7月1日、ちょうど半年が過ぎたことになり、1年の折り返しとなると同時に夏の到来を告げる京都の祇園祭、博多祇園山笠の招き入れ神事が始まるが、やはり今年は何といっても世界文化遺産となった富士山の山開きが話題となっている。
残念ながら今日は曇り空で、富士山を拝することができない。
わたしも高校生の時に仲間と富士登山した経験がある。夕方バスにて富士宮五合目に到着、そのまま徹夜で登山、山頂にてご来光を仰ぎ、昼過ぎには御殿場口に下りてくるというものである。それも高校生4人だけの登山。今厳しく規制されている「弾丸登山」であった。
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世界文化遺産に登録された富士山が7月1日に山開きするのを
前に、山梨県は29日午前、五合目と六合目に、徹夜で登る「弾丸
登山」の自粛を呼びかける看板を設けた。「ケガや病気にかかり
やすくなります」などと、余裕を持った日程での登山を呼びかけて
いる。英語、韓国語、中国語でも表記した。
(朝日新聞2013年06月29日)
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まさしく無謀登山の典型であり、恥ずかしく思う。無事に帰ってくることができたからよいもの、ひとつ間違えば命に関わることで、さらに多くの人たちにご迷惑をお掛けすることであった。やはり高山病への十分な対策が必要となることである。
勤める大学で、チベット視察がおこなわれた。チベット寺院に留学したことのある先生が案内をしているので、富士山山頂とほぼ同じ海抜である首都ラサに到着すると、すぐにホテルで横になって休息がとられた。高山病を防ぐため、体を高地に慣らすために、その日は一切行動しないのである。一度高山病になってしまったら、低地に下りるしか方法がないからである。
何年か前であるが、お檀家さんとともにハワイの寺院(マウイ島のラハイナ浄土院)に参拝の旅に行ったことがある。オプショナルツアーで「ハレアカラ山頂 サンセット&星空観測ツアー」というのがり、マウイ島の最高峰ハレアカラ山頂10,023フィート(3,055m)、ハレアカラ・クレーター(Haleakala Crater 直径11.25km(7マイル)、幅3.2km(2マイル)、深さ約800m(2,600フィート))は、異次元のような光景であり、映画『2001年宇宙の旅』の撮影にも使用されたところである。
麓(ふもと)から専用バスで一気に3000mまで駆け上がり、1時間ほどの山頂を堪能しての下山となる。高山病にならないうちに下山となるのであるが、山頂をかいがいしく飛び回ってお世話してくれた三島から同行した添乗員さんだけは、残念にも高山病になってしまった。すぐにの下山であったのでことなきを得たことも、今となっては笑い話になっている。
おおかたの無鉄砲や無知というものは、無事に終わるものであるが、時として思わぬことになることがある。それが事故ということである。
今年は富士山には多くの人たちが訪れるであろうが、事故のない素敵な富士山にしたいものである。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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