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次回配信日は、3月2日です。



解体中の玄関(1)


解体中の玄関(2)


解体中の玄関(3)


解体後


棟札

 2月5日、書院庫裡建設の契約を、山本建設株式会社と結ぶ。寺院代表者名、収入印紙、綴じ目部分と、代表印を押す手に緊張感がはしる。日ごろ仕事がら印鑑を押すことは多いが、今回は特別である。いま私が持っている印鑑は、やはり多くのお檀家さんたちの気持を代表しているからであろう。
 翌日には三島信用金庫本店の応接室で契約金の振り込み、みな初めてのことずくしであるが、立ち会ってくれる総代の大村俊之さんが信用金庫の会長さんであるだけに安心感がある。法然上人800年遠忌事業の決定、浄財の寄付依頼、そしていよいよ建設の開始の運びとなった。

 いよいよ今までの書院庫裡の解体の準備にはいる。お寺の荷物、個人の荷物の引越にとりかかるのであるが、書籍だけでもみかん箱にして300個を超えるであろうか、膨大な荷物の片付けに家族が翻弄される。荷物の整理で足腰が痛い、期日に追われる重圧にひどく疲れて体力や気力がなくなっていく。
 このままでは大変なことになる、発想を変えよう。すべてを片付けようとするから無理があるのである。まずお寺にとって大切なもの、家族にとって思い出になるものを仕舞うことにする。そしてなによりも、新しい建物への準備であることを念頭に置こう。だいぶ気持が楽になるように思える。実際の仕事はほとんど変わらないのであるが、まさしく気は持ちようである。

 大きな重機が運び込まれ、解体作業が始まる。瓦が下ろされ屋根が取られ、壁がむしり取られる。一瞬、重機の音が止まった。鳶の親方である鈴木隆司さんが、大きな梁に登っていき、棟札をはずしてくる。先代住職、当時の建築関係者やお檀家さんのご苦労が伝わってくる。
 改めて、お檀家さんのこの度の事業への協力に感謝いたし、無事な工事、そしてなによりも法然上人800年遠忌法要の円成を祈念する。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


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第4巻「夕顔」その3(乳母を見舞い、隣の女と歌を交わす)

 光源氏はたいそう心にしみて、
   「幼かりしときに、案じてくれる人たちが亡くなられてしまいまし
   た後、育ててくれる人たちがいるようでしたが、親しく心をゆる
   すことのできる人は、あなたさま以外にはいないと思いました。
   大人になった後は、立場があるので朝夕にとはお会いいたす
   こともできず、心のままにお見舞いすることはできないが、やは
   り久しく対面いたさぬときは心細く思うのを、「さらぬ別れがな
   ければ」と思いまして。」
など、こまやかに語らいになられて、涙をふきなさる袖の香の薫りもたいそうところせきまで満ちているので、「ほんとうにそのとおりと思うと、特別のご運であるな。」と尼君のことをもどかしく見ている子どもたちも、みな涙をながすのであった。

 病気全快のための修法(ずほう)など、さらにおこなうように決めおおせになってお帰りになり、惟光に紙燭(しそく)を召して、先ほどの扇をご覧になると、使われた人の移り香がたいそうしみ込んでいて、その持ち主に心が引かれる気持がして、おもむきのある筆遣いで書いてあった。

   心あてに それかとぞ見る 白露の
        光そへたる 夕顔の花
   (心あてに源氏の君かと見うけいたします。白露が光をそえて
   いる夕顔の花のごときお顔を。)

 そこはかとなく書きまぎらわしてあるのも上品でわけがありそうなので、たいそう思いのほかに興味をもたれる。
 惟光に、
   「この西側の家はなに人が住んでいるのか、聞いたことがある
   のか。」
おしゃると、いつもの女への興味と思われるが、そうは申さず、
   「この5〜6日はここにおりますが、病人のことを心配して世話
   をいたしておりますので、隣のことは聞かずにおります。」
など、はしたなく申しあげるので、
   「憎いとおもっているな。だが、この扇について尋ねてみたい
   ことがあるようにみえるので、まだこの事情を知っている者を
   召して問え。」
と、おっしゃるので、この宿守である男を呼んで尋ねる。
   「揚名介(ようめいのすけ)である人の家でございました。男は
   田舎に出かけられて妻は若くて風流で、姉妹などの宮仕人
   が出入りしていると申します。くわしいことは下人の知らない
   ことでございましょう。」
と申す。
 それならば、歌を詠みかけたのは、その宮仕人であるな。したり顔で物馴れていうなど、目にあまることであると思うが、歌を詠みかける心もさして憎くないので、みすてておけず、いつもの女のことにはまめである御心であろう。御畳紙にたいそう筆跡を変えてお書きになられて、

