6月24日から7月7日まで、インドのブッダガヤに行って来ました。
5年前から、毎年7月と11月〜3月まで、現地にある日本のお寺の管理と、自分自身の修行の為に訪れています。
インドと言えば、経済発展が著しく今注目を浴びている国ですが、私が訪ねる「ブッダガヤ」は、田舎の小さな町で、牛、鶏、山羊などが普通に道を歩いていて、裸、裸足の子供が走り回っているような町です。
ところで「ブッダガヤ」という地名ご存じですか?ブッダとはお釈迦さまのことで、ガヤの町外れでお釈迦さまが悟りを開いた所をいいます。
インドの仏教遺跡で大切にされている四大仏跡があります。
お釈迦さまが生まれた場所 ・・・ ルンビニ
悟りを開いた場所 ・・・・・・・・・・・ ブッダガヤ
初めて説法をした場所 ・・・・・・・ サールナート
亡くなった場所 ・・・・・・・・・・・・・ クシナガラ
この中で、最も大切にされ各国の仏教徒がこぞって訪れる場所が「ブッダガヤ」です。すぐ隣には「スジャータ」という村があり、その村娘が、「お釈迦様におかゆを差し上げて修行の疲れを取り除いた」と言われています。余談ですが、その村の名前が日本のクリープ「スジャータ」の語源になっていると言われています。
「ブッダガヤ」は半日もあれば歩いて回ることができる小さい町ですが、至る所に各国の仏教寺院が建ち並んでいます。もちろん日本の寺院もあります。そして、その町の中心にあるのが、「マハボディーテンプル」と言われるお寺です。お釈迦様は、菩提樹の下で悟りを開かれたという話をお聞きの方もあると思いますが、この「マハボディーテンプル」の広い敷地の中心に菩提樹があり、その隣には三蔵法師の時代より前に作られたお寺が残っています。
周りには公園のように芝生や木が植えられ、至る所に大小の古い仏像が無造作に置かれています。
インドは暑いイメージですが、11月〜3月までは、涼しくすごしやすい季節で、その時期には何万人という人が訪れ、人・人で埋め尽くされます。仏教国である、タイ、チベット、スリランカ、中国。最近では、チベット仏教が世界で流行始め、西洋人や欧米人で修行をする人達の姿も増えてきました。
逆に今の時期は大変暑い時期なので、お参りの人で混雑することもなく、静かに過ごすことができます。
お寺の敷地内は、誰でも自由に過ごすことができ、ある人は菩提樹の木の下で瞑想を行い、ある人はお勤めや礼拝の修行を行い、ある人は僧侶と参拝に訪れ、菩提樹の下でお参りや仏教の話を聞き、ある人は本を読み勉強をして過ごしていて、ゆっくりとした、落ち着いた時間が流れています。
「ブッダガヤ」は仏教の聖地というと、現地の人達も仏教徒のように思ってしまいますが、実は現地の人で純粋な仏教徒はほぼいないと言われています。インド全体でも、1%弱しか仏教徒は居ません。約80%の人がヒンドゥー教です。
ですが、「マハボディーテンプル」にインドの人はちゃんとお参りにきます。というのは、ヒンドゥー教の「シヴァ」という神様の9番目の生まれ変わりがお釈迦様とされているからです。「ブッダガヤ」は、仏教徒からだけでなく、ヒンドゥー教徒からも大切にされている場所です。
訪れる人の年齢も様々で、また国籍もバラバラ、お参りのスタイルも様々ですが、そのような人達が、一つの方向に向かい祈りをするこの場所は、平和の象徴ではないかと感じます。
お釈迦様が悟りを開かれた、大きく枝を伸ばした菩提樹の木の下に座ると、何ともいえない落ち着きや、安心感に包まれます。また、今の季節、昼間だと木が強い日差しを遮ってくれ、そこを通る風が大変心地よく、自然を感じる場所でもあります。
言葉ではうまく伝えにくいので、是非「ブッダガヤ」を訪れて、聖地の空気を自分自身の肌で感じてみてください。
安養寺 清 水 良 将
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