阿弥陀さまを拝する。胸の前に両手の掌を合わせて頭を垂れる形は、古代インドの礼法からだという。仏さまやお墓を拝むときに、静かに手を合わせ眼を閉じて念じている姿を見るが、きっと脳裏には阿弥陀さまや亡くなられた人のお顔やお姿が映っているのであろう。

 私は、仏さまのなかでも阿弥陀さまを拝むときには、特にお顔を拝して手を合わせることにしている。不思議なことに、阿弥陀さまのお顔が拝するたびごとに違うのである。あるときには怖いお顔をなさっており、またあるときには優しく微笑んでいらっしゃる。時には悲しそうなお顔をなさる。
 本堂に行きお香を焚き手を合わせると、毎日違ったお顔である。いや、朝と昼ではもう違っているのである。そのときによって違って見えるといったのがよいであろうか。

 阿弥陀さまのお眼は、お不動さまのように大きな鋭いわけでもないが、かといって慈母観音さまのような優しい眼差しでもない。そのお眼は半眼といって、少し細長の半分だけ眼を開けた状態である。この半眼が、ときには笑っても見え、ときには怒っても見えるのである。
 嬉しいこと楽しいことがあったとき拝すると、「良かったね、その心を大切にね」と、怠け心をもちながら拝すると、「駄目ではないか」とお叱かりを受ける。阿弥陀さまのお顔は、今現在の私の心を映しだしているといってよいだろう。

 阿弥陀さまを拝すると、癒され安心(あんじん仏道修行によってえられる安定した心の状態をいう)を頂戴する。元気を頂戴するためにも、手を合わせるとともに、しっかりと阿弥陀さまのお顔をみて、しばらくの間お話をさせていただく。そして静かに眼を閉じて念ずるのである。

 つねに微笑んでいらっしゃる阿弥陀さまを拝せるように、ともども精進したいものである。


天主君山現受院願成寺住職

魚 尾  孝 久


 何の花だかわかるでしょうか。そうです「オリーブの花」です。5月に境内の片隅で、木いっぱいに花を咲かせたのです。とても小さな花ですので、お気づきにならなかった方のが多いでしょう。

 オリーブにつきましては、香川県のホームページに次のような説明があります。
 1954年(昭和29年)3月、戦争で荒廃した郷土に、その県を象徴する植物を選定し、郷土愛と植物愛を育むという趣旨のもとに東京において「郷土の花」中央選定委員会が開催されました。その際、香川県の「郷土の花」として選定されたのが、オリーブの花。同3月26日には、NHKによって全国に発表されました。その後、1966年(昭和41年)には県木に選定され、今では広く県民に親しまれています。
 ギリシャ神話の中にも度々登場する、古い歴史を持つオリーブが、香川県に持ち込まれたのは1908年(明治41年)のこと。香川、三重、鹿児島の3県に植えられたオリーブのうち、香川県小豆島の507本だけが見事に成長を遂げ、3年後には7kgの実が収穫されました。小豆島の温暖な気候が、きっとオリーブにふるさと地中海を思い出させたのに違いありません。
 オリーブは、同じモクセイ科のキンモクセイの花によく似た小さな十字の形をしています。乳白色のオリーブの花が満開になるのは、5月末から6月初めの2週間ほど。花が落ちると、そこには小さな小さな緑色の実が姿を現します。そして、秋には、緑色にきらきら大きく膨らんだオリーブの実の収穫がはじまるのです。
 実からとれた油はオリーブオイルとして、食用に化粧品にと小豆島を代表する産物になっています。
 平和と幸せのシンボル「オリーブ」が香川県にやってきて、今年で96年。小豆島・オリーブの丘では、オリーブの葉が太陽の光を受けて、瀬戸内海の波と同じように、きらきら穏やかに揺れています。小豆島で生育したオリーブの木は、香川県内の街路樹や公園はもちろんのこと、今では日本各地で元気に育っています。これからもふるさと小豆島を思いつつ、遠く地中海をしのびながら、人々の平和と幸せを願って、ますますその根を伸ばし続けていくことでしょう。
http://www.pref.kagawa.jp/kocho/variety/v20040331/

 願成寺のオリーブの木は、20年ほど前に近藤房徳さんよって植えられました。やはり小豆島のお土産としていただいたのものです。何年たっても花ひとつ付けたことがなく、近藤さんが「三島では無理かなー」とおっしゃってから何年たったでしょうか。昨年初めて花を咲かせ、立派な緑色の実を付けたのです。正確にいうと実に気がついたのであって、花はろくに見ていないのですが。
 二人してしばらく眺め、「来年からはオリーブ油が取れるかな、オリーブの実を漬けなければ」と話したものです。どちらもそう簡単なことではないのですが、夢をふくらませたものです。

 今年は5月になると毎日、木下へ行き花の咲くのを待ちました。写真の通り、満開でした。ですが、そこには私一人で、近藤さんの姿はありませんでした。この3月、近藤房徳さんは89歳で浄土へと帰られたのです。
 近藤さんには、長年境内の植木のお世話をしていただいておりました。境内の1本々々の木に、たくさんの思い出があります。
 生涯のなかで、たくさんの人と出会い別れていくのですが、奥さまや子供さんたちとは違った形で忘れることのできない人であります。私の心の中では、生涯語り続けてくれるでしょう。


天主君山現受院願成寺住職

魚 尾  孝 久

 

 

 


 

 

 

 

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月一回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。


天主君山現受院願成寺住職

魚 尾  孝 久

 

本メールマガジンがご不要な方は、下記URLから講読解除できます。

http://ganjoji.com/mlmaga.html (解除・退会)

 



▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。


墓地清掃

 恒例となりました、お盆の墓地清掃をおこないます。檀信徒総出でのお掃除の機会でもあり、また、「そうめん流し」も用意いたしておりますので、ご家族とともにご参加いただけますようお願い申し上げます。

日時
7月4日(日) 9時より(雨天決行)

 

7月のお盆棚経

 お盆の棚経は、「ご自宅へ伺っての棚経」 と 「お寺での棚経」 とがあります。6月下旬にハガキにてご案内申しあげますので、ご希望をお知らせ下さい。

「ご自宅での棚経」
7月13,14,15日のうちお伺いする日を連絡します。
「お寺での棚経」
7月13日(火)10時、13時いずれかに本堂へ。
前日までにお電話で連絡をお願いします。

 

お盆灯籠流しの販売

 7月16日(金)、三島市仏教会主催の「灯籠流し」が水泉園(白滝公園)でおこなわれます。7月4日より、灯籠を販売いたします。

 

8月のお盆棚経

 お盆の棚経は、「ご自宅へ伺っての棚経」 と 「お寺での棚経」 とがあります。7月下旬にハガキにてご案内申しあげますので、ご希望をお知らせ下さい。

「ご自宅での棚経」
8月13,14,15日のうちお伺いする日を連絡します。
「お寺での棚経」
8月13日(金)11時、本堂へ。
前日までにお電話で連絡をお願いします。

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土い返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。