願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、4月1日です。



資料館入口


阿弥陀像イラスト

 つい先日のことですが、新潟の美術館でカビやら蜘蛛やらが館内で発見され、間近に迫っている国宝級の仏像展の開催を再検討する、というニュースがありました。
 素晴らしい仏様を拝観することを楽しみにしていた人々には、大変残念な状況だと思います。関係各位の努力によって、何とか計画通り開催していただきたいと祈っております。

 ところで、一般のイメージでは美術館、博物館といった施設は厳重な資料管理をしていると思われています。実際その通りなのですが、それではなぜ今回のような問題が起こったのでしょう。私も学芸員として働いていたことがありますので、その時の経験から推測してみたいと思います。

 カビやら蜘蛛やら、と最初に書きましたが、この2つは実際のところ全く性質の違う問題です。
 建物の構造にもよりますが、カビを100%防止することはほぼ不可能です。あえて言うならば、館内の空調設備が適切に動いていたかどうか、この点は確認が必要です。ただし、雨の日も、雪の日も大勢の来館者がありますから、どこかにカビが発生することは大いにありうることです。

 しかし、現在では作品の展示ケースは完全密閉式が主流ですので、通常の場合展示物に影響が出ることは、まず考えられません。館内の他の場所については年に1〜2回の定期的な「くんじょう」作業で対応します。「くんじょう」というのはある種のガスを密閉した空間に満たし、害虫や、微生物、細菌などを除去する作業です。これは定期的に行われる全館くんじょうと、必要に応じて行われる個別のくんじょうがあります。

 蜘蛛の大量発生という事態は、この個別のくんじょうをきちんと実施しなかったということにほかなりません。1匹2匹の虫ならば、観客について入ってしまうこともありますが、卵まで見つかるということは通常考えられません。なぜなら、繁殖できるだけの数が、一時に侵入したということだからです。

 報道などを見る限り、自転車にリヤカーの様なものを取り付けた現代美術の作品が元のようですが、この作品を展示場へ運び込む前にくんじょうをしなかったのでしょう。まして地域を走り回って土がついたままの状態だったようですから、学芸員的な常識ではちょっと考えられません。

 背景にはくんじょうをおこなうための予算、といった問題もあるとも思いますが、結局は責任者の感覚の問題でしょう。この場合は館長さん、ということでしょうか。次回は国宝を含む仏像展、ということは数年前からわかっているはずです。1点ならばともかく、数点の国宝の借用交渉など、1年2年でできるものではありません。

 それなのに、直前の展示室管理を通常レベルで(見方によっては標準以下で)おこなっていたということは、これは私の想像ですが、古い日本美術を展示するという感覚しかなかったのではないかと思います。1500年にわたり、人々の祈りを受け止めてきた信仰の対象を預かる、という意識が無かったのか薄かったのか、それはわかりません。

 ただし万一のことがあれば決して取り返しのつかないことになる、ということまでを認識していたのでしょうか。
 同じような仏様は確かにいらっしゃるにしても、そのお寺のご本尊の変りはおいでになりません。そのお寺のご本尊様は、2度と戻ってこないということが分かっていたのでしょうか。

 美術品なのか、祈りの対象なのか。実はこれは宗教的な展示を企画する時に、必ず問題になることなのです。
 個人的にはどちらかに決め付ける必要は無いと思いますが、美術品として鑑賞するにしても、それが人々の祈りの対象であることは、心の片隅にとどめておいて欲しいと思います。こうした仏様に、今の私達がお会いできるのも、今日まで守りとおした人々の思いあってこそなのですから。

 浄安寺住職  八 幡 正 晃


 愛知県岡崎市を訪れる機会を得た。何といっても徳川家康の生まれた地であり、徳川家菩提寺である大樹寺、家康を権現として祀る伊賀八幡宮、そして岡崎城と戦国時代から江戸幕府を語るうえでは外せない。
 伊賀八幡宮の斉藤徳藏宮司さんは、「家康公は応仁の乱以来130年の乱世を平定され、260年におよぶ太平の世、すなわち江戸時代の開闢(かいびゃく)の礎を築かれたお人で、まさしく権現さまであり、ご祭神としてこの伊賀八幡宮に祀られている。」と語る。確かに国際的に見ても、200年以上にわたって戦乱のなかった国がどれだけあろうか。今日でも世界各地で紛争が起こっていることを考えると、細かいことは別として長きにわたる平安の江戸時代は特異な存在ともいえよう。その家康公を「神君」と顕彰する岡崎の熱い心が伝わってくる。
 争いの原因は、おおかた「権力」、「経済」、「宗教」この3つである。宗教は、「安心(あんじん)が心の安心(あんしん)へ」とする私のを大前提が崩れていくなかで、家康公の再評価をした1日であった。

