願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、8月17日です。




川施餓鬼お札


狩野川台風でなくなった家畜(「狩野川台風」静岡教育出版社刊)

 先日、「川施餓鬼」にいってきました。毎年この時期に、牛馬頭観音さまをご本尊として、農家の皆さんと家畜の供養祭をおこなっています。正確に言いますと、農家ではあるのですが、すでに牛や馬を飼っている人はなく、昔飼っていた人たちです。
 ひと昔前までは、どの農家でも朝鮮牛を1頭飼って、田畑までの往復の荷車を牽(ひ)かせ、田畑では耕すことから代掻き(しろかき)までおこなわさせ、農家にとりましては牛なくして農業は成り立ちませんでした。余裕のある農家はあとホルスタインを1頭飼って牛乳をとりました。ですから農家にとりましては、牛は我が子同然であり、大切な家族でありました。一日の仕事を終えると、最後に牛の鞍をはずして手入れをします。ブラシを掛けられ、心なしか牛がしっぽを大きく振って喜んでいる光景は、鮮明に残っています。
 時代とともに、牛から耕耘機やトラクタに代わってきましたが、牛を思う気持ち、供養する気持ちは微塵も変わっていません。毎年「川施餓鬼」と称して、供養祭が営まれているのです。
 私たちの所ばかりでなく、大方の牛馬頭観音さまをお祀りしてあるのは河川敷です。きっとなくなった家畜を河川敷に埋葬したからでしょう。少し注意深く見ていただくと、河川の土手には必ずと言っていいほど供養塔があるものです。
 河川の改修がありますと、必ず供養をしてから工事にかかります。私もよく頼まれて供養に参ったものです。供養祭を執行するのは土建業者の皆さんであり、工事の発注者である国土交通省の方は見えません。行政は宗教行為を嫌うからです。しかし現場で工事をする人たちは、かならず家畜の供養と工事の安全祈願をするのです。
 ところがあるときの業者による供養祭の折、所長さんをはじめ何人かの役人の方も参加して下さったことがあります。一緒にお線香を上げ合掌いたしたことは、大変に嬉しかったことでした。

 話は変わりますが、息子が「災害と宗教」というテーマで調査をしております関係で、狩野川台風の当時の聞き取り調査に同行しました。古老が語りました。
   「私たちの地域は人の身丈ほどの浸水でした。夜中のことであ
   り、田園地帯で小高いところもありませんでしたので屋根に逃げ
   るのが精一杯でした。幸いに激流に飲まれたのではありませんで
   したので、翌日には水が引き助かりました。しかし牛は助けられま
   せんでした。屋根に上がるとき、牛の綱を切りました。自力で助か
   ることを祈って。台風が過ぎ去って牛を探しました。水を飲みはじ
   けそうにお腹の膨らんだ我が牛を、他人の畑で見つけました。で
   も、畑の持ち主から持って行けと言われたらどうしようと思うと、俺
   の牛だとはいえませんでした。昭和33年、重機などはなく、どうし
   ようもなかったのです。50年もたっているから話せるのです。」
 原発で避難するときに放たれた家畜の映像を見ました。辛かったです。

 法要での法話で、今の農家の繁栄の一翼を担った家畜たちのこのとを再確認していただきました。そしてこの法要がいつまでも続けられることをお願いいたしました。

【朝鮮牛】
ウシの一品種。雄は体重370キログラム,肩高1.3メートルほどで,雌はやや小さい。体は普通,黄褐色。柔順で耐久力に富み,役用に適し,食肉用ともする。朝鮮原産で日本にも導入された。ちょうせんぎゅう。韓牛。(大辞林)

【代掻き(しろかき)】
田植の前に水田に水を入れて土塊を砕く作業。水田の漏水を防止し,田植を容易にする。また肥料と土をよく混合し,田面を平らにするとともに,雑草,害虫等の除去を助ける。(大辞林)

【ホルスタイン】
家畜の牛の一品種。オランダのフリースラント地方およびドイツのホルシュタイン地方の原産の乳牛。毛色は白と黒の斑。乳量が多い。日本で最も多く飼育。(大辞林)

【狩野川台風】
1958年(昭和33)の台風第22号のこと。台風の名称は決壊した狩野川からきている。9月21日にマリアナ近海で発生し、北上しながら急速に発達した。23日未明の3時から24日3時までの24時間で93ヘクトパスカルも中心気圧が深まり877ヘクトパスカルまで発達したこの台風も、26日夜伊豆半島をかすめて相模(さがみ)湾から神奈川県に上陸したころには、かなり衰弱していた。しかし、台風の接近により日本の南岸沿いの前線が活発化し、伊豆半島と関東南部では記録的な豪雨となった。台風はその後東京付近を通って三陸沖へ抜けている。
 被害はおもに雨によるもので、東日本を中心に広範囲にわたった。気象庁技術報告(『気象庁技術報告第37号 狩野川台風調査報告』1963年)によると、死者・行方不明者は1157名、人的被害の大部分は、台風の通過した静岡県と関東地方で河川の増水・決壊によってもたらされた。なかでも、伊豆地方では狩野川の氾濫(はんらん)によって、死者・行方不明者が900名を超えるなど大きな被害が発生し、修善寺(しゅぜんじ)町(現、伊豆市)だけでも、死者・行方不明者は464名にのぼった。東京では26日の日降水量は393ミリメートルと気象庁開設以来の雨量となり、石神井(しゃくじい)川の堤防決壊など、随所に水害が発生し、交通網が寸断された。
”狩野川台風”, 日本大百科全書(ニッポニカ), ジャパンナレッジ (オンラインデータベース), 入手先<http://www.japanknowledge.com>, (参照 2012-08-01)

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久









8月のお盆棚経

 お盆の棚経は、「ご自宅へ伺っての棚経」 と 「お寺での棚経」 とがあります。8月上旬にハガキにてご案内申しあげます。

「ご自宅での棚経」
8月13,14,15日のうちお伺いする日を連絡します。
「お寺での棚経」
8月13日11時、本堂へ。
前日までにお電話で連絡をお願いします。

 

第315回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
8月24日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
常林寺 山田 太壱 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
9月14日(金) 同時刻  本法寺 清水 俊匡 師

 

宗祇法師の会 (8月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
8月24日(金) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 宗祇法師の会

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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