願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。


 昨年の5月、施餓鬼法要にてご講演をいただきました木村彰男先生が、日本経済新聞に「医師の目」(全5回)と題しリハビリにつきまして連載をされました。高齢者社会を迎え、ますますリハビリの重要性が指摘されておりますので、木村彰男先生ならびに日本経済新聞社のご許可をいただき、ここに全文を掲載させていただきます。



木村 彰男 先生


ペンは剣より強し

 (「日本経済新聞」平成18年11月5日掲載)

 慶應大学月が瀬リハビリテーションセンター所長
 木 村 彰 男 先生

 「○○さんのおばあちゃん、今日は来ていないね」「腰痛で毎日のように牽引(けんいん)に来るのにね」「○○さんの顔見えないと寂しいね」「本当に病気になっちゃったのかね」。老人の医療費が無料で、病院、診療所がお年寄りの"サロン〃となっていたころの待合室での会話です。
 高齢化社会を迎え、医療費の抑制が大きな問題となっています。善しあしは別として、医療機関に高齢者の姿が多かったのは事実です。近年は窓口での患者負担が増し、高齢者も例外ではないので、サロン化にある程度歯止めがかかっています。
 医療費の「価格表」である診療報酬は二年ごとに改定されますが、今年四月の改定はリハビリ分野に厳しいものでした。サロン化を招くような効果のはっきりしない治療を漫然と続けないように、ある期間以上の治療は認めないとされ、疾患ごとに五カ月または六カ月と治療期間に上限が設けられました。
 だらだらと何年にもわたって物理療法を続ける医療機関は確かに存在しますが、他方、継続してリハビリが必要な患者さんがいるのも聞違いありません。にもかかわらず、こうした患者さんにも同じルールが適応されることになりました。
 脳卒中による重度の片麻痺(まひ)や、脊髄(せきずい)の障害で四肢の麻痺を抱える患者さんは、常に機能維持に努めなければならず、長期にわたるリハビリが必要不可欠です。疾患により一律に治療期問が限定されることには無理があります。真にリハビリを必要とする患者さんには除外規定が設けられていますが、医療現揚ではかなりの混乱が生じています。
 改定の背景には、長期のリハビリが必要な慢性の患者さんは、医療保険ではなく介護保険で対応しようという国の方針があります。ただ、介護施設ではお世話という介護は提供できても、個々の患者の機能維持に対するサービスは提供できないのが現状です。
 医療費抑制を巡っては、医療の様々な現揚で問題が起きています。経済の状況に医療を合わせる施策があまりにも進むと医療の質の低下を招く、と危倶するのは、私ばかりではないでしょう。

(この項おわり)


(前話は、願成寺ホームページ「メルマガお申し込み」のバックナンバーにあります。)

第2巻「帚木」その22

 光源氏、伊予介の新しい妻のことを知る。

女たちの話に特別なこともなかったので、聞くのをやめた。式部卿宮の姫君に、朝顔をさしあげた歌などを少し間違って語っているのも聞こえる。くつろいた感じで、すぐに歌を口にするようであるな、逢ったならばがっかりするであろうとお思いになる。

 (光源氏のところに)紀伊守が出てきて、灯籠の数をふやし、大殿油の灯を明るくしたりなどして、お菓子などが用意された。
(光源氏は)「女はどうかね。そちらの用意がなくては残念なもてなしというものだ。」
と戯れると、
「なにがよいか、よくわかりませんで」
と、かしこまって控えている。端の方の御座所に仮のようにして大殿籠りになると、供の者たちも寝静まった。

 守の子がかわいらしげである。殿上でっもご覧になられた童もおり、伊予介の子もいる。たくさんいる中にたいそう様子が上品な12〜13歳ばかりなのもいる。
「どの子がだれの子か」
などおたずねになるのと、
「この子は、故衛門督の末の子で、たいそう可愛がっておりましたのを、幼いときに死に別れ、姉の縁でここにいるのでございます。才能もないわけでなく、殿上童など臨んでおりますが、思うように出仕することができませんで。」
と申す。
「あわれのことであるな。この子の姉君がおまえの後の親なのか」
「さようでございます」と申すと、

「似合わぬ親をもったもんだな。帝もお聞きになっていて『宮仕えに出させたいと申していたことがあったが、それはどのようになったのか』と仰せになっていた。世間はわからないものであるな。」
「急にこのようなわけになりまして。世の中は今も昔も不思議なものでございますな。とくに女の宿世は浮き草のごとくであわれでございます。」申しあげる。
「伊予介は大事にしているのか。君とあがめているであろうな。」
 「もちろんでございます。好色めいたことと私を始め賛成いたしかねております。」と申しあげる。
「さりとて、おまえさんのように新しがっているものに、さげわたすものかね、かの伊予介は風流ぶって自信があるからね」などお話をなさって、
「その者はどこにおるのか」
「みな下屋におろしましたが、すべて下り切ったでしょうか」と申す。

 お酒がすすんで、供はみな縁側に寝てしまった。


ござ‐しょ【御座所】
天皇または貴人の居室。おましどころ。(広辞苑)

おおとの‐ごも・る【大殿籠る】
貴人の寝ることを敬っていう語。おやすみになる。伊勢物語「みこ、―・らで明かし給うてけり」(広辞苑)

てん‐じょう【殿上】
@宮殿または殿堂の上。
A清涼殿の「殿上の間ま」の略。伊勢物語「―にさぶらひける在原」
B殿上の間に昇ること。昇殿。また、昇殿を許されること。源氏物語幻「大将殿のきんだち―し給ひ」
C殿上人てんじようびとの略。〓地下じげ。
D(殿上の事をつかさどるからいう) 蔵人所くろうどどころの異称 (広辞苑)

てんじょう‐わらわ【殿上童】
@(→)童殿上わらわてんじように同じ。
A蔵人所くろうどどころに属して殿上の雑事に使われた職。こどねり。

わらわ‐てんじょう【童殿上】
平安時代以降、宮中の作法を見習うため、名家の子供が殿上に仕えたこと。また、その子供。赤色の闕腋けつてきの袍ほうをつけるのを例とした。うえわらわ。てんじょうわらわ。源氏物語少女「せうとの―する」

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


青表紙本源氏物語「帚木」(新典社刊)



 

大施餓鬼会のお知らせ

 本年もお施餓鬼会法要を、下記のごとく厳修いたしたくご案内申しあげます。ご先祖の供養とともに、一日ではありますが、みほとけの教えにふれます良い機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい(当日ご参加できません方には、当寺にてお塔婆をお墓に立てさせていただきます)。

日   時
5月15日(火)  【13時】法要、 【14時】法話
講   師
副住職 魚尾 和瑛
初めてのお説教
供 養 料
3,000円
申 込 み
お参りの折、電話、E-mail(前日までに)

 

第252回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
5月18日(金) PM7:00〜8:30
会   場
西福寺(茶房「欅(けやき)」東側50メートルくらい)
講   師
如来寺 荻田 宣史 師
参 加 費
無料
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
6月15日(金) 同時刻  福泉寺 岩佐 善公 師

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月一回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

本メールマガジンがご不要な方は、下記URLから配信を解除できます。

http://ganjoji.com/mlmaga.html (解除・退会)