2月に入り、急激に暖かくなったブッダガヤ。昼間は、25度前後になり日差しが強く半袖で歩いています。ただ、昼間暑い分、太陽が沈んでしまうと肌寒く感じます。
私がいる場所は、ブッダガヤというお釈迦様が悟りを開いた場所ですが、この他にもインドにはお釈迦様ゆかりの土地がたくさん残っています。その中のお釈迦様が生前よく滞在されたラージギルと、そのすぐ隣の街ナーランダという場所に、先日行ってきました。
ブッダガヤからは、車で約2時間。辺りが暗い朝6時頃に出発して、8時過ぎにはラージギルに到着しました。ラージギルは、四方を山に囲まれた盆地に位置している町で、開発もあまり進んでおらず、町の中心部から少し離れると道路の両側は林に囲まれている状態です。
お釈迦様が生きていらっしゃった時代は、マガダ国の首都、王舎城がこの場所にあり、四方に位置する山の一部を城壁代わりに使っていたと言われ、現在もその時代の城壁跡が残っています。
ラージギルの中にも、仏教ゆかりの地が幾つもありますが、今回は、初めて「霊鷲山」へ行ってきました。山の麓に車を止めて、そこから頂上までは歩いて30分程の距離で、前半は緩やかな坂道が続き、後半は階段になります。その昔、お釈迦様の説法を聞くためにマガダ国の王様が作ったと言われる道で、王様がどのような気持ちでこの場所を歩いたのか、想像しながら登るのもこの場所の味わい方です。
途中にはお釈迦様の弟子が瞑想をしたという洞窟があり、各国の僧侶が祈りを捧げていました。
山頂に到着すると、正面にはお釈迦様が説法された場所にレンガの囲いが残っており、その場所から下を眺めると、インドとは思えない静けさの中に鳥の声が響き渡り、一面雑木林が広がり、何百年も変わってはいないのではないかと思う風景が広がっています。この風景を眺めながらお釈迦様が説法をしていた場所に、2500年後にしかも日本から来ることができたと思うと感謝の気持ちでいっぱいです。
その後は、ラージギルから車で20分程のナーランダへ。ナーランダには、名前の通り「ナーランダ大学跡」があります。5世紀から12世紀に栄えた大学で、世界でもっとも古い大学のひとつと言われています。日本で大変有名な「西遊記」のモデルとなっている「玄奘三蔵」も631年にこの場所を訪れ、5年間学問に励まれました。
1916年からこの場所の発掘が始まりましたが、あまりにも広大で現在も発掘作業が行われています。赤茶色のレンガの建物が立ち並び、僧坊・台所・講義を受ける場所・仏像が祀られ祈りを捧げる場所などが今でも残っています。
実際に歩きながら端から端まで見て回ると疲れるぐらい広い敷地です。訪れた時は日差しが強く暑かったのですが、建物や僧坊の中はひんやりしており、暑い季節が長いインドで快適に過ごせる作りだったことが体感できます。ところどころに頭だけ壊された仏像が残っており、12世紀以降仏教に対する弾圧があり破壊行為が行われた一旦を見ると寂しい気持ちになりましたが、それ以上にこれだけの広さの中で多くの僧侶が勉学に励んでいたと思うと、率直にその時代を見てみたい気持ちになりました。
このように時代背景を考えながら、2500年前から残っている仏跡を参拝すると、お釈迦様やその教えの影響力に触れることができ、お釈迦様を身近に感じることができます。皆さんもどうですか?
安養寺 清 水 良 将
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