浄土宗を開かれた法然上人は「南無阿弥陀仏」のお念仏であらゆる人々が救われることをお説きになられ、建暦2年(1212)1月25日、80歳をもちまして往生されました。
毎年、法然上人のご遺徳をしのび報恩をささげます「御忌(ぎょき)」法要が厳修されております。
毎年の御忌法要は無論のこと、特に50年ごとの御忌法要を、「大遠忌」と称しまして、特別法要が営まれて参りました。
来る平成23年(2012)には、法然上人が往生されて800年を迎えますことから、浄土宗、総本山知恩院、増上寺をはじめといたします各ご本山では「法然上人800年大遠忌」法要の準備に着手されました。浄土宗門主知恩院門跡、中村康隆猊下は今年で100歳を迎えられておりますが、「法然上人800年大遠忌」法要の成就のために、毎日お念仏を申されております。そして、この「法然上人800年大遠忌」を勝縁といたし、「真実人生に生きる喜びを体得していただくよう勧奨あらん」ことを念じておられます。
昨今の国際情勢を考えみますに、イラク戦争、テロ、自爆等をはじめとして各地で紛争内乱が勃発して、国連の監視団、平和維持軍、ミッションが派遣されている国や地域だけでも十数カ所に及びます。また、国連難民高等弁務官事務所によりますと、116カ国に事務所を設けで1920万人の難民の支援がおこなわれているそうです。
国内に目を向けますと、幼い子供たちが次々と殺され、役人も大企業も偽装隠蔽の巣窟となっております。そしてジャワ島地震によります5000人を超える死者がでるなど、自然災害が追い打ちをかけております。
まさに地球は、破滅の一途を辿っているといえましょう。
こうした状況の中で、私たちには、何ができるのでしょうか。『浄土宗21世紀劈頭宣言』に、
20世紀は人間の限りない可能性を信じた時代であった。科学
技術の進歩、合理的思惟、それらは人間の生活や文化の領域
を拡大してきた。
しかし、一方、恐るべき核兵器の開発、国家や民族間の対立、
地球環境の破壊、人間の欲望の肥大、家庭の崩壊、道徳や教
育の荒廃など負の遺産もまた生じた。
これらを引きつがざるをえない我々は、法然上人の説かれた
「愚者の自覚」に立ち返って、これを解決すべく平和、環境、倫
理、教育、人権、福祉などの諸問題に取り組まなければならな
い。
法然上人は、阿弥陀仏の本願(ほんがん)を信じて念仏をとな
えることから、真実の生き方が生まれ、阿弥陀仏の世界へ往生
することができると説きつづけた。そして、「南無阿弥陀仏」の念
仏は、多くの人びとの救いとなった。
法然上人は、煩悩(ぼんのう)にとらわれた人間の哀しみをみつ
め、新たな救いを見出したのである。
と、あります。
「法然上人800年大遠忌」にあたり、いま一度、法然上人の説かれました「お念仏の心」を考え、実践していこうではありませんか。
拙寺におきましても、『浄土宗宗祖法然上人800年大遠忌』にむけまして、法然上人の顕彰、記念事業など各種計画を皆さまとともに実施いていこうと思っております。物心ともにご協力をお願い申し上げます。
国連難民高等弁務官事務所
http://www.unhcr.or.jp/
『浄土宗21世紀劈頭宣言』
http://www.jodo.or.jp/21th/index.html
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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