大寒を過ぎてもまだまだ寒い日が続いており、インフルエンザも猛威をふるい警戒宣言が発令されていますが、皆さまにおかれましては、お元気でしょうか?
数年前になりますが、お寺の菜園に河津桜を10本ほど植えましたが、昨年あたりから一人前に花をつけてくれるようになりました。つぼみは大きく膨らみ、今年もあと数日で開花宣言できそうな勢いです。通る人々は、開花を今か今かと待っているようです。
春はそこまでと言っても、寒い日には暖かい粕汁は格別なものです。早速、菜園で収穫した大根を炊いてみました(写真1)。粕を出汁で溶き、白味噌仕立てで、本人的には料亭風のつもりです。妻も喜んで食べてくれました。
使用した酒粕は写真(2)の通りなのですが、酒粕にもいろいろあり、大吟醸の酒粕とか、どうも良いお酒のが美味しいように思います。我が家では板粕を焼き、わさび醤油で食します。日本酒とは親子関係なのですから、合わないはずがありません。
いつものごとく、妻のおともしてマーケットへ、酒粕のあるところに行くと、なんと美白で一点の曇りもなく、貴婦人のごとく美しく気品のある酒粕があるではないか!
どこの酒造会社のものであるかと、少し興奮気味に裏返して表示を見ると、そこには「◯◯食品会社」とあり、酒造会社の名はないのです。戸惑いながら説明を読むと、再成形されたものであった。成形されたお肉がある時代なのだから、なんら不思議ではないのですが、酒粕もかとの思いは捨てられません。購入して食する。
粕汁ではその特長が判らないので、素焼きにして山葵醤油で食べようと思ったが、厚さが15oもあるのです。板粕焼きは表面の焼き加減と粕の量とのバランスが大切で、経験則からいいますと5oの厚さがもっとも美味しい。仕方なしに、ラップで挟んでたたき、5oに整形することにしました。決してまずいわけではないが、やはり酒粕は、「◯◯酒造の酒粕だ」といいながら食するのが良いようです。どうしてだろうか?
物事には、多少の思い入れもまた、私たちを楽しませてくれるのであろう。時としてブランド名も、味の内と思った次第である。
【成形・成型】せい‐けい
統一のあるものにかたちづくること。一つの形につくりあげること。また、そのでき上がった形。形成。
【整形】せい‐けい
(─する)形を整えること。形を整えて、正常にすること。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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