願成寺メルマガを読んで下さっている方は、すでにお気づきであろうが、住職は台所に立つのが好きである。いままで登場してきた食べ物は、私の作ったものである。
決して健康志向というわけではなく、むしろ健康や材料費(限度があるが)、手間暇は一切考えないのが男料理である。気の趣くまま、楽しむことを最優先してのことである。
初老を迎えたが、幸いにも病気のための食事制限はない。友人のお医者さんが、「やはり日ごろの食生活は、気をつけたほうがいい」という。日常生活では、食事の量、糖分、塩分、脂肪等に注意すること」を促され、基本的には守っているつもりである。ただハレの日や外食は、「あまり健康を気にせずに、食事を楽しめば良い」と教わった。
よって私の男料理は、ハレの日の品となるのである。
今回お話をさせていただくのは「干し椎茸のうま煮」である。いわゆる和食の煮物に必ずはいっている甘辛く煮たシイタケのことである。仏さまのお膳の平盛(ひらもり)、野菜の煮ものには欠かせない一品である。
【1日目】干しシイタケは、水につけ冷蔵庫に入れる。
【2日目】石づきを取って、水を替える。
もどし汁はシイタケ臭さと日向臭さがあるので
棄てる。勿体ないと思うかも知れないが、この
もどし汁を使うからシイタケの嫌いな人が生ずる
のである。
【3日目】水を替える。もどし汁は棄て冷蔵庫でお休み。
【4日目】何もしない。冷蔵庫でお休み。
【5日目】もどし汁のまま煮る。弱火で半日(2〜4時間)。
あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
【6日目】弱火で半日。あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
【7日目】出汁昆布、酒、味醂、砂糖を加え煮る。
弱火で半日。あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
【8日目】出汁昆布を取り除き、しょう油を加え煮る。
弱火で半日。あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
【9日目】しょう油を加え煮る。
弱火で半日。あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
【10日目】しょう油を加え煮る。
弱火で半日。あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
【11日目】味をみて、しょう油と砂糖のバランスを取る。
弱火で半日。あら熱が取れたら冷蔵庫へ。
※忙しくて作業できない日は、無理をせず冷蔵庫で休ませればよい。
味は、早く消費するときは薄く、長期保存したいときは濃いめ。いわゆる出汁は痛みやすいので使わない。3〜4日に一度火入れをしつづけると何日も保つ。
そして独立した一品料理として召しあがっていただきたい。
来年の修正会(願成寺新年会1月4日11時)には、お出ししようと思っている。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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