願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、5月1日です。



桜並木


人波

 毎年のことですが、首都圏では桜の季節になると電車が遅れます。遅れる時はいつだって遅れるのですが、この季節は理由らしい理由が無く遅れます。普段なら事故とか故障等の説明がされますが、この季節はただ「混雑の為」とアナウンスが入ります。
 混むというならいつだって混んでいるので、それは不思議な説明なのですが、実はちゃんと理由があります。

 それは「新人さん」です。
 入学・進級・入社・転勤等々、この時期は初めてラッシュを経験する人々が大量に誕生します。
 もともとラッシュは毎日のことですから、みな自分の利用する電車については特に意識せずにいろいろな情報を持っています。例えば、どの駅で人の乗り降りが多いのか。降りる駅でどちらの扉が開くか、何両目が階段の近くか、改札はどこか、乗り換えはどちらへ行くか。その情報に従って動いていくので自然にある種の秩序が生まれて、人数のわりには驚くほど整然としています。
 ところが、新人さんは未だそういった情報を持っていません。だから通常の人の流れと違う動きになってしまい、この時期のホームはいつにも増してごった返しています。
 こうして通常より諸事万端に時間がかかった結果、電車が遅れるわけです。

 そうなるといろいろな支障が起きて来ます。
 足を踏まれた、肩がぶつかった等はともかく、乗り換えが遅れた、となると遅刻になってしまいます。遅刻予防に一本早い電車に乗るには、起床時間から変えなければならず、生活のリズムそのものを変更する人も出てきます。
 あれやこれやで舌打ちする人がいたり、睨み付けている人がいたり、中には突き飛ばす人もいたり。この季節、桜とおよそ似つかわしくなく、かなり殺伐としています。
 その気持ちはわからなくもありません。当たり前のことなのにできない、そして自分に迷惑がかかる。だから腹が立つ。

 だけど「当たり前のこと」というのは人によって違います。
 もちろん、皆さん良くわかっている筈のことですが、またしばしば忘れてしまうことでもあります。自分にとって当たり前のことは他人にとっても当たり前、と思わないで欲しい。だから、「新人さんならできなくて当たり前」と思って欲しいものです。

 桜は去年も咲いていました、今年も咲いた、来年も咲くでしょう。でも去年の新人はもう新人ではありませんし、今年の新人も来年には先輩です。来年はまた別の新人がやってきます。
 昔は自分も新人だったし、また新人になる時が来るかも知れません。現在の自分にとって「当たり前」のことはあくまで、「現在だけ」当たり前に感じるだけですから。

〈年年歳歳花相似 歳歳年年人不同〉

 浄安寺住職  八 幡 正 晃



 昨日、日本の調査捕鯨で捕獲した鯨の肉が韓国へ密輸された疑いがあると、非政府組織の「国際動物福祉基金」(IFAW)が発表、調査捕鯨の鯨肉は国内で販売できるが、輸出入はワシントン条約で原則禁止されているのである。その調査方法は、市販されているクジラ肉を購入、またレストランで提供される肉を入手して、そのDNA鑑定で分かったという。個体由来のDNAから捕獲されたクジラの頭数を割り出し、調査捕鯨のため捕獲された頭数との食い違いも指摘している。
 また今年の米アカデミー賞を受賞した「ザ・コーヴ」は、盗撮により和歌山県太地町でのイルカ漁を告発した内容であり、改めてイルカ漁が問題視された。とかくクジラとイルカはいろいろな問題を提示してくれる。

 ところで、私は子供のころよくイルカの肉を食べて育ってきた。ご承知のように三島市には海がないが、10キロと行かないで沼津市に漁港がある。戦後まもなくの時代は、各家庭に冷蔵庫があるわけでもなく、浜に上がった魚はその漁獲量によって値崩れを起こし、投げ売りをされていった。庶民にとっては願ってもないことであり、山盛りの鰯の煮付けがテーブルにある。調理の苦手な母が、しょう油とサッカリンで甘辛く煮たものであるが、腹一杯のサカナはご馳走であった。 小さな鰯を箸で一匹ずつきれいに食べたものである。
 どこの家も同じようなもので、肉などは特別の時にしか食べたことがないように思う。すくなくとも牛肉のすき焼きは、我が家では一年に一度であり、大晦日のご馳走であって父が鍋に肉を入れる様子は儀式じみたものであった。

 そんな時代、イルカの大漁があると、ブロックに切り分けられた肉が安く売られる。肉臭さを取るためにゴボウとの味噌煮が多い。皮に着いている脂身がコクを出していて、温かいご飯に汁ごとかけてよく食べたものである。固い肉も、当時は歯ごたえのあるものとしてうまかった。ときとして郷愁からであろうか食べたくなるが、自宅で食することはない。
 妻や子供の猛反撃を受けることになるかも知れないからである。妻はたぶん「わんぱくフリッパー」を見て育ち、子供はイルカのショーを楽しんで育ち、ともにイルカは人間の善き友であるという認識である。それを食べるというのであるから、批判の矢面に立たされることとなる。そういうわたしもテレビで見るまでは、イルカの姿を見たことはなかったのである。

 食べるものが豊富になった日本において、クジラやイルカを本格的に食料としなければならない必然性がどこにあるのかと問われると、返事に窮する。
 地球規模での人口増加にともなう食糧資源としての確保、沿岸の小魚を大漁に食べてしまう、また漁網を破壊するイルカの群れの駆除といわれると、食料としての捕獲に問題がないようにも思える。イルカを食べることと牛を食べることとどこに違いがあるのであろうか。自然界の動物と家畜と命の重さに違いがあるのであろうか。
 かつてはアメリカ人は、クジラから燃料としての油を採取するためにハワイでクジラ漁をおこない、クジラの血で湾内が真っ赤に染まったという。その総括はどうなっているのであろうか。

 このメルマガの写真のためにイルカの肉のみりん干しを購入してきて、この2日ほど冷蔵庫にある。妻と息子にはメルマガの写真用といってあるので、何もいわれない。
 じつは地元のマーケットにいくと、その時期になるとすこし肩身が狭そうであるが陳列されている。なかには気がつかない人もあろうが、業者は売れるから仕入れるのであることも事実である。

 ちょうどイルカのみりん干しが出回っていたので、この記事を書くことにしたのだが。家族のいない折、ひとりして炙り酒の肴として堪能しよう。久しぶりである。
 ふと自分が僧侶であることが気にはなっている。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


イルカのみりん干し


三陸産で下田で加工



 

第287回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
4月16日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
如来寺住職 荻田 宣史 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
5月21日(金) 同時刻  養雲寺住職 青野 溥芳 師

 

大施餓鬼会のお知らせ

 本年もお施餓鬼会法要を、下記のごとく厳修いたしたくご案内申しあげます。ご先祖の供養とともに、一日ではありますが、みほとけの教えにふれます良い機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい(当日ご参加できません方には、当寺にてお塔婆をお墓に立てさせていただきます)。

日   時
5月30日(日)  【13時】法要
法   話
大場 朗 先生 (大正大学教授)
古典文学と仏教
供 養 料
3,000円
申 込 み
お参りの折、電話、FAX、E-mail(前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。



 

▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
 現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
 ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。


 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


 

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