台風を心配しながら、10月を迎えました。台風一過で晴天となり、まだまだ残暑の感を拭えません。衣替えの季節でありますが、もうしばらく夏の服装で過ごそうと思っているのは私だけでしょうか。
さて、9月29日、三島地区宗教者懇話会主催によります「環境問題」の講演会に参加してまいりました。今現在の地球は破滅の一途を辿っており、特に先進国が今すぐに処方箋にしたがってアクションをとらなければならない状況であることを教えられました。同じ地球上に生まれて、一方では飽食のため肥満などの健康障害を起こしたり、また食品の20〜30%が食べられずに廃棄されている現実、一方では1杯のスープもままならず、飢餓のどん底にいる人たちがいます。そこで講師である内藤歓風上人(伊東市朝善寺住職)は、「シンプルライフ」「スローライフ」の提言をされています。地球上の一人ひとりができることから行動することによってのみ、「持続可能な発展を目指す社会」が形成できると指摘されました。そして宗教者はその大きな役割を担っていることの自覚が求められました。
すぐに自分に置き換えてみる。確かにお寺の事務所にも資源ボックスを設け、紙資源の箱に、封筒は差出人の部分を切り取って入れ、割り箸の袋も今は紙資源としています。ビン缶に至っては言うまでもないが、これとて誰でもがしていることであって、宗教家としての活動ではありません。宗教家としていかに率先していくかが問題であろうが、なかなか難しいことであります。
仏さまにお花やお菓子をお供えしますが、5本のお花ではなく3本にするならばよいのでしょうか。仏さまにお花をあげる気持ちが大切とするならば、1本でもよいのでないかとも思われます。
わざわざ墓地まで出向いてお参りするよりも、自宅で心に念ずるならば、時間もガソリンも節約できるという考えもなくはありません。しかし手間、暇、お金を掛けてまでも墓参するところに、心の安らぎ、意義を見出せるのも事実であります。
仏教では「小欲知足(少欲知足)」ということが重んじられます。再認識を強くさせられました。
ところで個人的にはどうであろうか。何もしていないように思われてなりません。妻が車を運転しないので、マーッケト等の買い物におともをする。エコを考えていたわけではないのですが、食品の買い物は空腹の時間帯には行かない、食事の休憩後すぐに行くことにしております。
お腹が満腹であるので、必要以上の食品を手にすることがないように思われます。夕方、お腹がすいていると、多めの惣菜、多めのお酒の友、食後の甘味まで心配をしてしまうようです。肥満対策として始めたことですが、こうしたことからも出発が求められているように思えました。
大きな課題を頂戴いたしました。「持続可能な発展を目指す社会」のために積極的に考えていこうと思っております。
【小欲知足】しょうよくちそく
欲が少なく、わずかなもので満足すること。(大辞泉)
【スローライフ】
スローライフ(Slow Life)とは、生活様式に関する思想の一つで、地産地消や歩行型社会を目指す生活様式を指す。日本ではスローフードが拡大解釈されて浸透した言葉だが、スローライフ・ジャパンを立ち上げた故筑紫哲也によると英語の翻訳ではなく日本語の造語と書いている。(ウィキペディア)
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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