願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、6月1日です。




建設の始まった本堂


内部の様子


シートに覆われた骨組み

 前回の自己紹介の部分でも書きましたが、私が所属している神戸の安養寺は、約18年前の阪神大震災で全壊し本堂がありません。その時は、他の方が住職をされていましたが、約10年前に父親が住職に就任し、やっと今年、本堂の再建が始まりました。

 始めに、安養寺の歴史に触れておきます。

正式名は、浄土宗、大悲山、成覚院 安養寺。
 現在は、兵庫県神戸市中央区にありますが、元々は、兵庫県尼崎市にあったお寺で、創建は、約1000年以上前とされている。
 建立した方は、恵心僧都(源信僧都)の妹、安養尼といわれ、母親の菩提を弔うために建立したと伝わっている。その後、貞享元年(西暦1674年)に亡くなった尼崎の城主、青山幸利候の遺言により、現在の地移されることとなった。
 戦争中に本堂が取り壊され、仮の本堂を建てたが、18年前の震災で倒壊し、現在にいたった。

したがって、今回の再建は、戦後以来の本格的な本堂再建になります。

 建て方は、昔ながらの本堂の建て方。釘をあまり使わず、木をくみ上げていく建て方です。また、柱は、地面に置かれた石の上に乗っているだけの、「伝統石場建て」という技法で建立中です。
 木材は、梁が国産の松で、一部ケヤキ、それ以外は国産の檜を使い、釘も、和釘という鍛冶屋さんが刀を作るように打って作った日本特有の四角い形の釘を使います。
 余談ですが、なぜ木をくみ上げていく技法が発達したかというと、「昔、鉄が貴重で使える量が限られていたので、木をどうにかして組んでいこうと考えた結果で、釘を使わなかったのではなく、使えなかったから」と宮大工さんが教えてくれました。

 昨年末に基礎工事がスタートし、今年4月10日からくみ上げを開始しました。
始めにメインとなる柱を運び込み建てました。
柱は、直径45センチで、本堂内部両側に6本ずつ並びます。
その後、柱の上をつないでいき、大きな梁をのせます。
梁だけは、松の木を使っていますが、この直径も約60センチ。
柱の元から天井までの高さが、約5m50p、天井から屋根の上までの高さが、約5m50p程あります。
現在は、約一ヶ月ほど経過し、大まかな形ができあがりました。

 組み上がっていく様子を見ていると、宮大工さんの技術のすごさにも感動します。
木を隙間なくくみ上げていく技術。
二本の木を絶妙にカットし、強度を保ちながらつなぎ合わせる技法。
職人技です。「すごい」としか表現ができません。
まさに、日本の伝統技術の結晶です。

 一から本堂を作る所を見るのは初めてなので、このように驚きの連続で、お寺にいても知らないことがたくさんあったと考えさせられます。

 そして、最も考えさせられたことは、今でこそクレーン車・鉄のがっちりした足場があるのが当たり前ですが、それがなかった時代にお寺を建立され、しかも、今でも修復を繰り返して残っていることです。大量の木材を集め、大きな木を運ぶ作業などは、どれだけ大変な作業だったのだろうか。安易な思いでは、本堂を作ることはできなかっただろうと思います。
 そこには、お寺を建立することを決めた人の思い、作る職人の思い、強い信仰心などたくさんの思いが込められていたはずです。また、それが今の時代に残っているというのは、お寺を守ってきた人の思いがそこにプラスされているはずです。

 ただ、お寺という建物をみるだけじゃなく、その裏側にある苦労、思い、そしてそれを維持してくれてきた人への感謝の気持ちを忘れてはいけないと思うともに、私達だけが「よかった」と満足するのではなく、私達も、次の世代に、伝わってきた思い、日本の伝統技術を残していかなければと感じました。

次は、宮大工さんに焦点を当てて書きます。

 安養寺  清 水 良 将








 最近、「パワースポット」という言葉を耳にすることが多い。どうもテレビで多く使われているようにも思えるし、時として宗教者側からも発信されているようである。
 最も大きい国語辞典『日本国語大辞典』には「パワースポット」は項目としてない。岩波書店の『広辞苑』にも出てこない。やっと『大辞泉』にいたって見つけることができる。

”パワー‐スポット【power spot】”
  霊的な力が満ちているとされる場所。
  [補説]1990年代ごろからのオカルトや超自然主義の流行に伴って
  使われだした。

 やはり最近のテレビなどによる造語であるが、相当な勢いで浸透しているようにも思われる。そしてその背景には「パワースポット」を売りにした番組が制作され、観光のコンセプトとして利用され、なかには一部であるが神社や寺院からも発信されているようである。そこには商業主義が見え隠れするようだ。

 日本人は、どうも死者との繋がりを大切にしているようだ。時には死者を神として祭り、時には先祖として敬う。葬儀や年忌法要などは、その最たるものであろう。生者には望まないことであるが、怨霊(おんりょう)、御霊(ごりょう)、幽霊なども同類である。
 死者と生者との関係は、ご承知のように必ずしも釣り合いの取れるものではない。すなわち、生者は死者(先祖を含む)に対して「崇敬」「思慕」「追善」の思いを抱くばかりでなく、時として、「畏怖」「鎮魂」の思いも抱くのである。
 死者は生者に対して「守護」するばかりではなく、「憑依(ひょうい)」による「祟り」「罰(ばち)」を与えると考える。そこに介在する心のひとつとして「パワースポット」を位置づけることができようか。すなわち生者は自分に都合のよい死者や先祖の「守護」を抜き出して、「パワースポット」と称しているように思える。
 何か、生者の都合の良さからだけで、「パワースポット」を利用しているようにも思えるのである。

 最近、法要のあとの「ひと言」で、若い人が多いときは、「あなたたちに取っての最高のパワースポットは、他所の神社仏閣ではなく、あなたの家のお墓、そしてそのお墓のある菩提寺である。あなた方を見守ってくれるのは、先ずあなたのご先祖ですよ。」と話をする。嬉しいにつけ、悲しいにつけ、自分の家のお墓参りを勧めている。

 若干であるが、若い人の墓参が多くなったような気がする。
 

【『日本国語大辞典』】
 総項目数50万、用例数100万を収録したわが国最大の国語辞典『日本国語大辞典 第二版』小学館刊(全13巻)。

【怨霊】おん‐りょう
 受けた仕打ちにうらみを抱いて、たたりをする死霊または生き霊。

【御霊】ご‐りょう
 1 霊魂をいう尊敬語。みたま。
  「これ讚岐院(さぬきのゐん)の―なりとて」〈古活字本保元・下〉
 2 貴人や功績のあった人を祭る社。
 3 「御霊会(え)」の略。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


新緑を迎えた願成寺









第324回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
5月17日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
万松院 吉田 宏得 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
6月21日(金) 同時刻  福泉寺 岩佐 善公 師

 

宗祇法師の会 (5月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
5月20日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会

 

大施餓鬼会のお知らせ

 本年もお施餓鬼会法要を、下記のごとく厳修いたしたくご案内申しあげます。ご先祖の供養とともに、一日ではありますが、みほとけの教えにふれます良い機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい(当日ご参加できません方には、当寺にてお塔婆をお墓に立てさせていただきます)。

日   時
5月30日(木)  【14時】法要
法   話
願成寺副住職 魚尾 和瑛
未定
供 養 料
3,000円
申 込 み
お参りの折、電話、FAX、E-mail(前日までに)

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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