突然ですが、「ウユニ塩湖」という場所をご存知でしょうか。ビートたけしさんがスーツ姿でタップダンスをするポカリスエットのCMや、ユニクロのシルキードライ、サラファインという商品のCMで使用されたり、様々な風景を集めた写真集が出版されたりと、ここ数年かなり知名度が高まってきている場所です。そんなウユニ塩湖。ご存知の方も、今日がはじめましての方も、まずは左の写真をじっくりとご覧ください。
いかがですか。みなさまそれぞれに、いろいろな思いが浮かんでくるでしょう。私は初めてウユニ塩湖の写真を見たときに、「え?これどうなってるん?」と一瞬頭が混乱しました。お気付きかと思いますが、地面と空が完全に一致していて、上下がわからない状態だからです。
さて、どうしてこのような神秘的な風景が生み出されたのでしょうか。ウユニ塩湖は南米大陸のボリビア(マチュピチュで有名なペルーのお隣の国)という国にあり、標高約3700m、東西約250km、南北約100km、面積約11,000平方kmで琵琶湖の約16倍、岐阜県の面積とほぼ同じです。とにかく果てしなく大きく、湖の対岸は見えません。また、その名の通り「塩の湖」なのですが、塩湖とは一般的な呼称で、学術的には「ウユニ塩原」と呼ばれます。写真のような湖の状態になるのは主に雨期の時期(1月〜3月ごろ)で、それ以外の時期は雪原のような白銀の眩しい、塩の大地が延々と広がっているからです。
ではこの塩はどこからきたのでしょうかウユニ塩湖の周辺に標高6000m級のアンデス山脈が連なっています。かつてここは海底から隆起した際に、大量の海水が山上に残り乾燥した気候であったこと、また流出する川がなかったことから、世界的にも類を見ないこの広大な塩湖が形成されたのです。
また、塩湖全体の高低差がわずか50cm以内という「世界で最も平らな場所」であり、降った雨が流れることなく大地に薄く膜を張ることで、空を湖面に映し出す「天空の鏡」と呼ばれる神秘的な絶景が現れます。
人に旅の話をすると、「どこが一番良かった?」とよく聞かれるのですが、真っ先にウユニ塩湖の話をします。景色を見て、涙が溢れる、心が震える、そんな経験は、人生で一度あるかないかと思うからです。
そしてさらに感動を大きくしてくれたのは仲間です。5枚目の写真を見てください。私にはウユニ塩湖での感動を共有した6人の仲間がいました。南米の国を共に旅した仲間や、このボリビアで出会った仲間達です。自分の感動を仲間達に伝える、仲間達もそれぞれの感動を伝えてくれる。それぞれの感動を共有することで、より大きな大きな感動が生まれたのです。
もしあなたはが1人で日本から飛行機とバスを乗り継ぎ、何十時間もかけ、地球の裏側の国ボリビアにあるウユニ塩湖を訪れ、涙を流すほど感動したとします。その瞬間は大変幸せです。そしてこの感動を誰かに伝えたい、共に分かち合いたいと。
感動や幸せは、人と共有することでよりその深みが増し、素晴らしい思い出として記憶に刻み込まれるのだと思います。
日本から遥か遠く離れた地球の裏側ウユニの地で、仲間達と共有したあの感動を私は生涯忘れることはありません。
そんな感動をこの場所で、さらに多くの方が大切な方と共にされることを願って。
三寳寺 田 畑 智 英
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