やっとの春休み。けれど今しているのは、夏の結婚式ラッシュに合わせてのプランニング。絶対に参加するのは日本で行われる姉のと、ベルギーで行われる友人で、飛行機や列車の手配などいろいろしている。 結婚式って国によっていろいろ違うため、準備の仕方も、参加者としてのマナーをリサーチしたりと、毎回少し悩む。何を着たらいいのか?なにか持っていったらいいのか?
アメリカでよく行われるスタイルだと、新郎新婦が何人か、同じ人数の「近しい人たち」を選び、新婦側の選ばれた子達はまとめ役、そして一番近しい人としてBride's Maid(ブライズ・メイド)を筆頭として、残りがMaids of Honor(メイズ・オブ・オナー)として呼ばれる(呼ばれ方は既婚者かどうかによっても変わってくる)。新郎側はBest Man(ベスト・マン)率いるGroom's Men(グルームズ・メン)に囲まれる。みんな新婦が選んだ色のドレスやネクタイを身に付ける。 式の手伝い(ブライダルシャワーのセッティング、ドレス選びの手伝い)から式の進行を手伝う(指輪を交換の際まで持っていたり、ドレスの裾を持ってたり)。実際の式の前にBachelor&Bachelorette(バシェラー♂&バシェロレット♀)パーティーを開いて、男性と女性別々に結婚前にしたいことをし尽くす、というちょっと無礼講なイベントをオーガナイズしたり、結婚式に使う予算の平均が国としてずば抜けて高い。
バブル時代の日本であった、スモークの中ゴンドラで降りてくるなどの面白い演出よりも、最後に新郎新婦が乗り込む車をハマーにしたり、どこまでも続くようなリムジンにしたりと様々だ。御祝言などはないのだが、ウェディング・シャワーと称して、新郎新婦が新しい生活で欲しいものを「ほしい物リスト」のような物にあげ、参加者がその中から選んで購入し、事前に新居に送っておく。
スロバキアで出た結婚式も面白かった。タトラ山脈の方の伝統では、メイドオブオナー的な女性が、新郎新婦が誓いを立てたすぐ後、お盆にパンのような物を2つ持っていく。1つは甘めの味で、1つはすごく塩辛い。どっちがどっちかわからないまま新郎新婦が選び、食べる。人生甘い時も塩辛い時もあるさ、という意味らしい。パンを流し込むためにショットグラスに透明の液体が入った物が次のお盆で出てくる。片方が水で片方がウォッカだ。それも、どっちがどっちだかわからない。ウォッカを飲んだ方が「少し苦い想いをする」方になるらしい。さらにそのあと、パンと飲み物を持って来たお皿とグラスをそのまま地面に落とし割る。その破片を新郎新婦が一緒に片付ける。周りのお客はそれを蹴り散らしたり、と邪魔をする。夫婦最初の共同作業だ。普段は少し怖いイメージのある顔の東欧の結婚式は、ユーモアでいっぱいだった。
さらにインドでは、新郎が街中をバンドが踊りながら行進して、最後に式場で待つ新婦のところにたどり着く。そこで新婦側はお花のネックレスをかけてあげるところで、式が始まる。ヒンズー教の結婚式だと、誓いを立てながら炎の中に粉を投げ入れたりしながら、神様へと誓いを立てる。式の大きさにもよるが、3日3晩続くものもある。
イスラム側のお祝いだと、式場をオープンにして誰でも来て食べれる様にする場所もあるみたいだ。ウズベキスタンなどでは、親友もホームレスもだれでもウェルカムで、一緒に祝おう、ということらしい。
また、日本の神道のお祝いのように、言葉はあまり使わず、音と静けさの中、神さまが降り、また去っていくなか、誓いを立てるあの空間はわたしはとても好きだ。
姉は披露宴をやりたがらなかった。「神様の前で、静かに誓いたい。」と言っていた。パーティーを盛大に開いて「近しい友人」をメインに様々なイベントを行なったり、街中を練り歩いたり、式のあり方は本当に様々だ。
だけれど根本はきっと「大切な人たちにも囲まれて、神様に見守ってもらいながら、新しい物を共に築いていく誓いを立てる」ということだと思う。
日本の仏教の結婚式にはまだ出たことはないけれど、根本はやっぱり、見守ってもらいながら捧げる、というところは変わらないのだと思う。さまざまな愛の誓い方があって、さまざまな家族のかたちも、祝い方も、相手同士が望んで決めて立てる誓いは、全部全部素晴らしいし、いろんな形で表す愛も、神様も、誓い合う相手も、みんなそれぞれ心から祝福できるモノを見つけられるようにこの世の中はきっとできてるんだろうな、とわたしは思う。
それを垣間見れる結婚式も、ことしの夏もまた楽しみだ。
きょうこ
|