願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、4月1日です。



 昨今、ご婦人の呼び名には注意を要するものがある。女性を紹介するのに「○○さんの奥さん」、案内状などは「令夫人」など、夫を中心にて関係をしめす呼称が中心である。女性をひとりの人間として、フルネームで呼ぶことも必要であろう。

 平野文氏が、お刺し身のあしらい物としての「つま物」について筆をとっている(『朝日新聞』2008年3月11日夕刊「築地いちばん」)。「つま」は「妻」と書くこと、築地で売られている大根つまで、「美人妻」とネーミングされた商品が抜群であると紹介されている。無添加の自社商品で、お刺し身のつまとするばかりでなく、ポン酢で和えたり、マヨネーズ仕立てのサラダにもよいという。

 わたしは、「つま、妻」という表現が好きではない。妻は夫の付属品のような、またお刺し身の添えものと考えることに賛同できない。お刺し身のつまは、大根のつまを始め、山葵、ぼうふう、紫蘇、茗荷、すべてがお刺し身とあいまって美味しくいただけるのである。家庭もお刺し身も「つま」あってこそと思うのだが。

 最近、お寿司やさんや料理屋さんまでが、市販の大根のつまを使うようになってきた。おおかたは、たっぷりのミョウバンに漬け込んでシャキッとさせている品物である。白くバリバリでとても大根つまとはいえず、離婚寸前の夫婦のようなものである。
 大根つまとしての存在感を再認識したい。マグロのお刺し身を食するとき、あいまにつまを口にすることによって、初めのマグロの味を取り戻すことができる。やはり、お店では大根つまは、薄刃包丁で桂むきをしたものを刻んだものに勝るものはない。大根つまは透き通っており、プロの包丁捌きに感嘆する。

 あるお店では、板前さんが板場にはいると、仕込みは「けん」を打つことから始まるという。今日一日使うだけの大根つまを用意するのである。包丁で刻んだものを「けん」ともいうが、おおかたは大根の「けん」であろう。機械で刻んだ大根は「つま」になるが、「けん」とはならないのである。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久




青表紙本源氏物語「空蝉」(新典社刊)


「空蝉」本文

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第3巻「空蝉」その1

 空蝉をあきらめない光源氏は、男色も

 空蝉に会うことのできなかった源氏の君は、お眠りになれないままに、

「わたしはこのように人に憎まれたことは経験がなかったのに、今宵は初めて人の世はつれないものと思い知らされましたので、恥ずかしくてこのままではいられないと思うようになりました。」

などおっしゃるので、小君は涙さへ流して臥していた。君はたいそうかわいらしいとお思いになる。手探りで小君に触れると、細くて小さい気配のほど、髪のたいそう長くはない様子も、姉である空蝉に似ているところも思いなしか心がうたれる。強いて捜し出して空蝉のところにいくのも体裁が悪く、ほんとうに憎いとお思いになりながら夜を明かして、いつものように小君にあれこれとおっしゃらず、夜の深いうちに紀伊守の屋敷をお出になられたので、小君はたいそう愛おしく複雑に思う。

 空蝉もやはり源氏の君のことが気にかかるが、君からのお手紙もない。君が懲りておしまいになられると思うと、これもそのまま縁が切れてしまうのであったならば、それもまたつまらないものである。思いを寄せてくれる振る舞いが絶えてしまうのも寂しい。今のまま終わってしまえばと思うものの、それもまた心残りであると、ただならず思い悩むのであった。

 源氏の君は、気にくわない女とお思いになりながら、このままではおさまらないと御心にかかり、みっともないこととお思いになって、小君に、

「たいそう辛くもいまいましくも思うので、思い直そうと考えるけれど、本心とたがうことが苦しいので、しかるべき折をみて、対面できるようにしてくれ。」

と繰り返しおっしゃるので、小君は煩わしいけれども、このようなことでも君が自分にお言葉をかけて下さるのを嬉しく思われた。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

観音堂大祭(諸祈願)のお知らせ

 春のお彼岸に観音堂の大祭を厳修いたします。寺伝によりますと、頼朝公が三嶋大社に百日祈願の折、当願成寺を宿舎といたし、その願が成就いたしたことから「願成就寺」の寺号を賜りました故事により、諸願成就の祈願をおこないます。当日ご参加できません場合には、お札は郵送申しあげます。また、当日前年のお札等を炊きあげますのでご持参ください。当日は「餅まき」「模擬店」「野菜青空市」等を予定いたしておりますので、お誘い合わせてお出かけ下さいませ。

日   時
3月20日(春分の日) 【11時】法要、【12時】餅まき
祈 願 料
3,000円 特別祈願料 1万円
申 込 み
暮れのお参りの折、電話、FAX、E-mail (前日までに)

 

第263回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
4月18日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
如来寺 荻田 宣史 師
参 加 費
無料
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
5月16日(金) 同時刻  慶昌院 磯田 浩一 師

 

大施餓鬼会のお知らせ

 本年もお施餓鬼会法要を、下記のごとく厳修いたしたくご案内申しあげます。ご先祖の供養とともに、一日ではありますが、みほとけの教えにふれます良い機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい(当日ご参加できません方には、当寺にてお塔婆をお墓に立てさせていただきます)。

日   時
5月15日(木)  【13時】法要、 【14時】奉納ピアノ演奏
演   奏
瀬川  玄
未定
供 養 料
3,000円
申 込 み
お参りの折、電話、FAX、E-mail(前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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