今年もお施餓鬼法要は、コロナ禍のなか、副住職が導師を務め勤修された。随喜してくださるお寺さん、そして何よりもお檀家さんのいない法要は、鐘の音と導師の声だけが本堂の中に響き、なんとも寂しい限りである。何時になったら、日常の法要が戻ってくるのであろうか。これからは、このままコロナ感染におびえながら、日常生活を始め仕事や法要なども考え方を変えなければならないのだろうか。誰もが不安を感じていることだけは、間違いない。

　そんな中で、法要には3歳と7歳の孫が代表してお焼香をしてくれたことは、大変に嬉しかった。無論、孫たちはコロナ感染予防ワクチンを接種しているわけではないので、多少の不安がなかったわけではないが、1年半ぶりに孫に会いたいという気持ちが優先してしまったのであろうか。神妙にお焼香する姿は神々しくもあったのは、自分の孫であったからであろう。

　ともかく無事に法要を終え、午後からご褒美に「富士サファリパーク」に案内をした。お寺から車で45分であること、そして自分の車での見学であり、コロナ禍では最高の安全が確保できることから決定であった。2度目であるうえの孫は余裕を持って動物たちを楽しみ、3歳の孫の興奮はマックスである。図鑑で見ていた動物が、目の前にいるのであるから当然かもしれない。サイを見ると「あれなーに」と、問いかける。じつに楽しいひとときであった。

　佛教にも神道にも「疫病退散」の法要や神事がたくさんあり、今までは「そんなもの効くわけない」と思っていたが、完璧な治療法のない今、昔の人々が神仏に祈る気持ちも理解できたようにも思う。
　いっときも早く、コロナ禍の終息を願うばかりである。

　天主君山現受院願成寺住職
魚 尾　孝 久

　ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

　教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

　寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

　インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

　毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

　諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

　天主君山現受院願成寺住職
魚 尾　孝 久