   寄りてこそ それかとも見め たそかれに
        ほのぼの見つる 花の夕顔
   (寄ってこそ私と見極めたらどうですか、夕暮れにわずかに見た
   夕顔の花を。)

先ほどの御随身を遣わす。
 まだお会いしたことはなかったが、たいそうはっきりとお判りになられる御横顔を見過ごすことなく人の気をひいたのに、返事ももらえず時がたってはしたないところへ、わざわざ返事がきたので、調子にのって「どのように申しあげよう」など言い合っているようであるが、随身はあさましいと思ってもどってきた。


さらぬ‐わかれ【避らぬ別れ】
のがれられないわかれ。死別。伊勢物語「老いぬれば―のありといへばいよいよ見まくほしき君かな」(広辞苑)

しゅ‐ほう【修法】‥ホフ
(スホウ・ズホウとも) 密教で、加持祈祷などの法。壇を設け、本尊を請じ、真言を唱え、手に印を結び、心に本尊を観じて行う。祈願の目的によって修行の形式を異にし、息災・増益・降伏・敬愛などに分類され、本尊も異なる。密法。秘法。(広辞苑)

し‐そく【脂燭・紙燭】
@宮中などで夜間の儀式・行幸などの折に用いた照明具。松根や赤松を長さ約1尺5寸、太さ径約3分の棒状に削り、先の方を炭火であぶって黒く焦がし、その上に油を塗って点火するもの。下を紙屋紙で左巻にした。ししょく。
脂燭
Aこよりを油に浸し灯火に用いるもの。(広辞苑)

あて‐はか【貴はか】
高貴なさま。上品なさま。源氏物語夕顔「―に故づきたれば」(広辞苑)

ゆえ‐づ・く【故付く】ユヱ‥
@自四
わけがありそうである。子細しさいありげである。源氏物語末摘花「古体の―・きたる御装束」
A他下二
わけがありそうにする。趣をつける。源氏物語蛍「手を今少し―・けたらば」(広辞苑)

ようめい‐の‐すけ【揚名介】ヤウ‥
平安時代以後、名目だけで、職務も禄もない国司の次官。源氏物語夕顔「―なる人の家になむ侍りける」(広辞苑)

たとう‐がみ【畳紙・帖紙】タタウ‥
(タタミガミの音便)
@檀紙・鳥の子などの紙を横に二つ、縦に四つに折ったもの。幾枚も重ね、懐中に入れておき、詩歌の詠草や鼻紙に用いる。ふところがみ。かいし。折紙。枕草子36「みちのくにがみの―の細やかなるが」
A厚い和紙に渋や漆を塗り、四つに畳むようにして折目をつけた包み紙。和服、結髪の道具などをしまう。(広辞苑)

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


青表紙本源氏物語「夕顔」(新典社刊)


「夕顔」本文


 

第273回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
2月20日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
3月20日(金) 同時刻  

 

観音堂大祭(諸祈願)のお知らせ

 春のお彼岸に観音堂の大祭を厳修いたします。寺伝によりますと、頼朝公が三嶋大社に百日祈願の折、当願成寺を宿舎といたし、その願が成就いたしたことから「願成就寺」の寺号を賜りました故事により、諸願成就の祈願をおこないます。当日ご参加できません場合には、お札は郵送申しあげます。また、当日前年のお札等を炊きあげますのでご持参ください。当日は「餅まき」「模擬店」「野菜青空市」等を予定いたしておりますので、お誘い合わせてお出かけ下さいませ。

日   時
3月20日(春分の日) 【11時】法要、【12時】餅まき
祈 願 料
3,000円 特別祈願料 1万円
申 込 み
お彼岸のお参りの折、電話、FAX、E-mail (前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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