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次回配信日は、9月1日です。



仏間正面


須弥壇

 前回は、私の浄安寺が1年半で正式にお寺として認められたことのお話でした。今回からは、実際の手順について書いてみたいと思います。

 あまり知られていませんが、私のところのような都市近郊の新しいお寺は、毎年1つぐらいずつ誕生しています。お寺を建てようと決心して、最初にしたことは、実際にお寺を建てた先輩方に体験談を伺うことでした。
 なかでも、お寺を建てるということは大変尊いことではありますが、意欲だけが先走ると不必要な摩擦を生んでしまう、という点は重要でした。大変貴重な助言を多々いただくことができました。

 都市近郊の新しい寺院というものは、それまで菩提寺を持たないでいた人々を対象に布教をします。そういう新しい信徒さんの方だけを見ておりますと、自分ではまったく気付かないうちに、いろいろな方々にご迷惑を掛けることがあります。
 地域の伝統を守っておられるお寺や檀信徒の方々にとっては、新しいお寺に新しい信徒さんだけの集団と申しますのは、多少なりとも異質の価値観を持った集団とみえるのです。そこに気付かずにいますと、新しいお寺が地域の伝統や価値観を分断することに加担する結果になってしまいます。

 開教使の使命は、これまで仏教に縁薄く過ごしてきた人々を、柔らかく伝統の仏教にご縁をもっていただくことで、新しい宗教集団を創り出すことではありません。それでは新興宗教です。もちろん、伝統のなかにも改めるべき点もありますが、それはまったく別の問題です。
 したがって、以前からそこで活動してこられたお寺さん達に受け入れてもらい、協力していく関係を築けなければ、地域の開教使としての活動が難しいものになってしまうのです。

 さて、こうしたことを念頭において、次に浄土宗の担当部局を訪ねて相談をしたところ、浄土宗の総合研究所を紹介していただきました。
 そこの調査データをもとに今どこに新しい寺院が必要なのか、人口に比べてお寺が圧倒的に足りないのはどの地域か検討した結果、神奈川の相模原近辺が最も足りないという結論が得られました。こういった経緯で相模原へ新しくお寺を建てようという計画が動き出したのです。

 「百聞は一見にしかず」と申しますが、何事であれ実体験とは大変貴重なもので、その貴重な経験を惜しみなく教えていただいたことが、私の現在につながったと思っております。
 人間が一人だけでできることなど、本当に僅かなことですから。

 浄安寺住職  八 幡 正 晃


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第5巻「夕顔」その9(夕顔に魅せられる光源氏)

 源氏の君は、たいそう気を遣い、ご装束もやつれた狩衣をお召しになり、様をかけてお顔もお見せにならず、夜深きほどに人々が寝静まってから出入りなどをなさるので、昔あったという物の変化(へんげ)のようで、ひどく思い嘆かれるが、その人のご様子は、手探りでもわかることであるので、どのくらいの身分の方であろうと、この好き者(惟光)のしでかすことであろうかと、大夫(惟光)を疑いながらも、惟光は知らん顔でまったく思いもよらぬ様子で浮かれ歩くので、どういうことなのかと心得ず、女のほうでも不思議に勝手の違う思いをしているのであった。

 君も、女がこのように油断をさせて急に姿を隠してしまったならば、なにを目当てに探したらよいのであろうか。かりそめの隠れ家と見え、どこかに移ってしまう日も知らないので追いかけても、それだけのもてあそびと思い過ごすことができない。
 人目を考えて、お出かけを控えられた夜などは、たいそう忍びがたく苦しくまでお思いになるので、やはり誰にも知らせず二条院に迎えてしまおう、もしも噂になって不都合なことになっても、それはそうなる因縁であろう。我が心ながら、これほどまでに女に執心することはないのに、前世からのどのような約束事があるのだろうかと、お思いになる。

「いざ、たいそう心休まるところにて、のどかにお話いたしましょう」
など、お話になられるので、
「やはりあやしいことでございます。そのようにおっしゃられても特別なおもてなしでございますので、もの恐ろしくございます。」
と、たいそう若やかにいうので、ほんとうにと微笑まれて、
「ほんとうに、どちらが狐であろうか。そのまま騙されてなさい」
と、親しくおっしゃると、女もたいそうなびいてしたがっている。

 世間では考えようもないほど不都合なことであったが、一生懸命したがってくる心はかわい人であったので、あの「雨夜の品定め」で頭中将が話していた常夏ではないかと、話していた女のことが真っ先に思い出されたが、女が隠すようであるので無理には問わなかった。
 思わせぶりをして、急に隠れてしまうような様子はないが、離れ離れ(かれがれ)のときは、常夏が急に姿を隠したように考えが変わってしまうこともあるかも知れないと思う。少し外の女に心を移すならば、この女に対する気持もさらに増すであろうとさえ思うのであった。

へん‐げ【変化】
形が変わって違ったものが現れること。
神や仏が仮に人の姿となって現れること。権化(ごんげ)。竹取物語「わが子の仏、―の人と申しながら」
動物などが姿をかえて現れること。ばけもの。妖怪。宇津保物語(楼上下)「かつは物の―にやとまでおぼせど」 (広辞苑)

すさび【荒び・進び・遊び】
気の向くままにすること。気慰みのわざ。もてあそび。古今六帖(5)「ある時はありの―に語らはで」。源氏物語(蛍)「御方々、絵物語などの―にて、あかしくらし給ふ」

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


青表紙本源氏物語「夕顔」(新典社刊)


「夕顔」本文


 

第279回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
8月21日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
常林寺住職 山田 太壱 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
9月18日(金) 同時刻  本法寺住職 清水 俊匡 師

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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