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次回配信日は、10月1日です。




横浜・清林寺に古くから伝わる「善光寺式阿弥陀三尊」


一光三尊ゆかりの地、善光寺の宿坊を訪れた


宿坊「正信坊」では、法然上人がまさにご本尊となっていた

 横浜の新しい街「港北ニュータウン」に、元禄5年(1692)開創の、300年を超える古刹がある。寺号は清林寺、さる8月の施餓鬼会に呼ばれ、当寺にて法話をさせていただいた。
 この施餓鬼会において、ご本尊の聖観音菩薩立像が、特別に一日だけ開帳された。平成19年11月1日付で、横浜市より指定有形文化財に認定された秘仏である。桧の寄木造りで、漆箔をほどこされた古色塗りのその仏像は、12年ごとに午年の4月にのみ開帳されるという。普段は厨子に安置されており、お前立ちの聖観音菩薩立像を拝むことになる。
 私もこの秘仏を拝観するのは初めてのことで、開帳されることを事前に聞いていたゆえもあって、法話では仏像に関するお話をした。というのも、この清林寺には聖観音菩薩立像とは別に、「善光寺式阿弥陀三尊」と呼ばれるこれもまた貴重な仏像が、内陣の脇壇に据えられているからだ。檀信徒さんたちが普段いつでも見られるその仏さまが、いかに尊いものかをお伝えしたいと思った。

 「善光寺式阿弥陀三尊はまた“一光三尊阿弥陀如来像”とも言って、一般の阿弥陀三尊とは、きわだった違いがあります。阿弥陀如来に向かって右に観世音菩薩、左に勢至(せいし)菩薩が、ひとつの光背に立造しているのです。また阿弥陀如来は右手を上げて掌をこちら側に開いた、“施無畏印”(せむいいん)を結んでいます。これには、衆生の畏れを取り除くという意味がこめられています。左手は“刀印”(とういん)といい、下に向けた手の人差し指と中指を伸ばし、他の指を曲げています。いわゆるチョキを閉じたような形で、これも珍しい印相なのです。
 両脇侍の観音菩薩・勢至菩薩は、胸前で左の掌に右の掌を水平に重ねています。これは“梵篋印”(ぼんきょういん)と呼ばれ、その掌のなかには真珠の薬箱があるとも言われています。そして頭上には、独特の宝冠をかぶっています。
 蓮台にも特徴があります。蓮の花びらが散り終わったあとに残される蘂(ずい)、つまり花托が重なった臼型の上に、三尊が立っているのです……」

 宅地化の進むまえは、横浜の小さな村だった自分たちの土地に、かくも意義深い仏がいにしえより伝えられていたことを改めて知って、檀信徒さんたちは心も新たに手を合わせてくれた。それから数日後、その仏像の本家本元である信州善光寺に行く所用が、ふいに持ち上がった。仏像が結んだ「えにし」、まさしく佛縁だろうかと不思議に感じた。

 善光寺に安置されているご本尊・善光寺式阿弥陀三尊(一光三尊阿弥陀如来像)は、数え年で七年にいちど(現在は丑と未の年)にしか姿を見ることのできない、お前立ちの絶対秘仏だ。しかし戊辰戦争から第二次世界大戦にいたるまでの英霊を祀る「日本忠霊殿」の内陣に、ご本尊の分身仏が安置されており、そのお姿を有難く拝観することができる。
 分身仏であるとはいえ、日本初伝の仏像を忠実に模したものだと思うと、身の引き締まる思いがした。一光三尊はインドで生まれ、大陸の旅を経て、遠く半島から信州の地にまで届けられた。その模像はやがて鎌倉時代から室町時代にかけて、全国でさかんにおこなわれるようになった。寺号は違えどもご本尊は善光寺式阿弥陀三尊であるなど、善光寺と何かと縁の深い寺院は多いのだ。
 そんなこともあり、創建約千四百年の善光寺の周囲には、信仰篤い人々が泊まる宿坊もまた多い。私も今回は、法然上人ゆかりの宿があると聞いて、ぜひにと思って訪ねてみることにした。正信坊という宿坊で、善光寺の山門を下ったところにある仁王門を、東側へ入った小路にその小さな宿を見つけた。
 突然お伺いしたにもかかわらず、御住職は宿坊の様子を手厚く案内してくれた。門前には「圓光大師御遺跡」の石柱が建っており、そこを通る小路は法然通りあるいは法然小路と呼ばれていた。そしてこの宿坊の両側にも、やはり浄土宗の宿坊が並んでいた。
 正信坊の二階にある御堂は「法然堂」ともいわれ、法然上人がそのままご本尊となっていた。この、あまりの縁の深さに、私は上人の残した言葉を思い出した。
 「予が遺跡は、諸州に遍満すべし。ゆえいかんとなれば、念佛の興行は、愚老一期の勧化なり」
 たとえ本人がその地に赴かなくとも、専ら念仏を唱え祈り続ける心を捨てなければ、その声や想いは人々の信心に深く根づき、はるか遠地であっても届くという信念が、この言葉にはこめられている。
 信州善光寺やその周囲に集まる数々の宿坊に、念仏への信仰は確かに今も篤く息づいていた。ここは間違いなく宗祖・法然上人の願いが届いた、御遺跡そのものだと感じることができた。知人のお寺で一光三尊を知り、縁あってその原点を訪れることになった善光寺式阿弥陀三尊をめぐる旅は、深い感慨を私の心に落としてくれた。

