皆様こんにちは。『暑さ寒さも彼岸まで』とはよく言いますが、お彼岸を前に急激に気温が下がりましたね。体調を崩しやすい季節の変わり目ですので、十分注意して御躰御自愛くださいね。
さて、間もなくお彼岸がやってくるわけですけれども、それと同時に、この時期は秋祭りの季節でもあります。農村部では、実りの秋であるこの季節に、収穫を感謝して行われるのが秋祭りです。
願成寺さんの東側に位置します川原ヶ谷天神社も、お彼岸の中日に当たります9月23日の秋分の日に天神社例大祭が行われます。
川原ヶ谷は、古代・中世は「河原谷郷」といわれ、源頼朝が源氏旗揚げ成功を祝して三嶋大社に寄進した土地だそうです。川原ヶ谷集落は、もとは旭ヶ丘の南西にあったものが、江戸時代初期に東海道が整備されると現在の地に移ってきました。この時、天神社も今の地に遷されたそうです。
天神社は集落から北に入った小高い丘の上に建ち、※小彦名命(すくなひこのみこと)の他五柱を祀っています。祭神が多いのは明治末期に愛宕神社の祭神をここへ遷したためです。今年の天神社の例大祭は9月23日。水田の稲穂を渡る風を受けながら、川原ヶ谷の人々が心を一つにして、今年の豊作と川原ヶ谷の安泰と繁栄を祈ります。
また前日の22日には、しゃぎり山車の町内引き回しが行われます。川原ケ谷の山車は、三島市内に沢山あるしゃぎり山車の中でも、数少ない鉄製の車輪の山車なので、引き手が多く必要で、町内の人達が大勢出て来て、力を合わせて引っ張ります。
また山車の周りでは、普段より近隣町内の安全を守ってくれている消防第11分団の方々と、川原ヶ谷三島囃子保存会の方々が安全を確保し、子供しゃぎりが町内を練り歩きます。また夜には、川原ヶ谷公民館前にて川原ヶ谷三島囃子保存会による演奏も予定されています。
三島囃子は三島大社の舞役が創曲し、三島大社の「おはやし」として演奏されていたものがルーツだそうです。
その後、三嶋大社夏祭りのために創曲された「三島ばやし」は、当時の三嶋大社の神領内の川原ヶ谷・大場・谷田・梅名等々、三嶋大社の荘園といわれた周辺地域の若者によって、技術が習得され引き継がれたものと言われています。
昭和41年に三島市文化財保護審議委員会において認定された、「三島ばやし技術保持者」は11名で、その内、川原ヶ谷は半分以上の6名でありました。こうした中、川原ヶ谷三島囃子保存会は、昭和42年に三島市の無形民族文化財の指定を受け、また、平成3年には静岡県の指定も受けております。
町内の伝統ある行事と伝統を今につなげてきた多くの方々に思いをはせ、地域の皆で協力する大切さと、多くの思いによって生かされている事を実感する良い機会にしたいと思います。
【小彦名命】すくなひこのみこと
古事記では神皇産霊神(かみむすびのかみ)の子とされ、日本書紀では高皇産霊神(たかみむすび)の子とされる。大国主の国作りに際し天乃羅摩船で来訪した。
地福山宝鏡院住職
林 晴 雄
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