この4月でNHKの「きょうの料理」いう雑誌が発売されて、60年になるという。付録に「テキスト創刊60年記念 きょうの料理 懐かしの表紙&レシピカレンダー」ついていた。4月に発行されたのであるから、当然カレンダーも4月から始まり、翌年3月までである。
開くと創刊号1967(昭和42年)4〜5月号の写真とカレンダーで始まる。その記事には5日に「清明」とあり、20日に「穀雨」とあるから、二十四節気の記載がある。21日にテキストの発行とある。29日に「昭和の日」、30日に振替休日とある。
4月8日に、お釈迦さまの誕生を祝う「灌仏会かんぶつえ」の記載がないなどというつもりはない。もはや灌仏会(花まつり)は、カレンダーではなく、暦を見ないと出てこない行事となってしまった。どれだけのお寺が灌仏会をおこなっているであろうか。
祝日と二十四節気以外の記載を拾っていく。
5月13日に「母の日」
6月17日に「父の日」
7月7日に「七夕」
7月20日に「土用の丑」
8月1日に「土用の丑(二の丑)」
9月1日に「防災の日」
9月9日に「重陽」
9月24日に「十五夜」
10月21日に「十三夜」
10月31日に「ハロウィン」
11月15日に「七五三」
12月25日に「クリスマス」
1月7日に「七草」
2月14日に「バレンタインデー」
3月14日に「ホワイトデー」
そこで、他のいくつかのカレンダーを見ると、ほぼ同じである。「ハロウィン」「バレンタインデー」「ホワイトデー」の掲載にいささか戸惑いを感じるが、市民権を得ているということであろう。
「クリスマス」があっても、「イースター」がないところから、宗教的な意図は感じられない。どうも掲載基準は、「いわゆる商業ベースにのっているかどうか」のように思えてくる。
お寺であるから、年末にいくつかのカレンダーを頂戴する。全部使ったらカレンダーだらけになってしまうので、いくつか選ばせていただく。お寺にとって行事や葬儀を考えるうえで重要なのは「六曜」の「友引」であることはいうまでもない。六曜の記されていないものは省かれる。
「友引」は俗信であるからといっても、葬儀をおこなうことはほとんど不可能である。葬祭関係の業界の定休日となっているからである。
浄土宗、正確には公益法人浄土宗ともいき財団から「浄土宝暦」という暦が発行されている。暦には六曜をはじめ俗信が多く掲載されていることから、発行について賛否がある。
この「浄土宝暦」の「暦の見方」に次の1文がある。
「浄土宝暦」には、大安友引など「六曜」等の習俗的伝承
を掲載していますが、これらは古くから日本人の生活に浸透
しているものであり、それらを目安としている方への便宜を
図ってのことです。私達の念仏信仰と直接の関わりはなく、
それらを毎日の指針とするように勧める意図ではないことを
ご理解下さい。
拙寺では毎年お檀家さんに配布しているが、いたって喜んでいるようである。
【二十四節気】にじゅうし‐せっき
陰暦で、太陽の黄道上の位置によって定めた季節区分。初期の陰暦では一年を二十四等分した平気(へいき)であったが、後に黄道を二十四等分した定気(ていき)を採用した。立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒。二十四気節。二十四気。二十四節。二十四時。
【灌仏会】かんぶつえ
(釈迦誕生の時、梵天、帝釈がくだって、仏の体に甘露をそそいで洗ったという故事に基づくという)
釈迦の誕生当日の陰暦四月八日(現在では多く陽暦)に修する法会。花御堂をつくって誕生仏を安置し、甘茶(正しくは五種の香水)をそそぎかけて供養する行事。降誕会。仏生会。誕生会。灌仏。花祭。浴仏会。龍華会。かんぶつ。
【復活祭】ふっかつ‐さい
キリスト教で、キリストの復活を記念する祝祭日。春分後の最初の満月のあとの日曜日がその日に当たる。復活日。イースター。
【六曜】ろく‐よう
先勝(せんしょう)・友引(ともびき)・先負(せんぶ)・仏滅(ぶつめつ)・大安(たいあん)・赤口(しゃっく)の六個の星。陰暦における各月の一日目が、一・七月は先勝、二・八月は友引、三・九月は先負、四・一〇月は仏滅、五・一一月は大安、六・一二月は赤口に当たるとし、あとは上記の順に従って六日ごとに一巡する。それによって諸行事の吉凶をいう。中国の小六壬法が、わが国で変化して六曜となったといわれる。江戸中期から暦注に記されて流行し始め、現在に至っている。六輝。
【友引】とも‐びき
(1)陰陽家の説で、凶禍が友に及ぶとする方角。たとえば、子の日は卯(東)方、丑の日は辰(東南東)方というように、日によって異なり、特にその方角に向かっての葬儀は忌まれた。友引方。
(2)民間暦でいう六曜の一つ。本来は相打ち、引分けで勝負なし、良くも悪くもない日の意。幕末頃、方位の友引と混同し、他人の死を誘うといってこの日に葬礼を避ける習慣がうまれた。友引日。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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