Happy New Year! 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
新年といいますと、新しく迎える年に対していろいろと夢や希望をもつときではないでしょうか。気持ちも初心にかえり、今年はどのような一年になるのか、そして、どのような一年を望んでいるのかと、わくわく感じますよね。アメリカではよくNew
Year's Resolution といって、「新年の決心」あるいは「新年の誓い」を立てます。このような初心にかえる心構えが大切だと思います。
私たち浄土宗の信徒には一月は新年を迎えるだけではなく、八百年前に浄土宗の教えを開いてくださった法然上人が往生された月でもあります。法然さまは建暦二年正月二十五日に往生されましたが、その二日前に「一枚起請文」という尊いお言葉を残してくださいました。この一文は「御誓言の書」とも呼ばれております。いわば法然さまの御遺言であり、大切なメッセージであり、お寺では日々のお勤めに拝読いたしております。
「一枚起請文」は、読むたびにその尊い教えの深さに心が打たれます。八百年も前に書かれた文書であるにも関わらず、今日でも新鮮な魅力をもって私たちの心を把えます。一読いたしますと、いかにも簡単そうなお言葉が、じつは想像もできないほど深い意味を持ってもっております。法然さまがおっしゃっていることは、簡単そうでなかなか実践することは難しいのです。浄土門は易行と説かれますが、、「往生極楽のためには、南無阿弥陀仏と申して、うたがいなく往生する」と信じ、「ただ一向に念仏」を称えることは、本当は簡単なことではありません。 「これをやるぞ!」と思っても挫けたり、誰もが自分に疑いを持ったりしますが、簡単に実行できないから諦めるのではなく、お念仏を称えることでいいますと、まず阿弥陀さまの本願を信じることが大切だと思います。ここに出発点があります。
読み込んで参りますと、「三心四修(さんじんししゅ)」と述べられているところに注目いたします。
「三心」とは、文字通り三種の心の意味で、まず至誠心(しじょうしん、真実の心)、次に深心(じんしん、深く信ずる心)、第三が廻向發願心(えこうほつがんしん、念仏をふり向けて往生を願う心)をしめします。。
「四修」は、恭敬修(くぎょうしゅ、西方浄土の阿弥陀さまに敬意を示すこと)、無余修(むよしゅ、お念仏の行に集中すること)、無間修(むけんしゅ、続けて念仏をすること)、と長時修(じょうじしゅ、長く、一生涯続けて念仏を称える)です。そして、生涯続けてお念仏をお唱えすることがもっとも大切なことと教えられているのです。
今回、この一文を書くことによって、改めて法然さまのお言葉を考えさせられ、またその意味を学ばせていただいております。法然さまは八十年の長い生涯の結びといたしまして、この尊いメッセージを私たちに残してくださいました。今年こそ「ただ一向に念仏すべし」との法然さまのメッセージに励まされて、精進させていただきましょう。
2008年が良い年になりますことを心からお祈り申し上げます。南無阿弥陀仏。
原 真 理
|