新春をお迎えいたしましたこと、心よりお慶び申しあげます。静岡では三が日とも日中は気温が最高13度の日もあり、風もないため暖かいお正月となりました。三嶋大社には約62万人の初詣の人出と報道されています。三島市の人口がおよそ11万人ですから、その人出は凄いものです。
拙寺でも例年4日には(しゅしょうえ)を開催しております。本堂で初参りをして、書院で新年会をいたします。毎年のことですが、今年からは「東日本大震災物故者霊位追善菩提」と、震災で亡くなられた方のご供養を申しあげました。
前日には、これも恒例の里芋汁の準備に取りかかります。じつは何年か前にメルマガにも書いたことがあるのですが、所沢の知人中村晴一さんがお檀家さんのために立派な里芋を送って下さるのです。お芋のプロで、それはそれは美味しい里芋です。色が白く、土臭さがなく、口の中で溶けていくようです。
形の整っている里芋を50個選び皮をむいていきます。良いお芋は皮むきの時点でわかります。そう力を入れることなく、むくことができるからです。お椀には大きな里芋がひとつはいります。ふと、できあがったお芋を見ますと、多少の大小があります。これだけはどうすることもできません。間違っても大きいお芋の皮は厚くむくということはありません。大げさに言うと、どうしても大きいお芋、小さいお芋ができてしまうのです。
あっ、修正会の「お話」はこれでいこう。食前の詞に「その功徳を念じて品の多少を選ばじ、いただきます。」というのがあります。この考え方、は仏教の根本的な考え方で「小欲知足」に基づくものと思われます。
元禄時代の無能上人は、「少欲知足」の心を次のように詠んでいます。
何事も なきにたりぬる 身ぞ安き 思ひもとむる 心なければ
われわれが日常生活をして参りますときは、この「欲」も必要かと思われます。欲は原動力となるからです。しかし、過ぎたる欲こそ、身の破滅を招きますことはご承知の通りです。わかっていることですが、難しいことのようにも思われます。今年、心に留めておくこととなさいませんか。
【修正会 】
正月の初め、お寺では社会の平和と人々の幸福を祈って、 法会(ほうえ)を修します。これを修正会といいます。私たちも無事新年を迎えられたことをご本尊さまに感謝し、この一年すこやかに過ごせるよう、元日には一家そろって 菩提寺(ぼだいじ)へ初詣りをいたしましょう。
(浄土宗ホームページより http://www.jodo.or.jp/ )
【少欲知足】 【小欲知足】
欲望が少なく、わずかばかりのことで満足すること。
*栂尾明恵上人伝記〔1232〜50頃〕下「小欲知足(シャウヨクチソ
ク)ならば天下安く治るべし」
*無量寿経‐上「少欲知足(略)」
日本国語大辞典, ジャパンナレッジ (オンラインデータベース),
入手先< http://www.japanknowledge.com >, (参照 2012-01-05)
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久 |