給食のおかず注文数を間違え、教諭が児童に口止め料を払うという、とんでもない事件が起きた。
新聞の報道によると、小学校の男性教諭(52)が選択給食のおかずを間違えて注文したミスを隠そうと、希望と違うおかずを食べ残した児童7人に、「口止め料」として100円ずつ渡していたという。
市教育委員会や同校によると、教諭は4年生の学級担任。7月13日の選択給食のおかずについて、6月中旬に児童から注文を聞いた際、24人がトンカツ、8人がウナギの蒲焼(かばや)きを希望したのに数を逆に発注した。給食当日、希望と違った児童に謝ったうえ、「我慢して食べてくれないか」と頼んだが、ウナギが嫌いだった児童7人が食べなかったという。
教諭は放課後、7人を教室に残らせ、「誰にも言うなよ」と言って自分の財布から100円ずつを7人に渡したという。教諭は校長に「自分だけで解決しようと焦ってしまった。教師としてあるまじき行為で反省している」と話しているという。
(『朝日新聞』2007年08月08日)
学校教育の場でも時には、「失敗」や「間違い」は起こりうることであろう。そうしたことが起きないように十分注意することは必定であるが、問題は起きてしまった後の対処にあろう。やはりお金で口封じは問題外であって、決して教育の場にはあってはならないことである。それも52歳の教諭というから、大ベテランといえように、あまりにもお粗末な解決方法であった。
起きてしまった間違えは取り返しがつかないが、教諭が詫びどう対処するかを子供たちと相談したならば、災い転じて良い教育の機会になったであろうと思うと残念でならない。
ところで政治家や官僚の隠蔽(いんぺい)体質、基地や放射性廃棄物の最終処分施設移転や建設にともなう交付金などを考えると、現実に世の中は嘘とお金で物事を解決しているようにも思える。
平成12年雪印乳業が集団食中毒事件を起こしておきながら、翌年には偽装牛肉事件を引き起こし、その後雪印乳業がグループの解体・再編を余儀なくされたことは記憶に新しい。そして最近の食肉加工販売会社「ミートホープ」の食肉偽装事件、昨日報道された北海道土産として全国的に知られたチョコレート菓子「白い恋人」の賞味期限の偽装、ブドウ球菌や大腸菌が検出された商品まで出荷していた事件と、同様の事件が繰り返されている。
これらの事件に共通することは、すべて嘘と隠蔽である。そして事件が露見していくのは、すべて内部告発である。
「嘘」「ごまかし」「隠蔽」からの離脱なくして、物事の解決はないということを肝に銘じることである。
ところで、仮に他人をごまかすことはまた可能であるが、仏さまと自分自身は決して騙すことはできない。仏さまや神さまを騙せないことは説明がいらないかと思うが、自分で自分を騙すのはなかなか難しいのです。騙している自分を承知しているからである。
後ほど、「うなぎ」と「トンカツ」を美味しくちょうだいした。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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