さて、どうにかすべての準備を整えて、開教委員会の審査をむかえることになりました。結果は無事に審査を通過し、新たに開教使を拝命いたしました。
同時に併行して進めていた浄土宗の寺院認証(新たなお寺として正式に認めていただく手続きです)も無事に許可がおり、はれて浄土宗の新しい寺院「浄安寺」として誕生いたしました。
こうして一応の形式は整ったものの、お寺としての実際はここからがスタートです。なにしろ移ってきたばかり、できたばかりのお寺ですから信徒さんが一人もおりません。まずは、新しくお寺ができたということを知ってもらうことから始まります。
ここでも、先輩方の温かいご教示に助けられました。始めたばかりですから、気負いもあって早くいろいろなところへ周知したいという思いがあります。
そんな私に「これから一生のことだから焦らずに、ゆっくり関係を作るほうが良いですよ。やっていくうちに、信頼できるところそうでないところがわかってきますから」そうしたことを教えていただきました。
映画「おくりびと」の影響などもあるのでしょうが、最近ではテレビなどでもお葬式などの話題が取り上げられることが増えてきました。ですから皆さんの中にもご承知の方もいらっしゃると思いますが、関係者の中にも実際のところ色々なところがあります。そういうことを見極めながらゆっくり進むほうが良い。全くありがたい助言でした。
そんな浄安寺も最近やっとぽつぽつと信徒さんもでき、また関係先も少しずつ広がってきました。先日は初めて浄安寺でのご法事もあり、少しずつ形になりつつあります。
仏具などまだまだ足りないものも多く少しずつ揃えていっておりますが、先輩方のお言葉ではありませんが、ゆっくりと進んでいければ良いと思っております。
比べるのもおこがましいことですが、奈良の古寺などは千年をこえる歴史を持つところも多々あります。せっかくご縁をいただいて建った念仏のお寺ですから、私の一生どころか、百年も二百年も続いて欲しいと思っております。
最後に自戒の念をこめて思うことですが、浄安寺がこんなに速やかに形になったのは私の力ではありません。宗門の担当者をはじめ、近隣のお上人様方、ゆかりの和尚さん方、皆様のお力添えあってこその結果です。
そしてそれは、「私の建てる寺」だからではなく、「浄土宗の新しいお寺」だからこそのご好意だということ。自分が初代だとどうしても、「自分のお寺」という意識が起こりがちですが、私のお寺ではなく、「皆さんの浄土宗のお寺だ」ということを肝に銘じておきたいと思っております。
至心合掌
浄安寺住職 八 幡 正 晃
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