政府教育再生懇談会が、子どもを有害情報から守るために、小中学生の携帯電話の使用を制限する報告をまとめ、福田首相に提出した。福田首相は「携帯電話を子どもたちに与えていいものかどうか。それは、親がしっかり判断しなければいけない」とのべている。
いわゆる有害サイトへのアクセスが問題となっている。小中学生が、掲示板等を通じて見知らぬ人と、メール交換しているのである。それも複数の人たちとの交換を楽しんでいるようである。一般的には友だちや親とするのが中心であろうが、20%の子供たちが見知らぬ人とのメール交換をしているという。
私もささやかであるが、メールを楽しんでいる。妻ともメールをする。用事が中心であるが、時にはいろいろな感想を交わすこともある。息子は用件のみである。お金の請求と駅から自宅までのアッシー君である。何年前であろうか、息子が浄土宗の研修道場でハワイに行った。現地で携帯電話を借りることになっていたので、メールで電話番号を知らせるよう督促をした。電話番号の数字のみが送られてきて、日本語はない。親の心配が伝わっていかないのが、すこし寂しかった。
仕事でのメールは別として、メル友と呼べる人は何人かいる。どうも男は携帯でのメールは苦手のようで、女性の方がこまめにメールをしてくれる。
親友の奥さんからもメールが来るので、時にはわたしからもする。ある時、居酒屋でお酒を飲んでいたが、混んでいて「つまみ」が遅い。暇に任せてメールをする。すると奥さんが、自宅の夕食の料理を写メにして送ってきた。「お店の料理ができるまでの、つまみにしてください」とある。なかなかウエットに富んだメールで楽しい。
またある同級生夫妻と、しこたま飲んだ。ご主人は帰って熱い風呂に入って寝るというので、「それはやめた方がいい」と強くいってわかれた。つぎの日の朝、奥さんから「やはり、熱い風呂に入って寝ました」とのメールをいただいた。次回はもっと強く注意をしよう。
今、子供たちの携帯を禁止して、果たして問題が解決するのであろうか。子供の教育上よくないからと禁止することは、あまりにも安直であり、真の問題解決とはならないであろう。こうした発想ならば、「天下り」も「税金や年金」の無駄遣いも、つぎつぎと禁止をすればよいではないか。
携帯への不正請求を親に相談したところ、そのサイトに親が利用していない旨連絡をしたこと、子供に注意して今回限りと親が払ってしまった例を知っている。
ところで、そうしたことを考えている人たちが、どれだけ携帯メールをしたことがあるのであろうか。ますます情報社会はすすんでいくであろうし、次からつぎへと新しいアイテムが登場してくるであろう。ただ禁止するという手法は、あまりにも短絡的といわねばならない。携帯等の新しいアイテムは、諸刃の剣(もろばのつるぎ)であること、その使い方を教えていくことのが重要であろう。
禁止するだけならば、わたしでも政治家そして政府懇談会のメンバーになれるだろう。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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