 国内開教使・桂林寺住職  永 田 英 司








 今年はいつまで残暑という言葉が使われるのであろうか。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるが、もう数日で彼岸になるのにとの思いである。連日の残暑で、ついエアコンのスイッチに手が伸びる。この9日には、東京電力と東北電力管内で7月1日から実施してきた企業や工場向けの電力使用制限令が解除されたニュースを知ってか、多少安堵の感がある。

 ところで、私は静岡県三島市に生まれ育ち、自坊を継承している。この静岡県は電気の事情についてはいささか特異な県である。糸魚川静岡構造線と呼ばれる大活断層をもって電力会社が違うことである。西が中部電力であり、東が東京電力である。したがって、静岡県の東部地区は計画停電に振り回されたのであるが、県庁の所在地静岡市や浜松などは現在の電力に依存した生活であることの再認識を強いられることはなかった。そういえば三島で見るテレビも、東京のTBSテレビでは東京電力のコマーシャルが流れ、同系列であっても静岡テレビには中部電力のコマーシャルが登場してくる。今年ほど、どこの電力会社から供給を受けているかを、意識させられたことはなかった。

 こうしたなかで電力使用制限令の解除は、精神的にも朗報であった。しかしそれは新たなる東京電力の作戦でしかなかったと、朝日新聞は次のごとく報ずるところである。微妙な表現があるので全文をそのまま転載させていただく。

  東京電力が来春から3年間15%程度の電気料金値上げを検討し
 ている、と朝日新聞が14日報じた。原発事故の影響で火力発電を増
 やすことなどが理由。東電側は否定しているが、仮に15%なら、標準
 家庭で月7000円弱の料金が1000円ほど増える計算だ。今のところ、
 政府としては認めない構え。東電の姿勢に不快感を表明した閣僚も
 いる。原発事故が収束しない時期の電力料金値上げには企業や家
 庭などからの反発も予想される。エネルギー政策の練り直しが求め
 られるなか、そもそも電力料金をどのように考えるべきか。

これに対して、東京電力は次のようにコメントしている。

  9月14日の朝日新聞朝刊で「東電値上げ3年間」との報道がなされ
 ておりますが、こうした事実はございません。
  当社は、原子力の低稼働により燃料費の負担が大幅に増加し、
 23年度第1四半期決算で経常損失を計上するなど、収支は極めて
 厳しい状況にあり、これに対応することが今後の大きな課題であるこ
 とは事実です。当面、東京電力に関する経営・財務調査委員会での
 ご議論も踏まえながら、まずは、抜本的な経営の合理化・効率化を
 進めることで、この間、費用削減や資金確保に取り組んでいくことが
 不可欠と考えております。
  なお、過去の料金改定において過大な原価見積もりが行われてい
 るような報道がなされておりますが、この間、当社は原価を適切に計
 上し、電気料金の値下げを継続してきたと考えております。  以上

 朝日新聞の誤報とするならば杞憂であるが、東京電力値上げかとの報道は今回に限ったことではないと思うと、いささか心配となる。原発事故は、どうも東京電力にとっては「加害者ではなくて被災者である」という認識が見え隠れするようにも思われるのは私だけであろうか。
 電気に限らず、難局に対処するには真摯な態度が肝要と思われる。

【糸魚川‐静岡構造線】
フォッサマグナの西縁をなし、本州中央部を南北に走る大断層系。これを境に、西側には中・古生層や変成岩、花崗岩(かこうがん)類などの基盤岩が広く分布するのに対し、東側には新生代新第三紀以降の地層が厚く堆積(たいせき)する。また、西南日本外帯の基盤岩の一般走向も、西側の赤石山地では北東ないし北北東であるのに対し、東側の関東山地では大きく屈曲して北西ないし西北西である。かならずしも1本の断層ではなく、活動の時期も運動様式も異なるいくつかの断層の複合と考えられている。新第三紀中新世前半以前に活動した証拠は得られていないが、第四紀には左横ずれ成分をもつ西側隆起の逆断層活動を行った。その落差は5キロメートルにも達するといわれ、地形にも急崖(きゅうがい)として明瞭(めいりょう)に現れている。長野県内では活断層が知られており、糸魚川‐静岡構造線活断層とよばれている。(日本大百科全書ニッポニカ)

 天主君山現受院願成寺住職
 魚 尾 孝 久


施餓鬼法要と震災物故者追悼法要









東北地方太平洋沖地震義援金のご報告

 お彼岸のあいだ玄関でお寄せいただきました「東北地方太平洋沖地震義援金」 と 観音堂大祭の経費の一部を、浄土宗を通し見舞金といたしまして被災された方々にお送りいたしました。誠にありがとうございました。

「義援金箱」
      77,303 円
「観音堂大祭経費」
     100,000 円

 

第304回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
9月16日(金) PM7:00〜8:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
本法寺住職 清水 俊匡 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
10月21日(金) 同時刻  大泉寺東堂 小島 捷亮 師

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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