願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、8月1日です。




潮風薫る鎌倉・光明寺


皆の願いがひとつとなった、八百年大御忌法要


極楽浄土をこの世に顕す蓮池


「大賀蓮」(永田英司・画)

 梅雨はもう明けているのではないかと思わせるほど、熱く輝いた夏の陽射しが降り注ぐ鎌倉・大本山光明寺において、「宗祖法然上人八百年大御忌」が開催された(7月5、6日)。私は現在、神奈川教区教化団理事を拝命しており、その教化団の事務所が光明寺山内に置かれていることもあって、大御忌のお手伝いをさせていただいた。
 光明寺は鎌倉材木座海岸の近くにあり、強い陽射しのなか、海の風も感じられた。まさに夏本番といったそんな山内では、百年にいちどの法要ということもあり、大殿も開山堂なども熱心な檀信徒の姿で溢れていた。
 法要では、「引声法要」(いんぜい)と呼ばれる独特の曲調をつけたお経が、僧侶たちによって唱えられた。また信徒たちもそこに加わって、太鼓や雲盤(うんばん)・鈴(れい)などを打ち鳴らす「鉦講」(かねこう)の強い音色が、堂内に響いた。僧俗一体となった、鮮やかとも思われる光景だった。

 光明寺は神奈川県唯一の浄土宗の大本山であり、時の執権・北条経時の帰依を受け、遡ること1243年に創建された。かつては「関東総本山」といわれ、江戸幕府が定めた「関東十八壇林」の筆頭として、念仏信仰の根本道場としての役割をはたしていた。そして現在では、四季折々に花々が咲くお寺としても知られている。大御忌法要のあった時期には、茶人・作庭家として知られる小堀遠州の流れを汲む庭園の池に、数種類の蓮が華やかに咲き誇っていた。

 この蓮は、仏教と縁の深い花といわれている。インドでは聖者の花ともされ、生まれたばかりのお釈迦様が蓮の花のなかで「天上天下唯我独尊」と言った、というエピソードはひろく知られているところだ。
 花の清浄な姿から、蓮はまた多くの経典でも尊ばれている。人間は日々泥のような生活をしているが、信心を得たときには泥から抜け出た蓮のように、清らかな心になると説かれているのだ。
 さて蓮の開花と落花には、ユニークな規則性がある。まず最初は夜明けに咲き、その花は徳利のようなかたちをしている。そして正午頃には閉じてしまい、二日目の夜明け前にもういちど開花する。このときのかたちは茶碗のようで、午後には八分通り閉じ、三日目の夕方まで皿形の花が満開となる。そして四日目の午後には、外側の花弁から散り始めてゆく。

 数多い蓮の種類のひとつに、「大賀蓮」と呼ばれるものがある。この種は蓮の研究家として知られる大賀一郎博士が、昭和二十六年に千葉県検見川の落合遺跡で発掘したものだ。そこから、博士の名が取られている。約二千年以前、蓮が日本列島にもたらされたとされる時期の泥炭層に、この種子は眠っていた。そのうちのひとつが翌年に開花し、採取した種子を多くの地に分けて、全国へとひろがっていった。そして光明寺にもまた、太古の蓮が花開いている。
 この蓮を観賞する「観蓮会」が、今年もまた庭園を眺める楽しみと共に、7月23日(土)・24日(日)の両日に開催される。その催しと併せて、光明寺では「献灯会」(けんとうえ)も開かれる。読経など法要の後に稚児行列をして海岸まで歩き、海難横死の諸霊および魚鱗の供養をするのだ。

 宗祖法然上人八百年大御忌正当の年に巡り合えたことに感謝して、念仏を今後も唱え続けたいとの思いを、さらに強くしている。

【付記】ちなみに五月に訪れた利尻島・礼文島の旅が、自分でも予想しなかった展開となりました。当地で描いたスケッチ26点をもとに、個展を開催できる運びとなったのです。島の方々のご協力・ご尽力あってこその展覧会でもあり、その佛縁に感謝したい思いです。
 日程はつぎの通りです。夏の旅行に当地をご計画されている方などがおられましたら、ぜひ立ち寄ってみてください。

「さいはての浄土に咲く花」永田英司スケッチ画展
 (利尻町立博物館特別展&移動展)

 ○利尻町立博物館
       7月10日(日)〜8月11日(木)
       8月20日(土)〜8月31日(水)
 ○浄土宗慈教寺(利尻富士町鴛泊字本泊)
       8月13日(土)〜8月15日(月)
 ○浄土宗専称寺(利尻町仙法志字政泊)
       8月17日(水)〜8月19日(金)

