この一年間は本当に早く感じます。もう12月になってしまいましたね。今月はまた時間の速度が一層速まる気がします。日本では古くからこの月を「師走」と呼ばれるのは納得できます。一年の中でもはやり年末と言えば、どこもが特に忙しい時期ですよね。ハワイのお寺でも、お餅つきや除夜の鐘の準備でとてもバタバタします。ラハイナ浄土院では、除夜の鐘の後にお寺に来ていただいた大勢の皆様方にお餅や御節料理を召しあがっていただきますので、この料理の準備が大変です。1年お寺に色々とお手伝いしていただいた方々に感謝の気持ちをこめての御馳走なので、毎年母は頑張って何日もかけて御節料理を作ります。
日ごろお世話になっている人たち、そして目に見えない阿弥陀様のご加護に感謝をすることは、年末になるとなぜか強く感じられます。このようなことは忙しい毎日のなかでは忘れがちですが、やはりこの時期になると、その1年間や人生のことを考えます。誰でも自分の人生を振り返る機会が何やら多くなると思います。例えば、除夜の鐘は108回鐘を撞きしますが、これは108の煩悩を払って、新しい年を迎える意味だと言われています。除夜の鐘は、一年を振りかえったり、人生のことを考えたり、自己反省をしたりする良い機会となります。
アメリカはクリスチャンの人が多いので、年末年始よりクリスマスが重視され、家族が集まって、一緒に楽しいひと時を過ごします。クリスマスになると、よく人生のことや家族や人のことを考えたり、色々と自分のことを反省したりすることが、アメリカでは多いのです。テレビではチャールズ・ディキンズの「クリスマス・キャロル」というお話が(日本では「忠臣蔵」のようによく、「Sound
of Music」と並び)、よく放映されます。心の貧しい主人公エバニーザ・スクルージが、過去、現在、未来の霊を訪れ、クリスマスの本当の意味、そして人生で一番大切なもの(人を愛すること、思いやること)を学ぶというお話です。
やはり日本でも年末年始になると、どんなに忙しくても普段より人生のことをふっと考えたり、家族や周りの人のことを思ったりしませんか?そしてこの時期になると「今年は私にとってどのような1年だったかな」と思いませんか?
この時期こそ、日ごろ当たり前にしていることに感謝を示すときだと思います。人間にとって一番大切なものは真心ではないでしょうか。真の心は、優しさと思いやりです。優しさは、決して弱さではなく、精神が強くなければなりません。思いやりは自分のことばかりではなく、周りの環境を意識して考えることです。世の中をよくしていくためには、やはり思いやりが大切です。これは小さい行為から始まると思います。
例えば、よく道を歩いていると、ポイ捨てしている人を見ます(これは中年のサラリーマンには限らず、若い女の子や男の子も結構マナーが悪い人が増えてきたのか、よく見ます)。このような人は、周りのことを一切考えているとは思えません。ポイ捨てに限らず、他の人が始末したり、解決してくれ、自分の行為に責任を取らない人が(最近増えてきたのなのかどうか分かりませんが)多いと思います。
我々は生かされていると認識すれば、無責任な行動や態度はとれないはずです。自力でやっているつもりが、じつは目に見えない阿弥陀様の大慈悲のなかに我々は生かされているのです。
この年末年始はどうぞ手を合わせ、じっくりとこの一年、そして自分の人生を見つめ、家族や周りの人々に感謝をして、今ここに生かされている阿弥陀様を念じ、心から「南無阿弥陀仏」とお唱えください。
Wishing you and your family a wonderful
winter holiday!
この一年有難うございます、良いお年を。また来年もよろしくお願い申し上げます。
原 真 理
|