12月、師走。また年末が迫り、一年が終わりそうですね。平成20年は、あなたにとってどのような一年でしたか?私にとっては、忙しい年でしたが、いろんな意味で素晴らしい年でもありました。また、40歳になり、ある人生のmilestone(里程標)に辿り着き、人生を様々な面から見直す時期が来たと感じました。国際社会の上は、2008年は大変な一年でした。アメリカでは、株式市場の暴落、そして歴史的な選挙で、アメリカ初の黒人の大統領が選ばれました。オバマさんの「Yes,
we can!」の一言で、人を動かせたことに感動しました。また、ここでもmilestoneという言葉が浮かびます。
英和辞典では、milestoneは「画期的な出来事」と書かれていますが、ただ歴史的や大きな出来事ではなく、そこまで辿り着くための過程も意味します。ある意味で、turning
point(転換期)と似ている言葉です。また、歴史のように、一人一人の人生にもmilestoneというものがあります。自分が歩んできた人生の道沿いの標札という意味も含められています。日頃の忙しさに追われ、もっとじっくりと考える時間もなく、川に流されていき、「今」を大切にすることが大事ではないかと思いながらも、そのような心の余裕がない日も多いものです。
現在、この原稿を書いている11月27日はアメリカの感謝祭の日(Thanksgiving Day)です。毎年、木曜日に行う感謝祭は4日間の祭日となります。家族が集まり、大きな七面鳥を焼いて、たくさんのご馳走を作り、皆で一緒に食べます。元々は、17世紀前半にイギリスからピルグリムがアメリカに渡り、アメリカの東海岸、ニューイングランドの冬の寒さを乗り越え、原住民(もともとは、コロンブスがアメリカに辿り着いた時、インドと間違え、そこの人をインディアン呼び、後にその名称で知られていましたが、現在はネイティブ・アメリカンズと言う)に助けられ、翌年の秋には大きい収穫を得て、その富作を神に感謝するためたくさんなご馳走をつくったと言う由来があります。今日は、家族が集まり、感謝することをいろいろと思う日でもあります。
アメリカのお祝いのなかでも、私が最も好きな日で、心が温かい優しい気持ちになる日だと思います。この一年、振りかえり、感謝することをじっくり考える良い機会でもあります。家族、友達、皆が元気であること、阿弥陀さまの大慈悲に生かされていることを感謝しています。恵まれた環境で、好きな仕事や好きなことをできることに感謝しています。お念仏という法然さまの教えに感謝をしています。
そういえば、ヨガの最後にいつも先生が、「自分の体に感謝をしなさい、自分の心に感謝をしなさい、そしてそれに繋がる全てに感謝をしなさい」と言っています。阿弥陀さまの大慈悲こそが、目に見えない、空気のような全てに繋がるものではないでしょうか?忙しい日常生活で、「感謝」ということ自体を忘れてしまいますが、幸せな毎日を生きることはやはり、家族や健康、当り前のことに対して感謝することではないでしょうか。
これから年末で、皆一層ペースアップして忙しくなります。そして、冬の寒さで体もしんどくなることもあります、「何でこんなに大変だ」と思うこともいろいろと出てきます。 ですが、こういう時こそ、ふっと感謝することを思い出し、自分の中から感謝の気持ちが湧き出てくると、どんなに大変なことでも、気持ちよく生きていけると思います。手を合わせて、お念仏を称える時も、やはり感謝の気持ちが湧いてきます。今年の終わりも、手を合わせて、感謝の気持ちで見送りたいと思います。
合掌
原 真 理
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