられた人の半数近くが、3才に満たない子供たちである。医学と衛生の乏しい時代にあって、生まれた子供たちは、常に死と向かい合わせであった。時とすると、我が子が無事に育って2〜3才になってから出生届を出す親もいて、昔は実年齢は2つ多いんですよということになる。
 したがって、我が子の名前も必然的に長生きをする動物、強い動物の名前となる。女性のお檀家さんで、「くま」という名前の方がいたが、親の丈夫に育ってほしいという願いが込められた名前だったのである。
 そうした思いを込めて、自ら名付けるのではなく神社や寺院にお願いするようになる。戦後まもなくまでは、また生まれた子どもから見ると、お祖父さん、大おじいさんに名付けてもらうことも多かった。

 皇室で「○○子」という名前が付けられると、一斉に女性の名に「子」が付けられるようになる。いわゆる「まつ」「たけ」「うめ」が、「松子」「竹子」「梅子」となるわけである。最近は少なくなったが、日常的には勝手に「子」を付けて「うめ子」として使用していたが、戸籍では「うめ」である。戒名を付ける段階で、親族から告げられるのである。
 現代では「子」が付く女の子は、極端に少なくなっている。

 昨年度名前ランキング女子1位は「結菜」である(明治安田生命の生まれ年別の名前調査による)。読み方は、「ゆな」「ゆいな」「ゆうな」である。
 はなはだ失礼ではあるが、どんな結球野菜(キャベツ、ハクサイ、レタス類)かと思ってしまう。辞書をひくと「湯女」ヒットしてしまう。この原稿を書いたために、私のパソコンの「ゆな」漢字変換順位は、「湯女」から「結菜」に変わってしまった。
 現代の名前の付け方は、まず呼び名がきまり、それに合った文字や好きな文字が当てられているようにも思われる。まず「ゆ」「ゆう」にあたる漢字として「由」「優」「結」「柚」が考えられ、次に「な」にあたる「奈」「那」「菜」との組み合わせで決まるようである。
 昔はよい漢字、たとえば「幸」が決まり、読み方として「さちこ」「ゆきこ」「たかこ」「こうこ」が選択された。大正14年「幸子」は、晴れてランキング1位を獲得するが、翌年昭和になると「和子」に首位を奪われ、2位に甘んじることとなる。
 名前の変遷、興味深いものがある。

【蛇足】 父の『方丈記』講義は、3回で終わってしまった。まさしく三日坊主である。長じて、そのことを訪ねると、「3回やれば、その道筋はできた。後はおまえの資質である」といわれた。その考えは踏襲している。

【校訂】こう‐てい
 書物の文字、語句などの誤りをなおすこと。特に、古書の本文をいろいろの伝本と比べ合わせて誤りを訂正すること。校。

【山田孝雄】やまだ‐よしお
 国文学者、国語学者。富山県出身。国語調査委員会補助委員、日本大学高等師範部勤務、東北帝国大学教授を経て、昭和一五年(一九四〇)から同二〇年まで神宮皇学館大学学長。国語・国文学、特に文法研究の分野での功績が大きい。同三二年文化勲章受章。著「日本文法論」「奈良朝文法史」「平安朝文法史」「国語学史」など。明治六〜昭和三三年(一八七三〜一九五八)

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久









朝日テレビカルチャースクール三島(第3期)

「 源氏物語」を味わう  〜 光源氏が誘う平安貴族の世界 〜

 源氏物語は、今から千年もの昔に作られた物語ですが、そこに描かれている世界は色あせることなく、現在に生きる私たちに数々の感動を与えてくれます。光源氏の案内で、恋の世界・親子の世界・夫婦の世界、そして死の世界を訪ねてみましょう。きっと新しい人生観を垣間見ることができますよ。

開 催 日
第1・3金曜日 13:30〜15:00
会   場
朝日テレビカルチャースクール三島校(随時入学可、一回受講)
講   師
願成寺住職、大正大学非常勤講師  魚尾 孝久
受 講 料
3ヶ月 全6回 ・・・ 14,256円   1回 ・・・ 下記へお問合せ下さい
申   込
TEL:055-971-4041

 

第384回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
5月18日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
萬松院 吉田 宏得 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
6月15日(金) 同時刻  福泉寺 岩佐 剛昇 師

 

宗祇法師の会 (5月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
5月28日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会

 

大施餓鬼会のお知らせ

 本年もお施餓鬼会法要を、下記のごとく厳修いたしたくご案内申しあげます。ご先祖の供養とともに、一日ではありますが、みほとけの教えにふれます良い機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい(当日ご参加できません方には、当寺にてお塔婆をお墓に立てさせていただきます)。

日   時
5月30日(水)  【14時】法要
法   話
未定
未定
供 養 料
3,000円
申 込 み
お参りの折、電話、FAX、E-mail(前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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