願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、12月1日です。




楽人の行道


稚児行列.


当日の光明寺本堂

 「葬式不要論」についての考察は今回が最後となります。ここまで戒名料の話からさかのぼって、前回、「先祖代々の菩提寺が消滅しても良いのか」という根源的な問題までたどり着きました。

 もう少し付け加えるならば、「自分の死後、供養してもらわなくても良いのか」という問題もあります。こちらはいろいろな調査結果が出ていますが、死後の供養は全く必要ない、という方は大体1割程度です。ということはお墓が霊園にあったり、合祀墓や個人墓であったり、あるいは散骨を希望する方であっても、何らかの形で供養してもらいたいと思っている方が、大多数だということです。

 ここまでの6回分の論旨を踏まえた上で考えてみると、従来のような自分で意味のわからないことは希望しない。経済的にも、寺院の檀家として負担を分担することは回避したい。また、供養といっても必ずしも宗教的行事という形態である必要もない。というふうに要約できるかと思います。

 このような感覚が、特に都市部で急速に拡大している実態からすると、現在ある寺院を今後すべて維持していくことは、寺院の経済的な観点からして不可能である、という結論になります。
 前回も申し上げましたが、でも、だからなくなっても仕方ないではなく、どうやったら維持できるのかを考えたいのです。
 ご供養に宗教者は不必要と考える方には、維持する必要は無いじゃないかという方もいると思います。しかし、それぞれの寺院が創建されて以来、現在までの長い時間担い続けてきた人々の想いというものは、今でも残されているのです。

 極端な例を挙げれば、京都の金閣寺や銀閣寺、清水寺や醍醐寺。奈良の東大寺や興福寺、法隆寺、薬師寺。大阪の四天王寺、福井の永平寺、宇治の平等院。長野の善光寺、東京の浅草寺、平泉の中尊寺。
 これらの、日本人なら誰もが知っている名刹も、それぞれに創った方の想いがあり、お参りされてきた方々の思いがあり、それぞれの寺院をお守りしてきた方々の憶いがあるのです。

 こういった寺院全てが消え失せた日本を想像できますか?どんなにか貧しい風景でしょう。歴史も文化も自分から捨ててしまった、抜け殻だけが残るのでしょう。

 このような名刹でなくても、人の思いがのこっていることは同じです。だからその思いを守る形を探していかなければなりません。

 例えば、過疎地域では中核的な寺院を残して、後の寺院は縮小し中核寺院へ吸収していく。現実にもそういった地域では、10ヶ寺近く住職を兼務する方もおいでになり、既にそれに近い形になっています。これをもう一歩進めて、不要な建造物を撤去し、御本尊を守る本堂だけを集落の施設として活用してもらいながら、維持をお任せする。ついては各宗門から費用を提供する。

 反対に都市部では墓地のない寺院というか、布教所というか、そのような場所を増設し、檀家さんへの対応がない分、地域社会での貢献を目指す。そのために、そういった寺院の住職には、何か1つ、特殊な専門技能を持つ人間を配置する。
 例えばカウンセラー、作業療法士といった医療系の資格や、社会教育主事や学芸員といった生涯学習系の資格など、様々な可能性があると思います。

 そして一番大切なことは、僧侶が寺の世界以外へ出て活動することだと思っています。元来、江戸明治はもちろん、大正時代くらいまでは僧侶と一般世間はもっと密接な関係だったのですから。

 先日、鎌倉にある大本山光明寺の、約500年にわたって続く伝統の「お十夜」に出仕して参りました。こちらは一種のお祭りとしても有名で、参道にもその外の公道にもびっしりと露店が出ます。法要に興味はなく、単なる縁日としてきている子供たちもたくさんいました。
 近くの寺院から導師の練り行列が出発し、光明寺の参道に入ってきても皆さん熱心に商売を続けていて、衣に焼きそばのソースでもはねたらどうしようかと、そう思うほど物理的にも距離が近いのです。

 ここまで近くとは申しませんが、特定の日、特定の場所だけでなく、お寺に親しみを感じてもらえれば、きっと状況は変わってくると信じています。
 仏教の公伝以来、およそ1500年。いくつもの時代を乗り越えて みほとけの教えは護られてきたのですから。

 浄安寺住職  八 幡 正 晃








 ふとつけたテレビで「けんちん汁」をつくっていた。そのレシピに鶏肉が使われているのが疑問に、「けんちん汁」は精進料理ではないかと思ったからである。

 レシピ公開サイト「COOKPAD」の新着「けんちん汁レシピ」をみると、8件すべてにお肉が入っているではないか。豚肉が7件、鶏肉が1件、これでは「豚汁」である。そこで食品メーカーのレシピをみると、キッコーマン、味の素はやはり肉は入っておらず、豆腐と油あげがはいっている。
 広辞苑によると、「けんちん」は「巻繊」と書き、大根・牛蒡(ごぼう)・人参・椎茸(しいたけ)などを繊切(せんぎり)にして油で炒り、くずした豆腐を加え湯葉などで巻き、油で揚げたものという。こうした野菜の汁が「けんちん汁」ということである。また鎌倉の建長寺で出された汁物「建長寺汁」が訛って「けんちん汁」になったという説があるがいかがであろうか。
 結論的にいうと、やはり正規の「けんちん汁」は精進であり、そのうま味は豆腐や油あげによっているといえよう。しかし主婦たちのレシピでは、すでにおおかた肉が入れられており、「けんちん汁」と「豚汁」の違いはなくなってしまったようである。
 味噌汁やお吸い物と違って少しパンチがあり、そして野菜のうま味のある汁物として、夕餉の膳を賑わせているのであろう。

 最近、わたしは牛蒡の香りのする本来の「けんちん汁」が美味しく思うのは加齢のためであろうか。理屈の抜きに楽しめばよいのであろうが、理屈を振り回さなければ原稿が書けないのが情けない。これは加齢とは関係のないことである。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


けんちん汁を(川連塗かわつらぬり、秋田)









第294回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
11月19日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
西福寺住職 矢弓 尚善 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
12月17日(金) 同時刻  大泉寺副住職 小島 健布 師

 

十夜法要のご案内

 本年もお十夜の季節となりました。一日ではありますが、ご先祖のご供養とともに、み仏の教えにふれますよい機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい。
 お檀家の皆さまには、11月上旬に郵便にてご案内申しあげます。

日   時
11月26日(金)13時より
会   場
願成寺 本堂
護持会総会
「会費改定について」
塔婆供養料
3,000円
申 込 み
専用ハガキ、電話、FAX、E-mail (前日までに)

 

暮れの墓地大掃除のお知らせ

 毎年12月の第2日曜日は、暮れの墓地および境内地の大掃除となっております。お忙しい折とは存じますが、ご家族でご参加下をお願いいたします。当日は「温かいおでん」を用意いたしておりますので、お掃除終了後お召し上がり下さい。

日   時
12月12日(日) 9時より (小雨決行)
お 願 い
できますならばお掃除の道具をご持参下さい。
駐車場が少ないのでご注意下さい。

 





お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

「燃えないゴミ(ビン・カン)」
市のゴミに出します
「土に返すゴミ(花・香花)」
寺にてチップにして土に返します
「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
寺にて土に返します
「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開催日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場所
 願成寺庫裡
費用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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