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次回配信日は、10月1日です。



相模原市の人口変動

 さて、お寺を建てるにあたり、その場所を相模原に決めました。この時点では、まだ自分がそう決めたというだけの話です。実際には現地の状況をみて、どのような形で計画を進めるのか、考えなければなりません。
 前回も書きましたが、以前からあるお寺さんに断りなく勝手に進めては、色々な摩擦が生じてしまいます。

 浄土宗では、ほぼ現在の都道府県と同じ分けかたで「教区」というものが設けられています。さらに教区はそのなかで、地域ごとにいくつかの「組」にわけられています。
 そこで、まずは教区長さん、そして組長さんにご挨拶にうかがい、お話をさせていただきました。

 幸いに「歓迎します」というご意向でしたので、まずは安心いたしました。その上に地域の事情もお教えいただき、また組中の皆さまにご挨拶する機会も作って下さいました。
 トントンと、順調に運んで来ましたが、ただここまでに時間はかなりかかっています。一通りのご挨拶をさせていただいて、気が付くともう秋でした。

 それというのも、教区長や組長といった役職の方々は、同時にみなさまご住職でいらっしゃいます。ですから、お寺のこととお役のことで大変お忙しくしておられる。その合間にお時間をとっていただく形でしたから、なかなか今日お電話して明日のお約束、というわけには参りませんでした。

 とにもかくにも地元のご了解をいただいて、ふたたび担当部局と打合せをした結果、秋の委員会に開教使の申請書類を提出することになりました。
 開教に関する委員会は、春と秋に1回ずつしか開かれません。ですから、もし秋の委員会に間に合わなければ、次は半年後になってしまいます。そこで大急ぎで書類をととのえて秋の委員会に間に合わせることになったのです。

 どの分野でも同じことですが、公式に何かをする場合には、結構な量の書類が必要になります。不慣れなことでもあり、なかなか大変ではありましたが、どうにか委員会に間に合いました。
 これで、開教使の志望者という形で、おおやけに審査されることになったわけです。

 不思議なもので、物事には「流れ」というものがあって、流れが向いていない時には、どんなに緻密に計画を立ててもうまくいかないものです。
 この開教使の件に関しては、自分の進めていることが、場所も時間も実に良いめぐり合わせになっていきました。こうしたことは自分で計画したからといって、簡単になせることではありません。
 このあたりで、自分が「流れに乗っている」という実感があり、これは大切にしなければならないと感じておりました。

 浄安寺住職  八 幡 正 晃


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第5巻「夕顔」その10(夕顔をともなって外出する光源氏)

 8月15夜、隈なき月の光が、すき間の多い板屋から残りなくもれ来て、見慣れない住居(すまい)の様子もめずらしく、暁近くになったのであろう、隣の家々では身分の低い男達が目を覚まして
「ああ、たいそう寒いな」
「今年は商売にも頼むところがなく、田舎の行商も思うようにならないので、たいそう心細いな、北側の人、聞いておられるか。」 
など、いいあっているのも聞こえる。思うようにならない自分の商売のために起き出して騒ぐのがすぐそばなので、女はたいそう恥ずかしく思っている。風流をわきまえたと自負する人には、恥ずかしくて消えてしまいたい住居である。しかし女はのどかに見苦しいこともつらいことも心苦しいことも、特に気にすることもなく、かえって恥ずかしくて顔を赤らめるより罪なく見えた。
 ごぼごぼと雷よりも騒がしく踏みとどろく唐臼の音も、枕元かと思えるのもたいそう耳やかましいとお思いになる。女はとくに何の音かともわからず、たいそう不思議な音であるとだけお思いになる。
 つまらぬことのみが多かった。

 布を打つ砧(きぬた)の音もかすかにあちらこちらからも聞こえ、空を飛ぶ雁(かり)の鳴き声など忍びがたいことが多かった。縁側の近い御座所であったので、遣り戸(やりど)をあけて、いっしょに外をご覧になる。せまい庭に植えられている呉竹の露も、前栽におりる露も同じきらめきである。虫の声々がなき乱れ、壁のなかのこおろぎの声さへ遠くに聞いていらっしゃる君の耳には、耳のそばでなき乱れるのを、かえって様子が変わっていておもしろいと思われるのは、女へのこころざしの浅くないことで、いろいろな見苦しさも許されるのであった。

 女は白い袷に薄色のやわらかい表着を重ねて、決して華やかにならない姿はたいそう可愛らしげであるが、どこといって取り立てたところはないけれど、細やかになよなよとしてものをいう様子はこちらが心苦しく思うほど、ただたいそう可愛らしく見える。少し気取ったところを加えたならばどうであろうかとご覧になりながら、やはりうちとけて会いたいとお思いになるので、
「さあ、この近い所で、気軽にあかそうよ。このような所ばかりでは、たいそう心苦しいな。」
とおっしゃると、
「どうして、そんな急には。」
と、たいそうおおらかにいっている。

 君は、この世だけでなく来世までのお約束をなさるに、女がうちとけてくる心ばえなどは、あやしく様子が違っていて世慣れている人とも思われないので、まわりの人がどう思うのであるかもお考えにならず、女の女房である右近をお召しになって、随身をもお召しになって、御車をお入れになられる。この家にいる人々も男の御心ざしのおろかならないのをみてとって、心配しながらも信頼申している。

きぬた【砧・碪】
(キヌイタ(衣板)の約)布地を打ちやわらげ、つやを出すのに用いる木槌(きづち)。また、その木や石の台。その木槌で打つことや、打つ音にもいう。砧打ちは女の秋・冬の夜なべ仕事とされた。[]秋。源氏物語(夕顔)「白妙の衣うつ―の音もかすかに」。「―を打つ」
(以下すべて広辞苑)

がん【雁・鴈】
カモ目カモ科の鳥のうち、比較的大形の水鳥の総称。ハクチョウより小さく、カモより大きい。体形・生活状態はカモ類に似るが普通雌雄同色。北半球北部で繁殖し、日本では冬鳥。マガン・ヒシクイなどが多い。かり。かりがね。[]

おわし‐どころ【御座所】 オハシ‥
貴人の居所。おましどころ。おわしましどころ。源氏物語(浮舟)「―尋ねられ給ふ日も」
ござ‐しょ【御座所】
天皇または貴人の居室。おましどころ。

やり‐ど【遣戸】
引戸(ひきど)に同じ。枕草子(28)「―を荒くたてあくるもいとあやし」

あわせ【袷】 アハセ
表裏を合わせて作った衣服。裏地つきの着物。近世には、陰暦4月1日から5月4日までと、9月1日から8日まで、着る習慣であった。袷の衣(きぬ)。袷長着(あわせながぎ)。[]夏。「―に着替える」

 

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


青表紙本源氏物語「夕顔」(新典社刊)


「夕顔」本文


 

第280回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
9月18日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
本法寺住職 清水 俊匡 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
10月16日(金) 同時刻  長源寺住職 高木 泰孝 師

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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