この1年ほど、近くの川で川鵜を見かける。白鷺も目撃したことがあるので、黒鷺かとも思えるが、私には区別がつかない。両者についてネットで写真を見るが、やはり確信を得られない。
川の真ん中にある石にしばしば休息?を取っているのであろうか、ときには羽を広げているときもある。そんなとき平塚市博物館のHPに「カワウはなぜ羽をよく広げてるの?」との一文を見つけた。引用させていただく。
物子「私、カワウを何回か観察したことがあるけど、カワウっ
てよく羽を広げてとまっていない?」
探偵「そうそう。羽を広げた姿勢はウのなかまの特徴の一つ
だね。何をしているんだと思う?」
博 「羽を広げるのは、ああ気持ちがいいって伸びをしてい
るんじゃない。」
物子「あのね、カワウはただ伸ばすだけじゃなくて、長い間ず
っと広げたままでいるのよね、探偵。もしかすると太
陽にあてて消毒しているのかな。」
探偵「太陽の光にあてているのは正解だけど、消毒は少し考え
すぎかな。」
博 「じゃあ、羽を乾かしているっていうこと?」
探偵「そうだね。カワウは水に潜るのが得意な鳥だけど、その
ために一つ体の秘密を持っている。普通の鳥は、羽に
油を塗って水をはじくようにしているんだけど、ウの
なかまの羽は水をはじかない。そのために水に入って
も、浮力が少なくなって潜りやすいんだ。そのかわり
水中で行動していると羽がびっしょりぬれてしまうか
ら、水から上がった時に乾かす必要が出てくるわけだ
ね。」
物子「カワウはカモよりも泳いでいる時に、体が沈んで見える
けど、それもそのせいなのね。
よって、写真の鳥は川鵜とさせていただく。彼は(雄とはかぎらないが)、自分の居場所を見つけたのであろうか、ほぼ毎日留まっている。小型中型の鳥にとっては、その天敵として鷹や鳶が考えられるが、鷹などがそういるものではない。むしろ猫やハクビシンなどの小動物のほうが危険であろう。
特に食事をするときや、羽をひろげているときなどは、狙われやすい。川の真ん中の石にいるのは、少なくとも小動物に狙われることもなく、また人間もそう簡単には近づいてこない。じつに安全な場所を確保しているに違いない。
だいぶ昔のことであるが、お墓の石塔のてっぺんに食べかけのリンゴがあった。「こんな悪戯(いたずら)をするのは誰だろう」と憤慨したことがある。犯人はカラスであった。昔はお墓に食べ物を供えていることがあったので、利口?なカラスはリンゴを石塔の上に運び、食べているのである。やはり安全な場所での食事であった。石塔の上でサカナを啄(ついば)んでいる姿を目撃したこともある。
石塔の上にリンゴを置けば、良い写真が撮れるのかもしれないが、罰当たりな「ヤラセ写真」になってしまう。
動物たちは、安全な自分の居場所を確保する習性があるのであろう。我々も見習いたいものである。
この1ヶ月ほど、川鵜は数羽の友達を連れてくるようになった。いわゆるコロニー化されていくのであろうか。
今では、彼らを見るのが楽しみになっている。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
|