願成寺ホームページは、 こちら(http://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、10月1日です。





宮大工さん(1)


宮大工さん(2)


宮大工さん(3)

 今年の夏は、大変暑かったですね。その暑い中でも、5月号で触れた神戸の「安養寺」の再建工事は続いています。造ってくれているのは、皆さんもご存じの「宮大工」さんです。

 毎日、奈良から神戸まで片道1時間程かけて車で通っていて、暑い直射日光が降り注ぐなか、朝7時過ぎには到着して、夜は6時か7時頃まで作業してくれています。
 4月から工事が始まり、その頃は寒く長袖で作業していたのが、半袖になり、夏になって日差しが強くなると、日に日に肌の色が黒くなっていき、心なしか頬がこけた印象もうけます。その姿を見ると、一生懸命造ってくれていることが伝わってきます。

 大まかな部分は機械でカットして、そこからは「宮大工」さんの腕の見せ所。ノミを巧みに使い、細かい形を整えていきます。そして、木と木を組み合わせる部分は、ほんのちょっと大きい寸法で造っているので、みんなで力を合わせ木を押したり、ハンマーで叩きながらはめ込んでいきます。一つとして同じ形、同じ寸法のお寺はないので、宮大工さんの経験や技量、チームワークが問われる作業だと感じます。

 今回作業している「宮大工」さんは、日によって違いますが、だいたい5人です。その方たちの年齢を聞くと驚きます。頭領は、なんと33歳。その他、27歳、28歳という私と年齢が変わらない人も作業しています。年齢だけを見ると若いですが、皆さん中学校や高校の年齢の時から弟子入りして修行を積んだ人なので、経歴は16年や17年と長い方ばかりです。

 滅多に「宮大工」さんと話をする機会がないので、ここぞとばかりにいろいろ質問を投げかけてみました。
  「「宮大工」さんと「大工」さんの違いは?」
  「「宮大工」と「大工」の正式な区別はない。ただ、「大工」のなかで、
  お寺や神社などの建設補修に携わる特別な人を「宮大工」と言うだ
  けで、厳密に資格があるわけでもない。」

  「若いので、気が引けることがありませんか?」
  「俺がやらないと誰がやる?という気持ちで毎日仕事をしている。」

  「技術を継ぐ人がいないと聞きますが、本当ですか?」
  「そんなことはない。修行をしたいという若い人は結構いるけれど、
  ただ、何となくやりたい人はすぐやめていく。これしかない!と決心
  してくる人は長続きして、覚えるのも早い。結局は、やる気次第。」

  「大工を続けている中で辛かったことはないですか?」
  「好きなことをやっているから、辛いはずがない。毎回、修復するお
  寺などの形が違ったりするので、どうやって直そうか。どこにどのよ
  うな組み方がいいのか?と考えるのがすごく楽しい。」

  「最後に、「安養寺」をどのような思いでお寺を作っていますか?」
  「一から木造で本堂を造ることが少ないなか、このような場を貰えた
  ことはうれしい。1000年とは言わないが500年ぐらいはちゃんと残っ
  ていってほしい。そして、あわよくば、文化財になってくれたらうれし
  い。」

 すべてに笑顔で答えてくれました。
 今回「宮大工」という職人の仕事を5ヶ月ほど毎日見ていますが、技術に驚いたのはもちろん、それ以上に印象に残っていることは、作業中はもちろん、仕事に来てから帰るまでの姿です。
 あいさつはもちろんのこと、会話をするときの言葉遣い、忙しくても、丁寧に説明をしてくれる姿。また、作業中は手袋を絶対に外さず、木に手垢をつけない徹底ぶり。帰る時は、全てをほうきで掃き、綺麗にゴミがない状態で帰ります。
 当たり前のようですが、目立つ部分だけでなく、見えない部分・人と接する姿、周りに気を配る姿など、言葉では伝えにくいですが、作業風景をみて、これが本当の職人であり、プロなんだという印象を受けました。
 これから「僧侶」として進んでいく自分自身の姿を考えさせられる、貴重な姿を、毎日見せてもらっています。

 安養寺  清 水 良 将








 法然上人25霊場第3番十輪寺さんにお参りをさせていただきました。高砂の寺町に凜としているお寺さんでした。
 法然上人が訪れた時代のお姿を想像してみましたが、思いうかびません。まことに不謹慎かも知れませんが、光源氏が須磨明石と流されたときと重ねて考えてしまいました。源氏物語の時代と法然上人の時代とは200年ほどの隔たりがあり、かたやお念仏の教えが受け入れられず都を去る法然上人、かたや女性問題から都に居られなくなって流浪する光源氏とでは、とても同様に考えるわけには参りません。しかし、濱の様子というものは、そう変わらないようにも思えたからです。瀬戸内を行く舟は、海岸づたいに小さな港に寄りながらの旅でした。難波から出発した舟は、明石海峡を過ぎますと、もう難波は見えなくなってしまうのです。畿内を離れてしまった時の、都への思いはいかばかりであったでしょうか。

 ところが濱には、都人を迎え入れる濱の人達が、尊い上人さまがお越しになられると待ちわびる人達があったのです。
 法然上人を待ちわびていたのは地元の漁師たちでした。そして堰を切ったように、法然上人にお尋ねになりました。
  「私たち夫婦は漁師をしており、魚を獲って生計を立てております。
  毎日殺生をしております私どもは、地獄に落ちてしまうのでしょう
  か。」
法然上人は、
  「それならば、貴方たちの獲った魚を食べている人も同罪です。生
  業は変えることができますか。それよりもお念仏を申して極楽往生
  を願うのです。」
と、諭されたといいます。それからは漁師夫妻は心穏やかな生涯を全うされ、それまでのお寺に阿弥陀さま、そして法然上人をお祀りして今日に至っているとのことです。

 お話のあとのご住職さんのひと言がとても印象に残りました。「港町で栄えた高砂は、山陽本線ができるとき、鉄道などが通ると港町が寂れると駅を追いやってしまったのです。その結果は言うまでもありません。最近になって工場ができるようになって、少し元気が出てきたようです。」
 明治20年代になって積極的に鉄道がひかれるようになりましたが、歓迎されるところと、反対されるところがありました。港町や宿場町は、町が寂れると反対したようです。また田んぼや畑を潰して鉄道を通すことにも抵抗があったようです。
 そういえば三島もまた宿場町が寂れると東海道線の駅を追いやったことは、同じことでありました。最初の計画では、現在の下土狩駅はもっと市街地まで来る予定だったと聞きます。寂れていく町に危機を感じた三島の人は、陸軍の連隊を誘致していきます。そしてさらには新幹線三島駅の誘致となったことは周知のことでしょう。

 人間の世界には栄枯盛衰は仕方がないことなのかも知れませんが、法然上人の教えには全く変わることがありません。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


十輪寺


ご本尊さま









第329回 辻説法の会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
10月11日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
本法寺 清水 俊匡 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
11月22日(金) 同時刻  興禅寺 松本 好寛 師

 

宗祇法師の会 (10月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
10月21日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
  したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

  「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
  「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
  「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
  「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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