 家康公に感心しながらも、初めて訪れる土地は好奇心を駆り立てる。
 家康公生誕の地という歴史は多くの文化財を残していくのであるが、岡崎に限らず近代化は必ずしも文化財を受け入れていくものではない。岡崎城は廃城令の後、病院や動物園に利用され、現在は再建された天守閣とその周辺の本丸の遺構をとどめるに過ぎない。今までの歴史や文化というものは、近代的な利便性によって評価するものではなく、まず現状保存することは第一義であり、その評価というものは、後世の人たちに委ねればよいのである。しかし、京都のように文化財あって都市経済が成り立っているところは別として、どの地方も難しい問題をはらんでいるのが現実であろう。

 岡崎城址の散策を終えて駐車場に戻ろうとしたとき、不思議な木が目に留まる。落葉樹の枝に鳥の巣のごときものが、あちらこちら着いているのである。何であろうか、私の頭のなかのハードディスクは振る回転で過去のデータを探っている。明確なデータは見つからないが、曖昧検索では「宿り木」ではないかとフィットした。先輩に尋ねると、「これほどの宿り木は珍しいですよ」の言葉、うれしかった。

 ときには外に出ると、新しい発見があるものである。いや感受性豊かな心を養っていると、日常のなかに感動があるのかも知れない。

ごん‐げん【権現】
仏・菩薩が衆生を救うために種々の姿をとって権(かり)に現れること。また、その現れた権の姿。権化(ごんげ)。本地垂迹(ほんじすいじやく)説では、仏が化身して日本の神として現れること。また、その神の身。

しん‐くん【神君】
@功績の偉大な君主。
A江戸時代、徳川家康の尊称。「東照―」

あん‐じん【安心】〔仏〕
@信仰により心を一所にとどめて不動であること。
A弥陀(みだ)の救いを信じて一心に極楽往生を願う心。
B宗派の教法の根本眼目。日葡辞書「コレワガシュウ(宗)

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


岡崎「伊賀八幡宮」(国指定重要文化財)


木に鳥の巣が?


宿り木


 

観音堂大祭(諸祈願)のお知らせ

 春のお彼岸に観音堂の大祭を厳修いたします。寺伝によりますと、頼朝公が三嶋大社に百日祈願の折、当願成寺を宿舎といたし、その願が成就いたしたことから「願成就寺」の寺号を賜りました故事により、諸願成就の祈願をおこないます。当日ご参加できません場合には、お札は郵送申しあげます。また、当日前年のお札等を炊きあげますのでご持参ください。当日は「餅まき」「模擬店」「野菜青空市」等を予定いたしておりますので、お誘い合わせてお出かけ下さいませ。

日   時
3月21日(春分の日) 【11時】法要、【12時】餅まき
祈 願 料
一般祈願料 3,000円  特別祈願料 1万円
申 込 み
お彼岸のお参りの折、電話、FAX、E-mail (前日までに)

 

第286回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
3月26日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
玉泉寺副住職 温湯 康二 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
4月16日(金) 同時刻  如来寺住職 荻田 宣史 師

 

瀬川玄クラシック・ピアノ・リサイタル
〜ショパン三昧 + 《展覧会の絵》〜

 お檀家さんである瀬川玄さんが三島でリサイタルをおこなう。世界的なピアノ調律師の父宏さんと世界各国で学んできた演奏を聴くことができる。嬉しいことであり楽しみである。

日   時
4月3日(土) 【開場】13:30 【開演】14:00
会   場
三島市民文化会館(小ホール)
チ ケ ッ ト
願成寺、みしまプラザホテル、タンザワ楽器、やまがた楽器
2,000円(自由席)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。


 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。

 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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