明けましておめでとうございます!早や、平成22年、西暦2010年だとは、信じられません。時はあっと言う間に経ってしまいますね。
2010年と言うと、いよいよ来年は法然様の800年大遠忌です。浄土宗では、 「法然共生」(ほうねん ともいき)を 大遠忌のキャッチ・コピーとしております。これは、21世紀に最も必要な考え方だと思います。なぜなら現代世界の問題を解決するには、「共生」と言う考えに立つ必要があります。世界の環境問題、政治問題、紛争の殆どは、人類の自己中心的な狭い偏見から来ております。
「共生」(きょうせい、ともいき、coexistence, co-living)とは、椎尾弁匡上人(しいおべんきょう、1876-1971)
が、仏教の縁起思想に基づき、師の仏教活動社会運動としてかかげた理念です。もちろん、この共生という用語は生物学、社会学等でも用いられ、ことに現代社会では、共生は「人類と地球との共生」、「国家間の共生」が重要な課題となっております。
先日、新聞に面白い統計が出ていました。それは、アメリカ50州の在住者の幸福度についてのレポートです。それによると、幸福度の一番高いところはジャズで有名なルイジアナ州の人々でした。そして、一番不幸だと感じている州は、なんとニューヨーク州でした。私は、それを見て考えさせられました。世界の人々が憧れる華やかな大都市ニューヨーク。世界の富と力を集めながら、その州に住む人々がアメリカ一惨めな思いをして暮らしているというのです。
国連が同じように、幸福度による統計を取っておりますが、それによると世界で一番幸せを感じているのは、ヒマラヤ山脈の中の小さな王国、ブータンです。資源もなく、貧しい国ですが、チベット仏教を信ずる敬虔な仏教国であり、人々の幸福度は最高なのです。
さて、話は飛びますが、ボトル・ウォーターが始めて販売されるようになった時、皆が笑っていました。でも、今はそれが当たり前になってしまいました。清浄水がないところも増えてきています。近い将来に、水が石油のようになります。
このような現象は、限られている資源を欲しいままに使っている人類こそが作り上げた状況です。それを解決できるのもまた人類です。私たちは、この大きいようで、小さな地球に生きています。共に協力しあって生きて行くことが必要です。だからこそ、共生の理念が大切なのです。
終わりに、21世紀に共生と法然上人の教えがなぜ繋がるかと考えてみたいと思います。法然さまは、罪悪深重の自己の深い省察に立たれて、阿弥陀さまの本願念仏に光を見い出されました。愚者の自覚に立って行動するとき、初めて人種も、国家も、宗教も超えた人類に普遍的な「共生」(ともいき)の世界に生きることができるのではないでしょうか。
新しい年を迎え、心を新たに法然さまの教えを頂き、お念仏に生かされる喜びをもって、進んで行きたいと思います。
皆様よいお年でありますように!南無阿弥陀仏。
原 真 理
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