謹んで新年のお慶びを申しあげます。
穏やかなそして暖かい新年を迎えました。その暖かさにつられ、何年かぶりに三嶋大社にお参りに行ってきますと、大勢の参拝客が正面鳥居から並んでおりました。静岡新聞によりますと、三ヶ日の参拝客は、60万人に及ぶそうです。三島市の人口が11万人ですから、近郊近在からの参拝者も多いわけでしょう。
鳥居から本殿までの半分ぐらいきた時です。時々列に割り込んで来る人がいますが、だれも割り込みを咎める人がいません。
本来、私は行列に並ぶのが好きではありません。子どもが小さいころ、ディズニーランドでいろいろな乗り物に乗るのに一時間近くならび、やっとのことで乗車、その挙げ句は車酔いで気分が悪くなるのです。子どものためでなければ並ぶことはないでしょう。
行列のできるラーメン店や食堂などもよくテレビで紹介されますが、一度も並んだことがありません。
東京駅「駅ナカ」では毎日行列ができています。おおかたは有名菓子店?にできる行列で、すべて店員が「列最後尾」と書いたカードを掲げています。そして通路ほどよく塞ぐように並ばせているのですが、一般通行人はじつに迷惑な行列です。苦情を言うよりも、わずかに迂回して通り過ぎるのが利口な方法となります。ここで、苦情が出ない程度の行列であることが大切で、駅としても場所代を取っているので苦情がなければ、黙認しているのであろう。
店側は対応する店員の数を調節するなどして、ほどよい行列を作るのである。ときには「サクラ」を雇って並ばせているともいう。
東京に出かけ、仲間や家族に手ごろなお土産として購入して、「並んで買ってきたんだよ」とばかり渡されるのではなかろうか。並ぶことは、同時にその商品の宣伝に利用されていることでもあり、「行列商法」の一端を担っているのである。
数ヶ月が過ぎると、行列が短くなってきて、今では並ばなくても購入できる商品となっているのを見る。なかには撤退する店もあるが、それも計算の内といわれてしまうかも知れない。
そんなことを考えていると、本殿近くまできた。およそ30分ぐらいであったろうか。みんなの幸せ、願成寺の弥栄、メルマガを読んで下さる方のご多幸、そして家族の健康を祈った。
列に割り込んだ人も、私の前で祈っているが、子どものころ悪いことをしてごまかすと、「お天道さまと神さまと仏さまはごまかせない」といった祖母の教えを思い出した。
【駅ナカ】
JRや私鉄の駅構内に立地する店舗。これまでも駅構内には売店や軽食店が設置されていたが、書店、CDショップ、ドラッグストア、総菜店、高級スーパーや本格的な料理店など多様な業種・業態がオープンし注目されている。理髪店や英会話スクール、銀行のATM、写真のDPE、インターネットカフェなどサービス業の出店も活発化しており、より快適で便利な駅に生まれ変わろうとしている。移動の途中の「ついで」消費という利便性が乗降客に評価されているが、東京のJR新宿駅構内や大阪の阪急梅田駅に出店している高級スーパーが午後11時まで営業し、独身者や共働き世帯にとって日常的な買い物の場となっているように、これまでにない新しい需要も創造しつつある。鉄道用地は公共性が高いことから、これまで固定資産税の軽減措置がとられてきたが、駅ナカ事業の拡大に伴って課税強化の動きも出てきている。(知恵蔵2015の解説)
【行列商法】(ぎょうれつしょうほう)、【並ばせ商法】
行列商法とは、人間の心理効果を利用し、意図的に店頭に行列を作ることにより、その店の商品、サービスに人気があると錯覚させ購買意欲を煽り、購入させようとする方法である。(ウィキペディア)
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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