令和の朝を迎えた。「令和」の新元号のもとで「より良い時代」になることを願い、それぞれがそれぞれの立場で、「より良い時代」のために務めることが大切であると思った。
昨日、平成の天皇陛下が退位され、陛下は退位して「上皇」に、美智子さまは「上皇后」となられた。国事行為として、宮殿松の間で「退位礼正殿(せいでん)の儀」がおこなわれ、安倍晋三首相が国民代表の辞を述べた後に、最後の「おことば」を述べられた。
「退位礼正殿の儀」に先立ち、陛下が、退位礼をおこなうことを報告する儀式「退位礼当日賢所(かしこどころ)大前の儀」があった。皇祖とされる天照大神(あまてらすおおみかみ)をまつる皇居内の賢所での報告であった。
陛下は「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」と呼ばれる天皇のみが身につける束帯姿で「御告文(おつげぶみ)」を読まれた。テレビでは、賢所に出入りなさる陛下のお姿が放映された。黄櫨染(こうろぜん)は、染め色の名で黄色みがかった茶色で、天皇だけが着ることのできる色である禁色(きんじき)であるという。
歩かれると、袍(ほう)に織り柄があるのが見て取れた。笹のような模様は確認できたがすべては見取ることはできなかった。どうも時代によって多少の違いがあるようだが、「桐」「竹」「鳳凰」「麒麟」の4種の要素から成る文様となっていたと推測される(ウィキペディアによる)。
どこかで見たことのある袍であると思われるが、私ごときが黄櫨染御袍を目にする機会などあり得ないことである。
そうだ!お雛さまだ!先日孫娘のお雛さまをかたずけたとき、お内裏さまはまさしく帝さまである。早速5月1日に再度お出ましをいただいた。黄櫨染御袍を身につけ、文様も同じである。
庶民で男である私が、改元の諸行事から退位の儀、そして即位の儀まで身近なものとなった。
来年のお雛さままで楽しみとなった次第である。
蛇足であるが、前回4月1日号に2人めの孫が「平成の孫」か「令和の孫」になるかと書いたが、本日まだ生まれてないので「令和の孫」が確定した。
【黄櫨染】こうろぜん
染め色の名。黄色みがかった茶色。黄櫨(はぜ)の樹皮と蘇芳(すおう)の心材の煎汁に、灰汁(あく)・酢などを混ぜて染めたもの。嵯峨天皇以来、天皇の袍(ほう)に用いられる。
【禁色】きんじき
(1)令制で、位階によって着用する袍(ほう)の色の規定があり、そのきまりの色以外のものを着用することが禁じられたこと。また、その色。
(2)天皇、皇族などの袍の色で臣下の用いることが禁じられたもの。青色(天皇の袍)、赤色(太上天皇の袍)、黄赤色、およびくちなし色(皇太子以下無品王の袍)、深紫色(親王四品以上一位の袍)、深緋(ふかひ)色、深蘇芳(ふかすおう)色の七色が禁じられた。許色(ゆるしいろ)。
(3)公家社会の伝統に基づき、有文(うもん)の綾織物、また、あられ地に(か)の文のある表袴(うえのはかま)などの着用が禁じられたこと。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
|