 国内開教使・桂林寺住職  永 田 英 司








 田舎者には東京は住みにくいのかもしれない。いや住んでいるわけではないが、時々東京に行くことが多いのかもしれない。最近のできごとであるが、忙しく動く駅などは、時としてニアミスを起こすことがある。いわゆる異常接近をする、いや接触事故と呼んだほうがよいであろうか。
 キャリーバッグを引いた若い女性が格好よく目の前を横切っていった。そのときに接触事故が起きた。彼女にぶつかったのではなく、正確には彼女の引いていたカートである。私の目の前を横切ったその先で彼女は止まったのであるが、キャリーバッグは私の足の前で止まっていたのだ。わずかな接触であったが、「キィー」と睨まれ、「おじさん、私のバックに何するのよ」と云わんばかりである。気が弱いのか「ごめん」と言いかけたが、本当はこちらこそ「なにするんだ!」といいたいところである。

 私は健康のためにと、エレベータとエスカレータには乗らないように努めてきた。ある整形外科医の講演で、年をとってからは階段の上がり下りはしないがよいと教わった。加齢による膝の軟骨の磨り減った状態での階段の上下は、膝への負担が多いというのである。運動したければ、階段ではなく平らな道を歩くとよいとのこと。その日からダイエットと思っての階段の上がり下りは終わりを告げ、積極的なエレベータとエスカレータとなった。
 エスカレータに乗るときは事故を防ぐため一段空けて乗るようにするが、朝夕のラッシュ時は、そうはいかない。それが悲劇を呼んだ。やはり若き女性に「キリィリ」と睨まれてしまったのである。彼女は少し大きめの手提げバッグを肩に掛けていた。そして誰かを探していたのであろうか、横を向いたのである。そのとき彼女のバッグは私の顔に接触したのである。私の不安は的中し、やはり「キリィリ」と睨まれ、彼女の見る目はまさしく犯罪者をみるものであった。

 『日本霊異記(にっぽんりょういき)』という仏教説話集に、つぎのような話がある。指の運動に小石を使った尼が、終えると窓の外へ「ポイ」と投げた。するとその石は小さな虫に当たってしまい、虫は死んでしまったのである。尼の庵の近くで、イノシシが大きな石の下の餌をとろうとすると、その石が転がりだしてしまい、尼にあたってしまったという話である。
 尼もイノシシも自分の行動が、時としてとんでもない事件になってしまったことは知るよしもないことである。

 多少、彼女らを恨まないわけではないが、人間は時として知らず知らずのうちに他人様(ひとさま)に迷惑を掛けているのではないかということである。
 忙しい世の中であるだけに、少しだけ周りに気を遣った行動をとりたいと思った次第である。

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


キャリーバッグ









東北地方太平洋沖地震義援金のご報告

 お彼岸のあいだ玄関でお寄せいただきました「東北地方太平洋沖地震義援金」 と 観音堂大祭の経費の一部を、浄土宗を通し見舞金といたしまして被災された方々にお送りいたしました。誠にありがとうございました。

「義援金箱」
      77,303 円
「観音堂大祭経費」
     100,000 円

 

第302回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
7月22日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
願成寺住職 魚尾 孝久 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
8月19日(金) 同時刻  常林寺住職 山田 太壱 師

 

8月のお盆棚経

 お盆の棚経は、「ご自宅へ伺っての棚経」 と 「お寺での棚経」 とがあります。8月上旬にハガキにてご案内申しあげますので、ご希望をお知らせ下さい。

「ご自宅での棚経」
8月13,14,15日のうちお伺いする日を連絡します。
「お寺での棚経」
8月13日11時、本堂へ。
前日までにお電話で連絡をお願いします。

 

福田行誠上人展

 明治の高僧、総本山知恩院門跡、浄土宗管長、増上寺法主を勤められた福田行誠上人展が開催されます。お出かけ下さいませ。

日   時
8月26日(金) 〜 31日(水)
場   所
「しずぎんギャラリー四季」
静岡市葵区追手町1−13 アゴラ7階(静銀呉服町支店)
ギャラリートーク
8月28日(日) 13時30分
講   師
「行誠上人について」 東京 本誓寺住職 福田 行慈
「行誠上人と静岡」   三島 願成寺住職 魚尾 孝久

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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