「初夢」とは、文字どおりお正月に見る初めての夢であるが、その起源は文献によると節分から立春に見る夢をいう。そこで4日の立春を前にして、「初夢」のメルマガとなる。
宝くじが当たってお金持ちになる夢も捨てがたいが、日頃『源氏物語』を嗜んでいると、紫式部直筆の『源氏物語』が発見されたという夢を見る。専門家にいわせると、「夢ではなく、妄想だ」といわれてしまいそうであるが。
『源氏物語』が書かれて一千年余りを経ており、写し継がれるうちに本文の移動が発生してしまった。原本がないゆえに本文の研究に膨大な年月と人物が費やされてきたのである。本文の研究は、あくまでも『源氏物語』を知る「手段」であるのだが、時として「目的」になってしまうことすらある。
直筆本の発見は、天地をひっくり返すといわないまでも、今世紀最大の発見と新聞各社は第一面で報じ、国宝指定は必定である。
夢であるから、その発見された『源氏物語』を私が入手する算段と相成った。三島に「源氏物語博物館」を建設し、原本の公開と出版関連事業をおこなうのである。その経済効果は計り知れないものがあるだろう。
まず問題となるのが金額であるが、想像も付かない。世界的企業や日本の国との価格競争に勝たねばならない。仮に100億円としよう(もっと高いかも知れないが)。そんなお金があるわけもなく、私にとっては資金の調達が問題となる。
お酒の席であるが、金融機関の最高責任者に話をしたが、笑うだけで返事はなかった。
私のシミュレーションのなかで一番問題なのは、だれがどのような方法で、紫式部の直筆と認定するかである。発見の経緯にもよるが、紫式部の直筆が存在しない現代で。
夢はさておき、『源氏物語』が書かれてから500年ほどの書写であるが、お寺で写本の『源氏物語』を読んでいる。ご参加をお待ちしております(「お知らせ」の覧参考)。
【初夢】はつ‐ゆめ
年の初めに見る夢。
(イ)節分の夜から立春の明けがたに見る夢。
*山家集「たつ春の朝よみける 年くれぬ春来べしとは思ひ寝にまさし
く見えてかなふ初夢」
*俳諧・増山の井「初夢 立春の朝の夢也」
随筆・嬉遊笑覧「いつにても節分の夜のを初夢とするなり。今江戸にて元日をおきて二日の夜とするものは其故をしらず」
(ロ)大晦日の夜から元日の朝にかけて見る夢。または正月元日の夜の夢。また、二日の夜の夢。宝船の絵を枕の下に敷いて寝ると吉夢を見るといわれる。《季・新年》
*俳諧・曠野〔1689〕二・歳旦「初夢や浜名の橋の今のさま〈越人〉」
(日本国語大辞典)
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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