本年の総本山知恩院の御忌(浄土宗の寺院で毎年行う法然上人の年忌の法会)に、お檀家さんとともに詣でた。染井吉野の桜は終わったが、新緑に八重桜とハナミズキが花をそえて清々しい京都知恩院であった。境内を散策の後、法会に臨んだ。大殿にあたる国宝御影堂は平成の大修理がおこなわれており、法会は法然上人御堂(集会堂)にて営まれた。
御影堂でのお参りができないのは残念であるが、その代わりというわけではないが、御影堂の修理現場を見学できたことは千載一遇のチャンスでもあった。昨年のお檀家さんとの旅で、やはり修理中の姫路城を見学いたしたことがあるが、まったく違った視点で国宝を見させていただくのは楽しく有意義であった。まず間近に見る瓦一枚の大きさに驚く。普通の瓦の2〜3倍はあろうか、本瓦葺きの重厚感は圧巻であった。
本山参りは、法然上人の御心(みこころ)に直接触れる格好の機会であり、僅かであるが自らの心も引き締まったものになるように思う。法然上人は、いかなる機会やいかなる場所のお念仏も同じであるというが、やはり凡人には本山や遺跡で合掌する心は格別なものがある。
そうした心を大切にするのであるが、残念なことに時間が経ち月日が経つと薄らえていくのが現実である。すこし寂しいようにも思えるが、それが人間であり私自身であろう。
だからこそ、毎年本山参りをすることによって、少しでも清浄なる心を培っていきたい。
【御忌】
法然上人がお亡くなりになられた日を期して行われる忌日法要。知恩院で一番大きなかつ重要な法要です。
・法然上人がお亡くなりになられた後、その忌日に上人の門弟たちが修した「知恩講」に由来します。
もともと「御忌」という言葉は天皇や皇后の忌日法要を指していましたが、大永4年(1524年)当時の天皇である後柏原天皇より「知恩院にて法然上人の御忌を勤めよ」という「大永の御忌鳳詔」が出されました。これより法然上人の忌日法要を「御忌」と呼ぶようになりました。
・当初は1月に勤められていましたが、明治10年から4月に勤められるようになり、4月18日午後から25日午前中までの8日間、日中・逮夜の各法要が勤められます。
(知恩院ホームページより)
【本瓦葺き】 ほんかわらぶき
平瓦と丸瓦とを交互に組み合わせて並べる屋根の葺き方。また、その屋根。本葺き。
(JapanKnowledge)
【清浄】しょう‐じょう
(1)清らかでけがれのないこと。また、そのさま。せいじょう。
(2)仏語。煩悩や悪行がなく、心身の清らかなこと。また、そのさま。
(JapanKnowledge)
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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